新型コロナ 第3波 沖縄県の現状

新型コロナ 第3波 沖縄県の現状

新型コロナ 第3波 沖縄県の現状

沖縄県では、8月初旬に大きな第2波を経験しました。この第2波をもたらした契機となったのは米軍兵士の集団感染と他都道府県からの若者の旅行者でした。7月22日に開始したGo To トラベルが後押しとなりました。ウイルスは宿主と一緒に移動しますので、トラベルがウイルスを拡散させることは明らかです。沖縄県の経験から、第3波の直接原因は、10月1日から東京をGo To トラベルに加えたことによると考えます。第2波が大きかった沖縄県にも第3波が押し寄せている徴候が見えます。

トラベルが原因になった麻疹事例を紹介します。2018年3月に沖縄県から麻疹の流行が始まりました。初発患者は、台湾からやって来た30代男性で、3月上旬にタイを旅行し 3月14日に台湾で発症しました。発症した状態で3月17日から沖縄県内を旅行し、県内各地の商業施設や飲食店を観光で巡りました。観光地の従業員やその家族らへと二次感染が広がり 29名発症しました。

トラベルの語源を遡ると、「トリパリウム(Tripalium)」というラテン語に行き着き、これは3つの杭で磔にする拷問器具です。この言葉から「こらしめる」(Tripaliare)が生まれ、フランスに入り「苦しめる」(Travailler)と展開し、「トラバーユ(Travail):苦しむ」が生まれ、英語では「トラベル(Travel)」となったのです。簡単に旅ができる現在と違い、昔の旅は大変な苦労を伴うものだったのでしょう。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がトラベルで感染するのは、ウイルス排出のピークが発症日であるからです。さらに潜伏期間は平均5.6日であり、長い場合は2週間です。また若者では無症候感染者も多いとされています。このため旅行前に無症状であっても感染源になりえます。現在わが国で展開しているGo To トラベルは、「苦しもう」という意味であり、第3波が我々を苦しめるのは必然であったように感じます。

(著者:琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科) 教授 藤田 次郎)

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