“料理が多すぎる”と投稿して大炎上 「廃棄前提おじさん」の指摘に温泉宿の反応は?

旅館の食事を「多すぎる」「廃棄前提」と批判した男性炎上 旅館「貴重な意見の1つ」

記事まとめ

  • ある男性が「泊まった旅館の料理が多すぎる」と批判のツイートをし、大炎上した
  • 充実した夕食を「廃棄前提』と批判したため、"廃棄前提おじさん"とのあだ名も付いた
  • 旅館側は「貴重なご意見の1つとして承るつもりです」冷静に受け止めていた

“料理が多すぎる”と投稿して大炎上 「廃棄前提おじさん」の指摘に温泉宿の反応は?

■「予約でいっぱい」はデマ


 8月10日、ある男性がツイッターに以下の投稿を行い、いわゆる“炎上”状態になった。問題となったツイートの全文を引用させていただく。

 ***

《Go Toでちょっと高い旅館に泊まったら、大失敗。出てきた夕食がこれ。さらに天麩羅とごはん、お吸い物。多すぎて到底食べきれない。シニア層がメインターゲットのはずなので、つまり廃棄前提(としか思えないし、実際にかなりの廃棄が出ているはず)。不味くはないけど、体験価値としては……》

 男性のツイートと、撮影・掲載した夕食の写真はこちら

 上のリンクから写真をご覧になった方なら、本当に「多すぎて到底食べきれない」量なのだろうか、と疑問を持たれたかもしれない。

 事実、ツイッター上では、そうした声も多い。だが本題に入る前に、まずは男性のプロフィールについて触れておこう。

 本名か筆名かは不明だが、男性はツイッターで、ひらがなのフルネームを掲載している。そしてGoogleなどで検索すると、漢字での名前も表示される。

 複数のプロフィールを総合すると、男性は40代。《オンラインサロン》、《Webメディアディレクター》、《キャンプ&アウトドア事業》といった分野に精通しているという。


■「おじさん四銃士」


 炎上騒動を取材した記者が解説する。

「バイト先などでの悪ふざけをツイッターなどに公開して炎上することを“バカッター”や“バイトテロ”と呼びます。こうした炎上を引き起こす投稿者は、SNSに関する初歩的な知識すら持ち合わせていないケースも少なくありません。ところが、今回は全く異なります。男性はネットメディアの編集長を務めるなど、IT業界でプロのフリーランサーとして活動していながら、発言が炎上してしまったのです」

 男性にとっては不運だったのかもしれないが、ネット上では最近、「料理を作る大変さに無知な“おじさん”」が注目を集めていた。

「ツイッターでは7月、高齢男性が幼児連れの女性に『母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ』と叱ったという投稿が話題になりました。8月には夕食で冷凍餃子を出したところ、長男は『美味しい』と喜んだのに、夫が『手抜きだ』と不満を示したという妻のツイートも反響を呼びました。加えて冷凍餃子のエピソードを紹介したテレビ番組が街頭インタビューを行ったところ、ある男性が『唐揚げは手抜き』と発言、これもSNSで批判されました。共通するのは『おじさんたちは家事の大変さに理解がない』という怒りで、そんな中、旅館の充実した夕食を男性が『廃棄前提』と批判したわけです。たちまち男性は“廃棄前提おじさん”というあだ名がつけられてしまいました」(同・記者)


■男性に賛意を示す意見も


《廃棄前提おじさんの語感の良さ好き》と歓迎するツイートも投稿されるほど、SNS上で流行語化していった。ツイッターのワードランキングでも「廃棄前提おじさん」は1位を獲得、議論や拡散が活発化する追い風となった。

 ツイッター上での議論を辿ってみると、やはり「本当に量が多いのか」という疑問の声が多数を占める。いくつかご紹介しよう。

《そもそも多すぎて食べられないって載せてる旅館の料理、私少食だけど普通に食べきれそうな量なんだが》

《一個一個の料理の盛り付け少ないから実質食べきれる量だと思うけど》

《旅館の料理ってパッと見は多いけど、一皿の量は少ないし見た目ほど多くないけどな。この写真見ても一皿の量は多くないし、廃棄前提な訳ない》(註:改行を省略した、以下同)

 食品ロスの文脈から、男性の投稿に理解を示す意見も散見されたのも事実だ。こちらは2つご紹介しよう。

《廃棄前提おじさん言いたいことは分かるな〜 金沢のちょっと良い旅館泊まった時も朝からあのくらいの写真量に米2杯(おかゆ・白米)におかわり三合付いてて「いや待って???????」ってなった 女2人だし》

《すごく考えさせられた投稿。結婚式も同じことが言えるかも。美味しいけれど食べきれなくて…って声をよく耳にする。ウエディングケーキも食べきれない人が多い》


■“上から目線”


 とはいえ、《食事の量が少ないっていうなら分かるけど量が多いっていうクレーマー初めて見た》というツイートが象徴するように、「この人は何のために、こんな無礼なことを書き込んだのだ」という疑問の声が圧倒的だった。特に男性の“上から目線”を問題視する投稿が目立った。

《多すぎて食べきれなかったという話ならそう書けばいいのに。旅館のおもてなしの心を『大失敗』なんて書くから、読んでる側も不快になる》

《直接旅館に意見伝えれば「次回から事前にお申し付けくだされば調整します」で済むのに、ネットに晒してる時点で上から目線・炎上狙いの悪意しか感じない》

 そして炎上が激しさを増すにつれ、様々な“周辺情報”も流布していく。例えば男性が宿泊した旅館の名前が公開されたり、男性が過去に物議を醸した投稿に再び脚光が浴びせられたりした。こうした状況を問題視したのか、男性は反論を試みる。

《こんなところでクソリプ飛ばしていても、みなさんの言う酷い投稿の拡散に寄与しているだけです。もっと言うと、私、万座温泉のどことは明らかにしておらず、(一部、詳しい方を除き)よほど熱心に探さないと特定できないはず。旅館の立場に立つなら、お金使ってあげてください》

《本当に旅館に同情するなら、食べきれないくらいの食事提供スタイルがいい人は、ぜひ泊まりに行って、お金使ってあげてね。嫌味ではなく、本当に。人とのソーシャルディスタンスが気になることもほぼなかったし、なにより泉質は最高》


■田端氏のツイートも炎上


 更に田端信太郎氏(44)が、男性に助け船を出した。ライブドア、LINE、ZOZOの執行役員を歴任、実業家の中ではかなりの知名度があり、オンラインサロンの「田端大学」を運営している。男性は、その田端大学の公式メディア「BIG WANE」の編集長を務めているのだ。

 こうした背景から田端氏は擁護のツイートを投稿するのだが、これが更に物議を醸してしまう。

 田端氏は《田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ》、《「万座温泉」の炎上ステマの依頼主は、官邸から電通経由で官房機密費10億円だって、ずっと言ってるのにね!》などと投稿したのだ。冗談とはいえ、たちまち批判が集中した。

「田端氏は『趣味は炎上』と公言していますから、批判を前提で投稿したのかもしれません。しかしながら、反響は大きく、料理を批判された万座温泉の旅館は公式サイトで『SNSで取り沙汰されている件につきまして、当宿で宣伝目的の依頼などは一切しておりません』と反論する事態にまで発展しました。やはり田端氏の投稿は軽率だったのではないでしょうか」(同・記者)

 旅館からすると、心づくしの料理を批判されただけでなく、全くデタラメの“ステマ疑惑”まで取り沙汰されたわけだ。まさに踏んだり蹴ったりとはこのことだろう。


■批判の声も他人事?


 ところが男性は旅館に謝罪するどころか、法的措置を警告するツイートを行う。全文をご紹介しよう。

《ごく一部ですが、看過できない個人攻撃、誹謗中傷、嫌がらせが見られるため、友人の弁護士への相談を開始しました。詳細検討し、必要に応じた手続きを取っていきます》

 これもツイッター上では大きな反発を招いた。男性の態度に怒り心頭、という内容のツイートをご紹介しよう。

《地方で温泉旅館を経営する者です。(略)少しでももてなすため出したものを廃棄前提と言われ炎上マーケティングのためと言われ謝罪もせず法的措置と言っていることにはらわたが煮え繰り返ってます(略)廃棄前提おじさん(あえてこう書かせていただきます)は法的措置おじさんになって弁護士や裁判と言い出していますが、まずは失礼な晒し方をした旅館に謝罪が先ではないでしょうか》(註:2つのツイートをまとめた)

 だが男性は謝罪を行うどころか、自分が編集長として参画している「田端大学」の記事を宣伝した。

《私が炎上する中、田端大学のLINEオープンチャットでは、寄ってたかって分析・議論・解説が(編注:絵文字で「嬉し泣き」)もちろん擁護されるみたいなことは特にないのが田端大学式。そして今回は当事者ということで、編集長の私抜きで記事が作られ公開》


■旅館は冷静


 公式メディアの「BIG WANE」には、次のようなタイトルの記事が掲載された。

《大炎上ツイートから考える旅館・ホテルの今とこれから 日本旅館にありがちな、豪勢なお食事は「おもてなし」か「過剰サービス」か #廃棄前提おじさん》

 果たして、こうした記事を掲載する資格があるのか、疑問視する人は少なくないだろう。

 渦中の旅館に取材を依頼すると、代表を務める男性が快諾してくれた。複数のメディアから取材依頼があり、ネット上での状況は把握しているという。

「男性の方が確かに私どもの旅館に宿泊されたことも、実際に食事を召しあがったことも把握しております。ツイッターも一部は閲覧し、事実関係や皆さまの反響も確認いたしました」

 男性のツイートに対しては、冷静に受け止めているという。

「お客さまからは様々なご意見をいただき、参考にいたしております。食事につきましても、『満足した』というご意見だけでなく、今回のように『量が多すぎる』というご指摘を受けたこともありました。男性の方のツイートも、同じように貴重なご意見の1つとして承るつもりです」


■田端氏のツイートは“デマ”


 実は田端氏は《なんか、このご時世にあの温泉旅館、半年先までいっぱいになったらしいですよwww 炎上マーケティング大成功じゃないですかw いやあ、#田端大学の塾長としては誇らしいww》とツイートしたのだが、これは事実に反するという。

「私どもの旅館で、予約が半年先までいっぱいになったという事実はございません。ネット上で流布しているとすれば、それはデマと受け止めてくださると助かります」

 ちなみに公式サイトには料理について、以下のように記述されている。

《嬬恋の高原野菜を中心に、四季折々の食材を様々なお献立でご用意いたします。料理長自慢の出汁で煮る「山菜煮物椀」に旬の高原野菜柔や山菜を使う「季節の天ぷら」と「季節の鍋料理」。柔らかな肉質とたまらない美味しさが口の中に広がる「上州牛」など、山の味覚をお楽しみください》

 旅館の公式サイトによると、《Go Toトラベルキャンペーン割引対象》という「スタンダードプラン1泊2食付」は8月13日現在、《<禁煙>和洋室 11畳+ツインルーム(トイレ付/バスなし)》で大人1人は1万5400円からとなっている。

 ***

週刊新潮WEB取材班

2020年8月15日 掲載

関連記事(外部サイト)