唾液で手軽に「がん検査」 梅干しを使った検査法とは?

唾液で手軽に「がん検査」 梅干しを使った検査法とは?

「サリバチェッカー」の検査結果グラフ

■梅干しで唾液検査を


 がんと診断された人の「5年生存率」は、最新の調査でおよそ64%。が、これが早期であれば確率は9割を超す。そうした発見を強力に後押しするのが、血液などの体液を用いたリスク検査である。今回紹介するのは、血液よりも手軽に受けられる、唾液を用いた検査。実際に本誌(「週刊新潮」)記者が検査を受けた模様をリポートする。

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 ベンチャー「サリバテック」社が行っている唾液検査「サリバチェッカー」は、健常者とがん患者の唾液に含まれる代謝物質の差異を計算、疾患リスクを数値化し、5種類のがんの早期発見が可能だという。同社代表で「大泉中央クリニック」の砂村眞琴院長は、

「対象は肺、膵、大腸、乳、口腔の5種類です。増殖が盛んながん細胞では、ポリアミン類という代謝物質の数値が高くなりますが、これらの濃度を測り、組み合わせのパターンでどの物質が高いかを調べることで、部位別のリスクを4段階で算出するのです」

 との解説に付言して、

「そのリスク評価は、六つの大学の倫理委員会を経たのち、臨床研究として集めた結果をもとに下しています。医学的に厳しい基準をクリアしており、エビデンスといえるレベルに達しているわけです」

 現在は全国およそ800の医療機関で検査が受けられ、料金は平均で3万〜4万円。今回、本誌で受診したのは40代前半の男性記者である。当日はまず、タピオカミルクティーを飲むような太いストローと、それを差し込んで唾液を溜める蓋のついた親指ほどの大きさの容器からなる検査キット、そして梅干し入りの瓶を渡された。

 梅干しの匂いを嗅いで唾液がたまってきたら、ストローを通して容器に流し込んでいく。これを何回か繰り返すのだが、容器は、唾液の成分が変化しないよう、筒状の保冷材の中に入れられている。耳のそばにある唾液腺を押したり、舌で口をかき回したりと無理に唾液を出すのではなく、なるべく自然に溜まったものを採取するのが肝要だという。梅干しは、そのためのアイテムでもあるのだ。


■検査できるがんは今後も増加


 1ccの目盛まで溜まったら直ちに蓋をし、零下85℃の冷凍庫に保存する。およそ2週間後、乳がん以外の4種(肺・膵・大腸・口腔)のがんリスクについて検査結果が判明。記者はいずれも「低リスク」のA判定だった。砂村院長いわく、

「グラフの縦軸が0・0〜1・0の間の数値で記されるリスク値となり、数値が上がるほどリスクが高い。横軸にはリスクのABCDが分布され、評価がどこに位置するのかが三角形で示されています。リスクの低い『AB』と高い『CD』との線引きについては、がん患者が100人いた場合、前者に30人、後者に70人がいるようにしています。つまり、当該のがん患者全体のうち70%がCかDという評価になるわけです」

 ちなみに「低リスク」のAと「やや低リスク」のBとの差異は、

「弊社の臨床データに照らし合わせ、A判定は、被験者全体に対し、当該のがん患者の割合が2%以下になるように設定されています。従ってAであれば、がんに罹っているリスクは2%以下だと言えるでしょう」

 サリバチェッカーは3年前にスタート、これまで全国で約6千人が受診している。砂村院長は、C・Dの判定が出た受診者には、がんの確定診断のための検査を勧めているといい、

「がんの種類によって人工知能のアルゴリズムが異なり、この確立に時間を費やしますが、現在、臨床研究が進んでいる前立腺がんと胃がんについては、来年あたりから新たに検査対象に加えられる見通しです」

 簡便な検査が、いっそう広がりそうなのだ。

「週刊新潮」2020年8月13・20日号 掲載

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