なぜ「秋田が010」で「山形が990」なのか?――郵便番号の不思議な順序のワケ

 秋も深まる今日この頃、いよいよ令和3年用の年賀はがきが10月29日から発売となる。

 近年はメールやSNSの影響もあり、年賀はがきの発行枚数は、ピークとなった2003年の約44億5936万枚から、2019年は約24億4090万枚と、半分近くにまで落ち込んでいる。

 とはいえ、まだまだ年賀状のやり取りを大切にされている方も多いだろう。

 そこで今回は、自他ともに認める「番号マニア」のサイエンスライター・佐藤健太郎さんの近刊『番号は謎』から、郵便番号に関するトリビアを紹介しよう。

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■不可解な配列


 郵便番号には、よく観察すると大きな不思議がある。電話の市外局番などに比べると、どうにも不可解な順序に並んでいるのだ。

 郵便番号の上2桁を見ると、00の札幌市から始まり、01が秋田、02が岩手、03が青森だが、04から09は北海道へ戻る。
 
 そして10番台は、いきなり東京へと飛ぶ。20番台は多摩地区・神奈川・千葉、30番台は北関東から長野、以下西へと順次番号が大きくなり、九州が80番台、沖縄が90番台となる。

 ところが91は福井へジャンプし、新潟の94〜95まで日本海岸を東進する。そして福島が96〜97、宮城が98、山形が99で終わるという、どうにも妙な順序なのだ。


■「東京が10」なのはなぜか


 日本に郵便番号の導入が検討され始めたのは、1964年のことだ。郵便番号の振り方は、当然ながら難問であった。一度決めてしまえば後から付番し直すのは極めて困難だから、将来の社会システムの変化なども見据えながら設計せねばならない。たとえば当時沖縄はまだ米国統治下であったが、将来を見越して空き番号が確保された。沖縄返還は、郵便番号利用開始の4年後に実現している。

 1968年、ついにスタートした郵便番号の体系は以下のようなものだ。まず、番号の上2桁は、基本的にそれぞれの都道府県に対応している。ただし郵便量の多い県はいくつかに分割して番号を振っており、たとえば神奈川県には21〜25が、千葉には27〜29が充てられた。26は、将来の人口の伸びが見込まれる千葉県のために、空き番としてあらかじめ確保された。現在、26で始まる番号は、千葉市域で利用されている。

 全郵便量の約3割が発着する東京には、機械で最も読み取りやすい数字である、1で始まる番号が割り当てられた。市外局番のように、北から順にというわかりやすい番号づけにならなかったのはこのためだ。

■鉄道の経路に沿って付番された


 以下、鉄道による郵便配達の流れに沿う形で西へと順次番号が振られ、鹿児島で折り返して福井へ飛ぶ。山形で9から始まる番号が尽きたところで、秋田からは0番で始まる番号が割り当てられた。

 つまり、山形と秋田の隣県同士は、決してかけ離れた付番がなされたわけではなく、連続しているのだ。これは、1桁目は0から9でなく、1から始まって0で終わると見れば理解しやすい。

 郵便番号の3桁目は、県内の最重要な郵便局の受け持ち区域に0が充てられ、以下鉄道の流れに従って1から番号が振られた。このため多くの都道府県で、県庁所在地の郵便番号3桁目は0となっている。

 鉄道の経路に沿って付番されたため、原則を外れている場所もある。たとえば神奈川県の旧藤野町や旧相模湖町は、東京の多摩地区と同じ19から始まる番号が振られていた。これは、神奈川県でこのエリアへの郵便物だけが、中央線によって運ばれていたためだ。その後この地区は相模原市に編入され、2007年からは22で始まる番号に変更されている。


■【郵便番号に関するトリビア】


・郵便番号001−0001は存在しない。
・郵便番号100−0001は、東京都千代田区千代田1−1、すなわち皇居である。
・その後の100−01〜100−22までは、伊豆諸島などの東京都島嶼部に充てられている。
・無人島のいくつかにも、郵便番号は付与されている。たとえば沖ノ鳥島の郵便番号は100−2100、尖閣諸島は907−0004である。
・郵便番号の上3桁が119(東京)と539(大阪)は、テレビ局や通信販売などの超大口事業所に用いられる。このため、通称「クイズ局」とも呼ばれる。
・私書箱には、基本的に下4桁8691が充てられる。

デイリー新潮編集部

2020年10月22日 掲載

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