「クロ現」で話題 “夜の街”新宿・歌舞伎町の苦悩 ホストたちは何を思っていたのか

 新型コロナウイルスの感染が相次いでおこり、クラスターの発生源として名指しで糾弾された「夜の街」。ホストクラブやキャバクラなど「接待を伴う飲食店」は「夜の街」とひとくくりにされ非難の的となった。感染対策をしっかり行っていたにもかかわらず運悪くクラスターが発生してしまった店も、運良く感染者が一人も出なかった店も十把一絡げに「夜の街」が危ないとされ、ネット上などで強い言葉の非難が集中するさまは、自粛生活が続く中で人々の溜まったストレスのはけ口としてスケープゴートにされたかのようだった。

 一括にされた「夜の街」にも一人一人の人間がいて、それぞれ違う個性を持った人間だ、と訴えるのは歌舞伎町でホストクラブ6店舗を経営する手塚マキさん。手塚さんは新宿区が開催した繁華街新型コロナ対策連絡会にも出席し、行政と業界の橋渡しも行ってきた。自らが経営する店でも感染症に対する啓蒙活動を行い、スタッフ全員の衛生意識を変えることに尽力している。手塚さんはそれでもあまりに連呼された「夜の街」という言葉に危機感をいだき、積極的にメディアに出演し業界の取り組みや、ホストたちにも生活や個性があるということを訴え続けている。

 コロナ禍の前からホストたちに教養をつけさせたいと考えてきた手塚さんは、その取り組みの一つとして自らが経営するスマッパ!グループのホストを集め歌会を行ってきた。2年間、月1回、出勤前に開かれる歌会には俵万智・野口あや子・小佐野彈という一流の歌人たちが都合のつく限り参加し、選歌をして、時には指導もした。コロナ禍の自粛期間中は、「自分磨きの時期」と位置づけ、Zoomでいろんな勉強会を開き、Zoom歌会も5月に2回開いた。

 その集大成として7月に出版された『ホスト万葉集 嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ』は、出版されるやたちまち話題になり、朝日新聞、民放ワイドショーで特集されるまでになっている。

 ホストと短歌――まったく縁のない組み合わせのようだが、意外なことにLINEで得意客とのやりとりをするホストたちには、三十一文字の短歌は、ちょうどよい「器」なのだという。

 飾らない、一人一人の肉声が、短歌という、日本古来の詩型に乗せて語られる。収められた歌は、「素顔のホスト」たちの生の声だ。

デイリー新潮編集部

2020年9月30日 掲載

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