退社を申し出た「菅首相」長男、首相のスポンサーだった同族経営が終わった「東北新社」

■息子と娘婿


 総務省のキャリア官僚に対する度重なる接待が問題視された「東北新社」は2月26日、二宮清隆社長が辞任し、接待を行っていた菅首相の長男を含む幹部3人の役職を解く処分を行ったことを発表した。長男は退社を申し出ているという。東北新社の創業者は菅首相のスポンサーで、その一族がトップを務めてきたが、それも終わることになる。

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 後任の社長には中島信也副社長が就任したことが発表された。

 広告代理店の幹部に聞くと、

「中島さんは広告クリエイティブ業界では超がつく有名人です。日清カップヌードルの『hungry?』や小便小僧が印象的なサントリーの『DAKARA』、宮沢りえと本木雅弘のサントリー『伊右衛門』など、誰もが見たことのあるCMシリーズを手がけてきました。実績はもちろん副社長という意味ではいつ社長になってもおかしくはなかったんですが、東北新社はファミリー経営でやってきた会社。今回の問題を受けての異例の登板であることは間違いない」

 中島新社長と霞ヶ関との距離が“それなりにありそうなイメージ”も、出直しを期する会社のトップ就任を後押ししたはずだ。

 この幹部に、「ファミリー経営」にも触れてもらうと、

「一代で東北新社を築きあげた創業者の植村伴次郎さんは秋田出身で、同郷の菅さんを物心両面で長らく支援してきたようです。菅さんの長男を預かる形で入社させたことからも、『植村・菅』の関係の深さを物語っています。伴次郎さんが2010年に社長を退くと、長男の徹さんが後を引継ぎました」

 そして伴次郎氏の体調が悪化するなどした19年の春に、社長は二宮清隆氏にスイッチした。

「二宮さんは伴次郎さんの娘婿に当たる。伴次郎さんはその年の秋に亡くなり、徹さんも昨年春にコロナに感染して死去。58歳の若さでした。そんな二宮さんもおよそ2年で引責辞任(特別顧問に就任)ということで、同族経営は一旦終わった形になりました。徹さんと二宮さんとの間には確執があったとされ、今回の一件の遠因と見る人もいますね」

■「申し訳ない」


 その一方で、菅首相の長男は、メディア事業部の趣味・エンタメコミュニティ統括部長の役職を解かれ、人事部付に。兼務していた子会社「囲碁将棋チャンネル」の取締役も辞任した。

 政治部デスクに聞くと、

「本人は、総務省の最高幹部らのキャリアに泥をぬってしまったことに申し訳ないということ、世間を騒がせてしまったことについて反省しているようで、退社を申し出ていると聞いています。菅さんが総務大臣時代の大臣秘書官とはいえ、1年足らずですし、ミュージシャンをやってきた時間の方が長く、クリエイティブ部門で活躍する道もあったと思いますが、菅さんが創業者に“カバンもち”として預けた手前、そっちの方向に進むのも難しかったのかもしれません。その意味で、長男は気の毒だという声も聞こえてきますね」

 首相の子息であり、その首相が影響力を保持する省庁の官僚としては会わない理由はないというのが一般的な対応ではある。

「ただ、長男本人はそれをひけらかして免許の更新に繋げたとか、行政を歪めるようなことがあったとか、そういうこともなく、実際そのような事実はないと社内調査には答えているようです。長男がいてくれるだけで、会社もありがたかったのは事実でしょうから、むげに扱うということはなく、慰留を続けると思われますが……」

デイリー新潮取材班

2021年3月4日 掲載

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