半グレが語った“コロナ禍で金を稼ぐ手口” 「高齢化で詐欺はこれからがバブル」

■「詐欺が良いとか、悪いとかは考えたことは無い」


〈「まあ、個々に稼ぎ方はあると思うんで。金を持った者が勝ちだと思うんで。詐欺が良いとか、悪いとかは考えたことは無いですね。社会の高齢化は進んでいくし、詐欺はこれからがバブルじゃないですか」〉

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。こうした社会の混乱期に跋扈するのが、先の見えない不安で疲弊した人の心の隙間に付け入る詐欺師である。実際、国が補償する持続化給付金を不正に受給する詐欺事件も起きている。こうした事件の背景には、その手口を巧妙に考える「司令塔」と、現場で金をむしり取る「実行部隊」が存在する。一体、どんな輩が、あなたの貴重な財産を狙っているのか?

 冒頭の一説は新潮新書『半グレ 反社会勢力の実像』(NHKスペシャル取材班著)からの引用だが、語っているのは特殊詐欺などの犯罪で得た金を元手に「正業」に進出し、実業家になっている元半グレメンバー「K」である。

 同書には、普段は取材に応じない半グレたちの肉声が数多く収められている。

 彼らの証言から浮かび上がるのは、「現役」も「元」も、半グレたちが「黒」から「グレー」、そして「白」へと変色し、「反社」の色を覆い隠しながら暗躍する実態である(以下、引用は同書から)。

 Kは過去に大きく報じられた事件で、警察から黒幕としてマークされた人物。

「金にならないことはしない主義」という彼のビジネスエリアは国内だけでなく海外におよび、毎年、億単位の金を稼いでいるという。


■仮想通貨を保管するアプリも自前で開発


〈「金になる仕事だったら何だってやっていますがね、最近はITがメインです。今、何でもかんでもITという時代ですからね」

 Kが率いるグループは、インターネットを駆使した株式などの売買や、仮想通貨の取引によって、多額の資金を得ているという。専門スキルを持ったエンジニアを有名企業から引き抜き、それらの仕事を担わせているということだった。仮想通貨を保管する「ウォレット」のアプリも自前で開発し、販売しているのだという。

「単純にエステだったら女の子が集まりますし、そこから風俗とか女の子の商売につなげていけるんで、次のステップ、さらに次のステップって行けますよね。探偵事務所の依頼者が離婚問題抱えていたら、じゃあ次は裁判。裁判だったら弁護士の紹介、別居するなら部屋を紹介する。一つひとつ仲介に入っていったら、それで手数料はねていけますからね。常に次の展開のことは頭にいれて仕事をしています」〉

 暴力団との関係もあり、「持ちつ持たれつのビジネスパートナー」であるという。弁護士や政治家にも協力者がおり、東南アジアでオイルビジネスも手掛けている。東京や関西などにすぐに動ける「実働部隊」が40人ほどおり、さらにその下に多くの「兵隊」がいるという。


■燻っている人間に“金の稼ぎ方”を教える


〈「ヤクザをやめてきた奴もいれば、元銀行員、某有名企業にいたエンジニアとか、いろんなのがいますね。正業を任せられる人間もいれば、アンダーの方が得意な子もいるし、多種多様ですね。海外の拠点にも動ける人間を置いています」

 世の中には、能力や技術があっても、燻(くすぶ)っている人間が多くいる。そうした人間に金の稼ぎ方を教え、収入源を拡大してきたという。

「お金稼ぐのに、暴力だけで稼げるわけじゃないんで。もちろんそいつの能力、そして判断力。暴力でお金になることもありますけど、今は能力がメインじゃないですかね。お金欲しくて来る奴は、技術があっても知恵がない。こっちで知恵をつけて、お金稼がせてやれば、また次のことも頑張ろうとするじゃないですか」〉

■コロナ禍での“稼ぎ方”


 こうした「多様な」人材で組織された彼のグループは「一般人では想像もできないような額」を稼いでいるという。新型コロナウイルスに見舞われた2020年、海外ビジネスは渡航制限から停滞しているというが、それで大人しくしているはずもない。「今は、何をして金を稼いでいるんですか」と質問をぶつけると、こんな答えが。

「新型コロナの助成金を得るためのハコ(会社)を探している」

 離合集散を繰り返し、犯罪ごとにメンバーが入れ替わる。時には一般人として生活し、その実態を把握することが困難な半グレ――。しかし、間違いなく分かることは、彼らの多くがコロナ禍の「次のステップ」をもう見据えているということだ。

デイリー新潮編集部

2020年12月24日 掲載

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