新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(マスク)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(マスク)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

新型コロナウイルス第2波・第3波にそなえた感染対策(マスク)―うっかりやりがちな感染対策の間違い

昼にデパートやスーパーマーケットに行くと、ほとんどの人がマスクを着用しています。そして、深夜にコンビニに行くと、マスクを着用していない人の割合がグッと高くなります。昼と夜の違いの理由は定かではないのですが、客層が異なるからでしょうか?

いずれにしても、マスクは多くの人々が使用しており、色付きマスク、布マスク、紙マスクなど様々なマスクが使用されています。人によっては、ハンカチに細工したものや、Tシャツなどを加工したものを使用しています。このようなマスクは新型コロナウイルス対策として有用なのでしょうか? 病院で使用している医療用マスク(サージカルマスク)や高性能マスク(N95マスク)の方がいいのではないでしょうか? 新型コロナウイルスが流行してくると、少しでも感染する機会を減らしたいので、マスクも重装備のものを使用したくなってしまいます。

実は、街中で使用するマスクは布マスクでも、紙マスクでも、そして、ハンカチの加工マスクでも何でもよいのです。無症状の感染者や軽症の感染者が街中を歩いている時に周囲の人々に向かって飛沫を飛散させないことが目的だからです。もし、マスクを忘れて、街中を歩いている時に、咳やくしゃみをするならば、ハンカチやティッシュを口に当てたり、それがなければ腕で鼻と口を押さえます。それでも有用なくらいなので、マスクには飛沫を飛び出させない効果さえあればよいのです。

時々、N95マスクを着用してバスや電車に乗っている人を見かけます。N95マスクは先が膨らんでいて、マスクをゴムで頭に固定するという特殊な形状をしているのですぐに見分けがつきます。このマスクを着用して街中を歩くと苦しくなると思います。むしろ危険かもしれません。以前、中国でN95マスクを着用して、1キロ走をした中学生が死亡した記事を見たことがあります。暑い日には熱中症となってしまうかもしれません。

サージカルマスクやN95マスクは病院で医療従事者が患者を診療する時に短時間用いるマスクです。診療中にマスクの表面にウイルスが付着するので、使用直後に廃棄します。サージカルマスクは細菌・微粒子バリア性と液体バリア性を持った3層構造となっており、医療従事者を飛沫曝露から守ります。N95マスクは空気中に浮いている病原体がマスクと顔の皮膚の隙間から侵入しないように密着するように作られています。病院でN95マスクを使用する場合、本当に顔面に密着しているかどうかをチェックします(1)。そのようなチェックに合格していないN95マスクは使用できません。しかし、一般の方々がN95マスクを着用していても、そのようなチェックがなされていないことから、本当に効果があるかどうか分からないのです。

すでに述べたように、街中でマスクを着用するのは「自分の飛沫を周囲の人々に飛散させない」ということが目的です(2)。そのため、幅広い種類のマスクが利用できます。一方、医療従事者は感染者の飛沫やエアロゾルを吸い込まないようにマスクを着用します。そのために、サージカルマスクやN95マスクを短時間着用するのです。一般の方がサージカルマスクやN95マスクを使用する必要はありません。

一般の方がマスクを使用する場合であっても、「2歳未満の子ども」「呼吸苦のある人」「意識のない人」「自力ではマスクを取り除くことができない人(障害のある人、超高齢者、体力が著しく低下している人など)」はマスクを着用しないようにします(2)。マスクを着用することが危険だからです。

(著者:浜松医療センター 院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野 邦夫)

〔文献〕
(1)CDC:Guidelines for preventing the transmission of Mycobacterium tuberculosis in health-care settings, 2005.
https://www.cdc.gov/mmwr/pdf/rr/rr5417.pdf
(2)CDC:Considerations for Wearing Cloth Face Coverings.
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cloth-face-cover.html

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