「13日の金曜日」は本当にヤバい日なのか? 「忌み数」の謎を追う

「13日の金曜日」が不吉な日として嫌われる理由 アポロ13号が迷信を強化する結果に

記事まとめ

  • 「13日の金曜日」が不吉な日として嫌われている訳をサイエンスライターが解説している
  • 欧米では13が代表的な忌み数で、13階がない高層ビルや米軍の戦闘機もF-13は欠番という
  • 迷信を打破するためアポロ13号を打上げたが失敗し迷信を強化する結果となってしまった

「13日の金曜日」は本当にヤバい日なのか? 「忌み数」の謎を追う

 本日は11月13日の金曜日。ホッケーマスクの殺人鬼に追いかけられたりしないよう、皆さんの無事を願うばかりである。

 ところで、どうして欧米では「13」が忌み数として避けられ、とりわけ「13日の金曜日」が不吉な日として嫌われているのだろうか。

 自他ともに認める「番号マニア」のサイエンスライター佐藤健太郎さんに聞いてみたところ、「曜日についてはわかりませんが、忌み数については調べたことがあります」とのこと。

 佐藤さんの新書『番号は謎』から、「忌み数」にまつわる逸話を紹介しよう。

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■「アポロ13号」がやぶ蛇に?


 欧米では13が代表的な忌み数だ。13階がない高層ビルは多いし、13号室であるべき部屋が「12a号室」になっているようなケースも見られる。航空関係は特に縁起を気にするジャンルであり、米軍の戦闘機もF-13は欠番だし、多くの空港で12番ゲートの次は14番になっている。

 米国のアポロ計画においては、あえて迷信を打破する意気込みでアポロ13号を打ち上げたが、トラブルに見舞われて月着陸を果たせないまま、宇宙飛行士たちが命からがら生還する事態となり、13にまつわる迷信を強化する結果となってしまった。

「13恐怖症」を意味するトリスカイデカフォビア(triskaidekaphobia、ギリシャ語で「13」を意味するtriskaidekaと「恐怖症」を意味する「phobia」の合成語)という言葉もあり、アメリカだけで約2千万人の患者がいるというから大変なことだ。


キリスト教とは実は無関係?


 13が忌み数になったのはなぜなのだろうか。裏切り者のユダがキリストの13番目の弟子であったからとか、キリストが処刑されたのが13日であったからなどいくつかの説があるが、聖書にこうした記述はなく、歴史的にも根拠のある話ではないようだ。

 ひとつには、ヨーロッパなどで広く普及した12進数文化の影響がありそうだ。多くの約数を持つ12は計数の際に便利であり、午前午後の12時間や、1ダースという単位として現在でも広く使われる。やがて、ギリシャ十二神やキリスト教の十二使徒など、12という数字は神聖視されるようになった。その神聖な12からひとつはみ出す13は、厄介で不吉なものと見なされたのだろう。

 ちょっと意外だが、カトリックの本場であるイタリアでは、13よりも17が不吉な数字とされているという。これは、ローマ数字で17を表す「XVII」を並べ替えると「VIXI」となり、これはラテン語で「生きていた(=死んでいる)」を表すからだという。何だかずいぶん持って回った理由のようだが、歴史の厚みを感じさせる迷信ではある。

 キリスト教圏で嫌われる数字にはもうひとつ、ヨハネの黙示録で「獣の数字」とされている666がある。例えば、アメリカのルート666は事故率が高いといった噂があり、「デビルズ・ハイウェイ」の異名で呼ばれていた。結局、この道は2003年に番号が変更されてルート491となり、現在666は欠番となっている。


■漢字文化圏では「4」が忌み数


 一方日本では、「死」「死に」を連想させる4と42が代表的な忌み数だ。病院やホテルなど、これらの部屋番を避けているところは多く見られるし、プロ野球でもこれらの番号は外国人選手が背負うことが多い。彼らにとって、「4」という字の形は上向き矢印のようで縁起がよいと感じられるし、42は黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンがつけた尊敬すべき番号で、現在ではメジャーリーグ全球団で共通の永久欠番ともなっている。

 たとえばかつて横浜ベイスターズと読売ジャイアンツに所属したマーク・クルーン投手は、日本では42番が忌避されていることは知っていたが、自身の誕生日が4月2日であること、またジャッキー・ロビンソンの背番号であることから、非常に気に入って42番を背負っていたという。同じ数字でも、捉えられ方が全く違うのは面白い。

「4」を「死」に通じると考えるのは日本だけでなく、中国や韓国など漢字文化圏で共通の習慣だ。ただし、「9」と「苦」の発音が同じなのは日本だけであるため、中韓では9は忌み数とはみなされず、むしろ「久」に通じる縁起の良い数字と捉えられるようだ。国により、数字をめぐる事情はだいぶ異なっている。

 こんな忌み数などただの迷信だというのは簡単だが、毎月4日は心臓病による死亡率が上昇するという統計が、実際に存在する。迷信による心理的ストレスが原因と考えられており、シャーロック・ホームズシリーズの『バスカヴィル家の犬』にちなんで、バスカヴィル効果という名前もつけられている。4を不吉視しない文化圏では、こうした傾向は見られないという。

■「忌み数」よりも危険なこと


 過去に大事故を起こした便名や列車番号を、忌み数として封印するケースもある。日本航空123便や、2001年の同時多発テロに遭ったユナイテッド航空93便及び175便などがそのケースだ。

 ただしこうしてあまりに忌み数を気にしすぎると、弊害も起きてくる。欧米では中国人に売れないという理由で、13階の他に4階、14階、24階……などを飛ばしたビルも増えてきた。カナダのバンクーバー市では、これでは消火活動などに大いに差し障りが出るとして、正しい階数表示を行うよう通達を出している。

 縁起をかついだ結果、命にかかわる弊害が出るのでは何もならない。

デイリー新潮編集部

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