警視庁「新捜査1課長」がやめられない「女子アナ兼記者」との飲み会

警視庁「新捜査1課長」がやめられない「女子アナ兼記者」との飲み会

就任会見に臨む福山隆夫・新捜査1課長(2021年2月10日)

「弱きを助け、悪をくじく」──会見での勇ましいイメージは早くも崩れ落ちそうである。何しろ、警視庁新捜査1課長の福山隆夫氏は昨年、1カ月に2度も「女子アナ兼記者」との飲み会に参加。しかも、その一回では、彼女を公用車に乗せて自宅に送り届けていたのだ。

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 新捜査1課長が就任会見を行ったまさにその日、「伝説の1課長」の訃報が流れる──。無論ただの偶然に過ぎないのだが、何やら因果を感じさせるのだ。

 2月15日付で警視庁の第76代捜査1課長に就任した福山隆夫氏(54)の記者会見が行われたのは10日。「果敢に、そして謙虚であれ」がモットーだという福山氏は引き締まった表情で次のように決意を述べた。

「捜査1課員、一致団結して、弱きを助け、悪をくじく。被疑者を必ず、検挙いたします。そのためには捜査1課のみならず、鑑識、科捜研、SSBC(捜査支援分析センター)、そして、機動捜査隊との連携をしっかりと図り、必ず成果を上げます」

 新1課長が意気込みを語った同日夜、訃報が流れたのは第54代捜査1課長で「ミスター1課長」などと呼ばれた寺尾正大氏である。享年78。捜査1課管理官を務めていた1984年に「ロス疑惑」、理事官時代の91年に「トリカブト保険金殺人事件」を担当した。そして、95年2月28日の捜査1課長就任当日、東京都品川区でオウム真理教による目黒公証役場事務長・仮谷清志さん拉致事件が発生。以降、「地下鉄サリン事件」など、一連のオウム真理教に対する大規模捜査の陣頭指揮を執った。

 その後、警察学校長を務めて後進の育成にもあたった寺尾氏は、指揮官に求められる資質について以下のように語っている。

〈同じ病気を診ても治せる医者と誤診する医者がいます。それと同じように捜査指揮官だって、事件を解決できる指揮官とできない指揮官とがある。その差は何によるかといいますと、捜査指揮官の「判断力」なのです。指揮官が判断して間違ったらどうしようもない。指揮官が判断を間違っても、なんとかなることもあるが、捜査がうまく運ぶかどうかの鍵は、指揮官が握っていることは間違いない〉(岡田薫著『捜査指揮』より)

 それでは、新たに捜査1課長の重責を担うことになった福山氏は、指揮官に求められる「判断力」を備えているのか否か。“ある夜”の出来事における氏の行動から、それを見ていくことにしよう。

 昨年11月19日、鑑識課長だった福山氏は、東京・六本木にある焼肉店にいた。同席者は福山氏の同期で警視庁警護課長を務める宮崎勉氏、フジテレビ警視庁キャップの男性、そして、アナウンサーを兼務するフジの斉藤舞子記者(39)である。ちなみに、

「警視庁では新型コロナの感染拡大に伴い、会食は4人以下にとどめるよう職員に要請していました。が、幹部の多くは“自分が感染したら示しがつかない”ということで、会食自体を控えています。東京都などに再び緊急事態宣言が発令された後は、人数にかかわらず会食を自粛するよう職員に要請が出されています」(全国紙社会部デスク)

 福山氏は千葉県出身。千葉商科大学付属高校から千葉商科大に進み、89年に警視庁に入庁した。

「高校時代から野球をやっていたそうです。本人は甲子園には行けなかったのですが、息子2人は甲子園に出場しています」

 と、警視庁関係者。

「きさくな人柄で記者ウケは抜群。コミュニケーション能力が高く、組織をうまくハンドリングして動かしていくタイプ。大きな手柄こそないが、調整型で誰からも好かれる『敵がいない人』。通常、1課長になるのは56歳から57歳くらいのことが多いが、福山さんは54歳。それだけ優秀だということです」

 リップサービスなど望むべくもなく、記者から「冷たい」と評されることもあった“捜査の鬼”、寺尾氏とは真逆のタイプのようだ。

 警視庁側のもう一人の会食の同席者、宮崎氏は、

「父親が“鬼のみやちゅう”と言われ、伝説の公安警察官として数々の実績を上げた宮崎忠・元警視庁公安部参事官。息子は“みやべん”と呼ばれ、“親の七光りだけでのし上がった”と陰口をたたかれることもあります」(同)

 警護課長は警備部の中でも重要な役職だといい、

「仕事は、基本的にSPや官邸警備隊の統括で、総理大臣をはじめとする要人のスケジュールは全て把握しています。内閣改造の際も、誰が閣僚に抜擢されるのかという情報がいち早く入ります」(同)


■「女子アナ好き」


 福山氏の当時の肩書は鑑識課長だが、その時点で捜査1課長になるのはほぼ確定的。すなわち、フジの警視庁キャップ氏は極めて重要な情報源となり得る二人を相手に会食していたことになるのだ。

 そんな席に呼ばれた斉藤記者は慶応大を卒業後、2004年にフジ入社。その年に「あっぱれ?さんま大教授」で明石家さんまのアシスタントに抜擢され、翌年からは「笑っていいとも!」にも出演していたから、顔に見覚えがある方も多かろう。本人は報道志向が強く、現在は日曜朝の「FNNニュース」のキャスターなどを務めながら社会部記者としても活動している。

 プライベート面では、17年にフジの社員と結婚した。

 実は、フジの警視庁キャップと斉藤記者は、昨年12月17日にも福山氏と渋谷区内の焼肉店で会食している。

「福山さんも宮崎さんも女子アナ好きだと聞いています。福山さんに関しては、斉藤記者のファンだという情報もあります」(別の警視庁関係者)

 1カ月もたたないうちに2度目の会食が設定されたのはそのためかもしれないが、11月19日の六本木での会食に関しては聞き捨てならない情報もある。

「会食の後、福山さんが斉藤記者を公用車に乗せ、自宅まで送っていったというのです。警視庁の内規では、公用車に捜査関係者以外を乗せてはいけないことになっています」(同)

 内規違反を犯してまで、斉藤記者を公用車で自宅に送る。なんとも“果敢”というか大胆な「判断」をしたものである。

「2年前、大阪府警の南堺署で似たような不祥事が起こっています。南堺署の課長が複数の部下との飲み会に参加。一人の女性署員が酒に酔って気分が悪くなると、課長は当直中の署員に命じてその女性署員を公用車で自宅まで送るよう指示したのです。府警はこの件について内規違反の疑いで調査していました」(先の全国紙社会部デスク)

 身内同士の話でも、この一件は新聞報道までされた。

 果たして1カ月で2度も行われたこの会食の出席者は何と言うか。フジの警視庁キャップは、

「お答えすることができないんです」

 と言うのみ。


■1課長の「弁明」


 一方、捜査1課長着任の2日前に自宅で取材に応じた福山氏は、会食の事実は認めたものの、彼女のファンなのかとの問いには、

「全然違う。ファンでは全くないですよ。全然ない」

──自宅まで送ったのは公用車の私的利用に当たるのでは?

「それはね、丁寧に説明しますと、会合中に斉藤さんの体調が急変しちゃったんですよ。悪くなっちゃったんですよ」

──飲みすぎた?

「いや、違う。飲みすぎだと、ただの酔っぱらいになっちゃうからね。(症状の)内容は分からないけど、顔色が悪くなって、ああいう方だからこれはまずいっていうんで、一番早い手立ては私の(公用車)。(店から彼女の自宅まで)15分くらいだったんで、じゃあ、私(の公用車)に乗って行って下さいって、緊急搬送したわけです」

──病院ではなく、自宅に?

「もちろん、もちろん。自宅、自宅。自宅に帰さないとまずいということで」

──ご自宅に戻れば大丈夫な程度の気分の悪さだったということ?

「うん。だから、そこでじゃあ、というわけにはいかないので。私的利用というか、あのー、体調悪い人をそのまんまにしてらんないですもんね」

──六本木のお店はどういった店だった?

「焼肉屋です。もちろん、フジさんだけじゃない。連日、各社、均等にやっていますからね。その一回だけ、体調が悪くなって。ご自宅も知らないので。あのー、近いっていうんで、じゃあ、もう、すぐ行きましょう。で、送って、帰って。もちろん(車内には運転している)部下がいますので」

──部下が運転して、ということですね。

「そうそうそうそう」

──遊びで使ったわけではない、と。

「全くない」

──体調が悪くなった女性を送っていっただけ、と。

「うん。もし、(体調が悪くなったのが男性の)キャップだったら、キャップを送っていく。それだけです。まず、(斎藤記者に)会ったのも初見ですし、ファンだとかは全くない。(キャップの)部下だったんでしょ。それで、体調急変で、まあ、やむを得ずお送りしました。それだけです」

──昨年12月17日の会食の際は彼女を自宅に送っていない?

「ないですよ。(1回目の会食の時は)だから、体調が悪いから。それだけ」

──分かりました。

「あなた(本誌(「週刊新潮」)記者)が体調悪くなっても、僕、送っていきますよ」

 以上が福山氏の“供述”である。曰く、会食は各社、均等にやっている。フジとの会食中、斎藤記者の体調が急変したため、すぐに乗せられる公用車で、病院ではなく自宅に「緊急搬送」した。もし、本誌記者の体調が悪化したら公用車で送ってくれる──。

 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が言う。

「1社とだけ会食していたと思われるのはまずいから“各社と”と答えたのでしょう。でも、警視庁の記者クラブには新聞、テレビを合わせて20社ほどあるわけで、全社と平等に飲み会を開いていたとは到底思えませんね」

 元読売新聞記者でジャーナリストの大谷昭宏氏は、

「警察の車は一般の公用車とは違って緊急車両。そこに女性記者を乗せているのだから問題です。仮にその間にとんでもない凶悪事件が起こり、現場に急行することになったらどうするのか。気分が悪くなった女性記者を放り出して現場に向かうのでしょうか」

 と苦言を呈した上で、こんな懸念を口にする。

「先日亡くなった寺尾正大さんや、少し前に亡くなった(元警視庁捜査1課長の)田宮榮一さんは、情報管理に非常に気を使ったと聞いています。メディアとしっかり向き合って、先走りや捜査妨害をさせない。今回、1課長になった福山さんは情報管理の面で大丈夫なのかと不安になります」

 寺尾氏は〈私心があると、まず、ほとんどが失敗します〉(前掲書)とも述べている。斎藤記者を自宅まで送っていった福山氏に“私心”はなかっただろうか。

「週刊新潮」2021年2月25日号 掲載

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