殺人クマでも駆除しないで!……猟友会や自治体に抗議電話する人々の正体

殺人クマでも駆除しないで!……猟友会や自治体に抗議電話する人々の正体

年々増え続けるクマ(※写真はイメージ)

 ジャーナリストの大谷昭宏氏が、日刊スポーツ(11月3日付)に「『クマ射殺報じるな』に思うこと」というタイトルの記事を寄稿した。クマを射殺したとメディアで報じると、自治体や猟友会に非難が殺到するため、報じないでほしいと自治体から要請されたというのだ。

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 大谷氏の記事の一部を紹介すると、

《環境省が先週、4月〜9月の全国のクマ出没情報が1万3670件で、過去最多となったと発表した。秋田、新潟では襲われて2人が亡くなり、石川県加賀市では人の出入りの多い大型商業施設にまでクマが入り込んだ。》

《その地域の方々の恐怖はどれほどだったか。そんな被害を未然に防ぐ意味もあってニュースにするのだが、最近、やりきれないことが起きている。自治体から「クマを射殺した」という結末までは報じてくれるな、という要請がくるのだ。町や村、それに猟友会にまで「かわいそう。なんで殺した」という電話やネット上の非難が相次ぎ、猟友会の中には「出動したくない」という人も出てきたという。》

《私も動物は大好きだ。だがそれとこれとは違う。》

「2、3年前から、クマを駆除すると抗議が来るようになりました」

 と語るのは、秋田県の猟友会員。

「『なんで殺すんや。可哀想やないか。』とか、なぜか関西弁での抗議が多かったですね。県内に住む人からの抗議は一切ありません。ツキノワグマは、東南アジアにしか生息しないので、保護対象動物となっています。ですから、殺すなという意見は分からんでもないですが、人間に危害を加えるクマは、やはり駆除するしかありません」


■キャンプ場の生ゴミがクマの餌になる


 最近は新型コロナの影響で、山や川で密にならないキャンプをする人が増えているという。

「キャンプ場に生ゴミなどを残していく人が増えていますが、それをクマが食べてしまいます。クマは、甘い食べ物には目がなくて、一度味をしめると、また甘いものを求めて人里に現れます。ある意味、人がクマをおびき寄せてしまっているわけですね」

 森林ジャーナリストの田中淳夫氏もこういう。

「北海道や秋田県などで、クマを駆除すると抗議が来るそうですが、ほとんどはクマが出没しない首都圏や大阪などの大都市に住む人からですね。実際、新潟県で10月、73歳の女性がクマに襲われて亡くなっています。秋田県でも10月、83歳の女性がクマに襲われ亡くなっています。おそらく都会の人にとっては身近なことではないでしょう。クマもペットと同じ感覚でみているのではないでしょうか。現実の被害を知らないと言わざるを得ませんね」


■麻酔銃では危険


「クマを殺すな」という抗議の中には、駆除ではなく麻酔銃を使えという意見もあるという。

「クマを射殺せず、麻酔銃で眠らせて森へ返せというのは、無理な注文なんです。麻酔銃の射程は数十メートルしかなく、至近距離から撃たないと当たりません。また、当たっても、眠るまでに20分、30分かかりますから、その間にクマが襲い掛かってきます」(同)

 先の猟友会員によれば、

「麻酔銃は、もともと日本猿用に開発されたものですから、ツキノワグマには効き目が弱い。猟銃を持ったハンターがいないと危険ですね」

 罠で捕まえる方法はどうか。

「罠で捕まえて、山へ帰すというわけですが、一度人里に来たクマは、山に返してもまた戻ってきます。山にあるドングリよりも、人里にある野菜や果物の方が美味しいからです。クマには2種類あって、人間に慣れてしまって人里に現れるクマと、人を見ると怯えて逃げるクマがいます。人里に現れるクマは、駆除するしかないのが実状です」(田中氏)

 年々増え続けるクマは、あと10年もすれば、大都会にも現れるようになるという。

「東京や関西の大都会でもクマが出没するようになれば、抗議していた人たちもクマの危険性を認識するのではないでしょうか」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年11月11日 掲載

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