女性急死のテキーラ事件 渦中の100億円「起業家」は「私が提案したわけではない」

女性急死のテキーラ事件がSNSで話題 起業家の光本勇介氏がデイリー新潮の取材答える

記事まとめ

  • 「テキーラ事件」と呼ばれる話がSNSで急速に拡散し、大きな話題を呼んでいるという
  • 起業家の光本勇介氏は、女性がテキーラゲームで亡くなる直前まで現場の店に居合わせた
  • 光本氏はデイリー新潮に「真実をお話しさせていただきたい」と取材に答えた

女性急死のテキーラ事件 渦中の100億円「起業家」は「私が提案したわけではない」

 とあるカネ持ち起業家が、東京・恵比寿の高級ラウンジで大枚をチラつかせ、女性従業員に「テキーラゲーム」を“仕掛けた”。だが、その後、女性は容体が急変し病院に担ぎ込まれて亡くなってしまった――。いまネット上では、「テキーラ事件」と呼ばれる話がSNSを中心に急速に拡散し、大きな話題を呼んでいる。若い女性の“パパ活”の場としても知られるラウンジで、いったい何があったのか。渦中の起業家が「デイリー新潮」の取材に答えた。

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■「総資産100億円」の起業家


 インタビューに答えたのは、女性が亡くなる直前まで現場の店で同席していた起業家の光本勇介氏(40)である。総資産100億円とも言われる光本氏は、起業しては売却することを繰り返しながら事業を拡大してきた実業家として知られる。2017年に物を即時に現金化するサービス「キャッシュ(CASH)」を成功させ、同サービスを展開していた「株式会社バンク」を、動画配信サービスなどを手がける「DMM」に70億円で売却したことでも話題を呼んだ人物だ。

 光本氏は、取材を受けた理由についてこう述べた。

「こんな経験は初めてで、いまもショックで精神的に不安定な状態が続いております。そんな中で数日前から、SNSで私が存じ上げない方々がこの件について、事実でないことも含めて発信し始めました。あまりにも拡散力が大きいものですから、一個人として止められる術も思いつかず、真実をお話しさせていただきたいと思った次第です」

「事件」が起きた恵比寿のラウンジSに行ったのは、11月27日の午後11時半頃だったという。なお、Sは六本木などにも姉妹店を持つ高級ラウンジで、IT社長などセレブの間では有名な店である。

「Sは数年前から平均して半月に1回ぐらい、友人たちと飲みに行く店として利用していました。この日は金曜日でしたので、他の店で食事をした後にプライベートの友人たちと一緒に行きました。私を入れて6人で、うち2人は女性です。一軒目では緑茶ハイなどコップ4杯程度しか飲んでいなかったので、この日のことは克明に覚えています」

 案内されたのはカラオケセットもあるVIPルームの個室で、

「私を含めると男性客は4人だったので、店の女性が4名、席につきました。他に男性の店員1名もいたので、女性の友人2人と合わせて部屋にいたメンバーは全部で11人です。まずシャンパンを開けてみんなで飲み、1時間くらいは普通に歓談しておりました。ほかに4、5人が1、2杯くらいずつウーロンハイとか緑茶ハイなどを頼んでいたくらいで、そんなにすごい量のお酒を飲んでいたわけではありません」

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■彼女が「私、お酒の強いのでやってみたい」と志願してきた


 そして「テキーラゲーム」が始まったというのだ。

「ただ、これは私が提案したわけではないのです。今回、残念ながらお亡くなりになった女性が、自ら志願してきたものです。『私、お酒に強いのでやってみたい』と。すごく綺麗な方だったと記憶しております」

 仮に女性をA子さんとさせていただく。光本氏は、はっきりとは記憶になかったというが、A子さんは過去に彼のテーブルについたことがあり、その際に他の女性がやっていたテキーラゲームを自分も挑んでみたいと申し出たというのだ。ただし、ゲームの内容自体は光本氏自身が考案したものだと言い、

「750ミリリットルくらいのテキーラ1本を制限時間の15分以内に飲み干せたら、10万円をご褒美としてもらえるという内容です。私は毎度このゲームをやっていたわけではなく、どちらかといえば稀にしかやりません。私としては、みんなで楽しくお酒を飲んで盛り上がりたいという、他のよくある飲み会ゲームと同じ趣旨のレクリエーションとしてやっていたものです」

 アルコール40度の強い酒として知られるテキーラ1本を15分で飲み干すという危険なゲームを「レクリエーション」と表現する光本氏の感覚に驚くばかりであるが、彼は危険性を理解した上で、幾度もA子さんに確認したと主張する。

「『ほんとにできる? 大丈夫?』と繰り返し確認しました。その度、彼女は『できると思うのでやりたいです』と言うので、じゃあボトルを1本頼みましょうとなったのです。ゲーム用のコップも1つボーイさんに用意してもらった。ボトルを開ける前に、もう一度再確認しました。『自己責任と自分の判断になるけどやる? どうする?』と、他の10人にも聞こえる声ではっきり。彼女は『やる』と答え、自分の手でボトルを開けてコップに注いだのです。なお、この先も最後まで、私を含め他のメンバーは誰一人、ボトルにもコップにも指一本触れておりません」

■努力賞、残念賞ということで3万円渡しました


 光本氏はテーブルに10万円の“賞金”を置き、友人がスマホのストップウォッチを起動させた。そしてゲームはスタートした。なお、コップ3杯を空ければちょうどクリアできる分量だそうで、

「始まってすぐに、ペース配分についてもちゃんと教えました。5分で1杯飲めばいいから、慌てずにゆっくり飲んだほうがいいと。実際、彼女はゆっくり時間をかけて1杯を飲み干しましたが、見た目や話した感じは、まったく変わらない様子でした。この間、私たちはずっと彼女を見ていたわけでもなく、自分たちのお酒を飲みながらそれぞれ会話していて、彼女も会話に加わっていたという感じです。頑張れ頑張れと、手を叩いて囃し立てたようなこともありません」

 2杯目もA子さん自身が注いだと言い、

「彼女のペースで、少しずつ飲みながら時間が過ぎていったというふうに記憶しています。そして、3杯目もご自身で注がれた。ただし、そこから進まなくなってしまった。そこで私たちも『無理して飲まなくていいよ』と止めに入り、そのまま時間が経過してしまいゲームオーバーになったのです。彼女が気持ち悪そうだとか苦しそうな顔をしていたというような記憶はありません。終始楽しそうにしていらっしゃった」

 ゲームは彼女の負けとなったが、3万円を渡したという。

「負けたからお金をあげたくない、というわけではなかった。みんなでその場自体は楽しく飲んだわけですし、努力賞、残念賞ということで渡しました。その後も30分くらいカラオケをしたりして過ごしましたが、曲の合間に彼女とは普通に話していましたし、おかしな様子はまったくなかった。事実、彼女は『おなかが空いた。焼きそば食べたい』と店員に焼きそばとパスタを頼んでいました」

 だが、その後、異変が起きたというのである。

「嘔吐してしまったのです。全部戻したというわけではなく、抱えていたクッションにちょっと吐かれたという感じでした。慌てて店の人に袋を持ってくるようお願いし、部屋の外に誘導してもらいました。そして、部屋も汚れてしまったので、会計して退店することになったのです。放って帰ったという認識は全くありません。本当にちょっと吐いただけという感じでしたし、お店の方がしっかり介護している様子を見届けてから1時半頃に帰りました」

■早朝、店の人間からの電話で死を知った


 その後まっすぐ帰宅し、2時くらいには就寝したという。だが、5時半頃、突然鳴った電話で彼は起こされるのだ。

「当日お店にいた人ではない、グループのマネージメントを担当している方からでした。『実は昨日、一緒に飲んでいた女性が、あの後に亡くなられました。警察が事情を聴きたいと話しているので、連絡先を教えますがいいですか』と。ショックで呆然としました。さっきまで楽しそうに飲んでいたのに、なぜ……と」

 そのまま一睡もできずに一緒に飲んでいた知人たちに連絡をしていると、9時過ぎに渋谷警察署から連絡が入ったという。

「店にいた時の状況を聞かれたので、いまお話したようなことをそのまま電話で詳しくお話ししました。どうやら私が最後の聴取だったみたいでして、『みなさん同じようなお話をされるので、そういう状況だったんでしょうね』と言われたのを覚えています。警察からはそれっきりです。私としては、最後まで楽しくお酒を飲んでいたつもりでした。これまでもこのゲームでこのようなことが起きたことはありませんでしたし、どちらかというとほとんどが成功に終わり楽しい催しになっていたのです。だから、本当にいまも信じられなくて……」

 彼の話によれば、警察は事件性がないと判断したようだ。だが数日経過すると、この件が徐々にSNSなどを通して知れ渡るようになる。7日になると15万人のフォロワーを持つアカウントが、「当日いたキャスト、被害者のお友達、彼氏周り、黒服、何十人もの人から話を聞いた」などとして連投を開始。やがて、光本氏を名指しで「人を殺した」と批判するようになった。

「初めて拝見する方でした。アカウント名もアイコンも。その方を含めて、ツイートされている方々には一切コンタクトしていませんが、あることないことがすごい勢いでリツイートされており、見るに耐えられなくて最近の投稿はまともに見ていません。実はいまは精神的に不安定になり、Twitterのアプリ自体も携帯から消してしまっているくらいなのです」


■「起業家M」で間違えられた前澤友作氏


 なお、当初、このアカウントは酒席にいた起業家を”M”とイニシャルだけ明かしていたため、ネット上では前澤友作氏ではないかともウワサされていた。実際、光本氏と前澤氏の関係は深い。彼が起業家となってまもなく起ち上げた「株式会社ブラケット」を買ったのは、当時、前澤氏が率いていた「ZOZOTOWN」であり、その後、彼はZOZOグループの中で働いていた経験も持つ。

 前澤氏の名前が出てしまったことについて聞くと、

「いまご指摘を受けるまで全然知りませんでした。ご迷惑をおかけして本当に申し訳なく思います。前澤さんとは2013年以来の関係で、いまもお食事させていただくお付き合いを続けさせていただいておりますが、あのようなゲームをご一緒したことはありません。そもそもワインを静かに飲まれるような方ですので。もしかしたら、あの店にご一緒したことが過去にあったかもしれませんが、当日あの場にいたようなことは絶対にありません」


■ショックでまだ考えがまとめられていません


 A子さんの死について、どう受け止めているかと聞くと、

「1人の方の大切な命がなくなったことに関しては、本当にショックを受けております。非常に残念でなりません。こんな悲しいことが起きてしまうこともあるということを痛感しましたので、お酒の飲み方もあらためて考え直さなければならないと反省している次第です」

 酒の飲み方以前に、自分の来し方を振り返りはしないのかと問うと、

「今回の件を踏まえて、いろんな感情がこみ上げてくるのですが、まだあまり日が経っておらず、ショックで考えがまとめられていないところです」

 と終始、光本氏は緊張した声色で語るのであった。

 以上が光本氏の話であるが、当事者の一人としての告白であり、彼の話が全て真実であるとは限らない。だが仮に彼が言う通り、A子さんが自らの意思でテキーラを煽った事実があったとしても、彼に責任がないと言えるのだろうか。

 これまで日本社会では、若者たちのコンパなどで行われるイッキ飲みで多くの尊い命を失ってきた。その度、遺族の悲しみの声に耳を傾け、二度とこのような悲劇が起こらぬよう社会問題として再確認してきたはずである。その重い歴史を、四十路に差し掛かろうとする光本氏が知らなかったとは言わせない。

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週刊新潮WEB取材班

2020年12月10日 掲載

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