新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策における環境消毒薬

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策における環境消毒薬

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策における環境消毒薬

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、金属やプラスチック、ステンレス、段ボール上での生存期間に関する報告がされています。銅では4時間で、段ボールでは24時間後に生存が確認されなくなったのに比べ、感染力は低下したものの、ステンレスで48時間後、プラスチックで72時間後まで生存していました(1)。SARS-CoV-2 はインフルエンザウイルスと同様にエンベロープを有するため、アルコール(エタノール濃度60〜90%・イソプロパノール70%を推奨)が有効です(2)。また、消毒用エタノールと同様に、中水準消毒薬である次亜塩素酸ナトリウム溶液(0.05%以上)も効果を示します。したがって、COVID-19に対する環境消毒として、患者周辺の高頻度接触環境表面や患者の皮膚に直接接触した器材(血圧計や体温計)は、これらの消毒薬を用いて清拭消毒することが重要です。“消毒効果や吸入毒性の観点から、消毒薬の噴霧は行ってはいけません。”

COVID-19流行によって、マスクのみならず擦式アルコール手指消毒薬や消毒用エタノールの不足が大きな問題となりました。その結果、比較的容易に入手可能な次亜塩素酸水の販売あるいは自治体から配布され、その使用頻度は増加しました。安全性が高く、噴霧による空間除菌も可能と紹介され、学校施設や会社、家庭でも使用されるようになりました。しかし、2020年6月に製品評価技術基盤機構(NITE)は、SARS-CoV-2の消毒目的で使用されている「次亜塩素酸水」について、清拭消毒で有効塩素濃度80ppm以上、掛け流して拭き取る場合で有効塩素濃度35ppm以上を必要としました。しかも、次亜塩素酸水の利用に当たっては、汚れ(有機物:手垢、油脂等)をあらかじめ除去し、対象物に対して十分な量を使用する必要があると述べています(3)。次亜塩素酸水は、塩素濃度や酸性度(pH)等の条件によって効果が変化します。手指消毒や空間噴霧の有効性・安全性は検証されていません。次亜塩素酸水の使用には十分注意すべきであり、現時点では確実な効果が保証されている消毒薬を使用することが望ましいと思われます。なお、家庭用洗剤でもSARS-CoV-2への効果が認められており、感染リスクに応じた消毒(清掃)の選択肢の一つとなります。

(著者:岩手医科大学附属病院感染制御部 副部長 小野寺 直人)

〔文献〕
(1)Doremalen NW et al:Aerosol and surface stability of HCoV-19(SARS-CoV-2) compared to SARS-CoV-1.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7217062/pdf/nihpp-2020.03.09.20033217.pdf
(2)日本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第3版.
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide3.pdf
(3)製品評価技術基盤機構(NITE):新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について最終報告をとりまとめました。〜物品への消毒に活用できます〜.
https://www.nite.go.jp/information/osirase20200626.html

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