「皇族」存亡の危機 宮家議論が整備されない中でのご結婚で

 秋篠宮さまのお誕生日会見では、ついに長女・眞子さまと小室圭さんとの婚姻を受け入れるとご発言。この会見を静岡福祉大名誉教授で日本近現代史が専門の小田部雄次氏はどう見たか。

 会見の中で、秋篠宮さまは憲法の〈両性の合意のみに基いて〉という一文を引用して“ご結婚を認める”と述べられました。

 確かに今の皇室にとって憲法遵守の姿勢を示すことは大切でしょう。憲法に規定されていると言われてしまえば、納得する国民も多いでしょう。

 ただ、このご説明はあくまで建前論に過ぎないと思います。皇族の基本的人権には大幅な制限がかかっており、職業選択の自由も居住移転の自由もありません。女子が皇室に入る場合のように、婚姻の自由も民間人と同程度に認められているものではないので、憲法を盾にして結婚を押し通すのはおかしいのです。

 加えて、眞子さまにとって不幸だったと思うのが、皇位継承をめぐる議論に巻き込まれてしまったことだと思います。国として皇室の制度設計をしっかりと見直していなかったのは政治の不作為。眞子さまのご結婚前にしっかり議論しておけば、皇室会議を開き事前に縁談の適否も説明できたでしょう。そうした審査機関がなかったせいで、小室さんとの問題もここまで拗(こじ)れてしまった。

 本来なら愛子さま、眞子さま、佳子さま、悠仁さま、それぞれで宮家を作り皇位継承者を確保する道もあった。ところが、眞子さまが出ていかれることが明らかになり、佳子さま、愛子さまも嫁がれれば、皇室には悠仁さまお一人しか残らない。

 4宮家ができていれば十全のディフェンスラインが築けていたのに、それが次第に崩れていくのを目のあたりにしている状況です。

 今後も男系で皇位が続くのであれば何も文句をいうつもりはありませんが、男の子を産むべしという暗黙の至上命令がある上に、何かあれば世間からのバッシングも高まる。

 そんな大変なお仕事だと分かった上で、将来の皇后として手を挙げてくれる女性が果たして見つかるか。そして、その方が悠仁さまと相思相愛になれるのか。もはや神風が吹くのを願うほかない「崖っぷち」なのです。

静岡福祉大名誉教授 小田部雄次(日本近現代史)

「週刊新潮」2020年12月10日号 掲載

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