新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(コロナ太り、コロナ骨折、コロナ転倒)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(コロナ太り、コロナ骨折、コロナ転倒)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(コロナ太り、コロナ骨折、コロナ転倒)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

新型コロナウイルス対策として、外出の自粛が行われました。多くの人が自宅から出ないようにし、公共交通機関やレストランなどで感染しない努力をしていました。その結果、運動不足となり、体重が急激に増加し、いわゆる「コロナ太り」という状態となったのです。すなわち、生活習慣病の危険性が高くなったと言えます。実際、病院に定期受診して血液検査をしている患者さんの中には、コレステロールや血糖が急に増加してしまったという人が複数います。

しかし、心配すべきことは「コロナ太り」だけではありません。救急外来の状況をみていると、高齢者が転倒したり、骨折したりして受診することが多くなりました。「コロナ転倒」「コロナ骨折」というべきものかもしれません。筋肉は使わなければ萎縮します。骨もある程度の圧力を加えなければ弱くなります。高齢者はもともと転倒しやすく、骨折しやすいので、外出自粛によって自宅に閉じこもっている間に筋肉も骨も弱くなり、転倒や骨折をするのです。

第2波・第3波がやってきた時は、「コロナ太り」「コロナ転倒」「コロナ骨折」対策を徹底しなければなりません。WHOは下記のように運動することを推奨しています(1)。

● 1歳未満の乳児:1日に数回身体を動かす。
● 5歳未満の小児:3〜4歳の小児では1日1時間は適度または活発に活動しながら、少なくとも1日180分間は身体活動に費やす。
● 5〜17歳の小児と青年:すべての小児と青年は、少なくとも週に3日、中程度から激しい強度の身体活動(筋肉と骨を強化する活動を含む)を少なくとも1日60分行う。
● 18歳以上の成人:週に合計で少なくとも150分間の中程度の強度の身体活動を行う。または、少なくとも75分間の激しい強度の身体活動(筋肉強化活動を含む)を週に2日間以上行う。
● 運動能力の低い高齢者:バランスを高め、転倒を防ぐために、週に3日以上の身体活動を行う。

それでは、新型コロナウイルスが再び流行したときには、発熱や咳があっても、このように運動したほうがよいのでしょうか? それとも、安静にしたほうがよいのでしょうか? その答えは「運動できると思ったら、運動しましょう。発熱や咳があるということで運動の自粛をしないようにしましょう」ということになります。むしろ、新型コロナウイルスに感染したと思ったら、下肢の運動を強化することをお勧めします。とても恐ろしい「肺血栓塞栓症」を予防するためです。

「肺血栓塞栓症」は別名「エコノミークラス症候群」とも言われています。飛行機の狭い座席に長時間座っていて、急に立ち上がった時などに発症します。長時間、同じ姿勢でいると足の静脈の血液の流れが悪くなり、血液の塊ができてしまいます。特に、脹脛(ふくらはぎ)で塊ができやすいのですが、それが次第に大きくなり、その一部がちぎれて静脈の中を流れて肺に到達し、肺動脈を塞いでしまいます。これを「肺血栓塞栓症」と言います。こうなると肺に血液が流れなくなり、呼吸ができなくなってしまいます。さらに、血圧が低下し、死に至ることもあるのです。特に、新型コロナウイルスに感染すると、血液が固まりやすくなるので、肺血栓塞栓症の危険性は高まると言えます(2)。そのため、発熱や咳があるということで新型コロナウイルス感染症を心配しているならば、安静にするのではなく、特に下肢の運動を強化しましょう。もちろん、呼吸困難があるとか、倦怠感が強いなどがあれば医療機関に迅速に受診する必要があります。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

〔文献〕
(1)WHO:Be active during COVID-19.
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-answers-hub/q-a-detail/be-active-during-covid-19
(2)Griffin DO et al:Pulmonary embolism and increased levels of D-dimer in patients with coronavirus disease.
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/8/20-1477_article

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