「台風11号」が巨大化して首都圏を直撃したら… 8000人死亡の可能性も、専門家がシミュレーション

「台風11号」が巨大化して首都圏を直撃したら… 8000人死亡の可能性も、専門家がシミュレーション

猛烈な風が九州一円を蹂躙した

■「まだまだ台風シーズンは終わっていない」


 襲来前から「百年に一度の大雨」と称されていた台風10号。9月8日現在、死者2名、重軽傷者102名、行方不明者4名という人的被害を及ぼしているが、専門家によると、今後さらに強力な台風が首都圏を直撃する可能性があるというのだ。

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 気象予報士の森田正光氏がいう。

「近年の傾向で、日本を襲う北西太平洋の台風が減った代わりに、今回のように一つ一つの規模が巨大化しています。数が少ない分、台風が発生すると動力源になる海上の水蒸気を総取りにして、さらにパワフルになるのです。気象庁によれば、9月下旬まで海水温が高い状況が続くとされているので、まだまだ台風シーズンは終わっていないと見るべきです」

 気象学が専門で京都大学防災研究所准教授の竹見哲也氏も、同じく警鐘を鳴らす。

「例年は7月と8月にも台風がやってくるのに、今年はまだ10個だけしか発生していません。本来、台風が通過すると海水が混ぜられて水温が一時的に低下するのですが、太平洋沿岸の海水温は30度を超えて平年より2度も高い。昨年、千葉など房総半島に被害を与えた台風15号や19号のような強い勢力の台風が、今後もやってくる可能性は十分あると思います」

 台風10号は九州に向かうルートを取ったが、太平洋高気圧の勢力が弱まるにつれ、台風8号から10号にかけて徐々に進路が東にずれていることから、これから来る台風は東海、関東を直撃してもおかしくないという。

 では、今後勢力の大きい台風が首都圏を直撃した場合、どのような被害がもたされるのだろうか。心配されるのは、強風で海水面が上昇し、それに満潮が重なることで起こる「高潮」だ。『首都水没』の著者で、元東京都江戸川区土木部長の土屋信行氏に、18年に東京都が公表した「高潮浸水想定区域図」を読み解いててもらった。

「超大型台風の直撃があれば、東京23区のうち17区で浸水被害が生じるとしています。浸水の深さは、“海抜ゼロ地帯”と呼ばれる江東5区(江東区、江戸川区、葛飾区、墨田区、足立区)で最大約10メートルにも達し、排水には1週間以上の時間を要すると見込まれます」

 高潮の直撃を受ける湾岸部は、人気のタワマンが多く立ち並ぶエリア。昨年の台風では建物が耐えられても、浸水で電源を喪失するなど弱点を露呈した。

 たとえ、自宅がハザードマップの浸水区域から外れていても、都心の勤務先が被害に遭わないとも限らない。

「日本有数のオフィス街で大企業の本社機能が集中する丸の内地区のある千代田区、銀座を抱える中央区、港区なども浸水して品川駅や新橋駅も1メートル以上冠水します。土木学会は『東京湾巨大高潮』という被害シミュレーションにおいて、14カ月の累計被害額を115兆円と推計。死者も8000人と想定しました」

 9月10日発売の週刊新潮では、来る台風11号に備え、事前にすべき防災対策などを詳報する。

「週刊新潮」2020年9月17日号 掲載

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