松橋事件で再審無罪の宮田浩喜さんが国と熊本県を提訴へ。警察と検察の許されざる過ちとは。

松橋事件で再審無罪の宮田浩喜さんが国と熊本県を提訴へ。警察と検察の許されざる過ちとは。

松橋事件で再審無罪の宮田浩喜さんが国と熊本県を提訴へ。警察と検察の許されざる過ちとは。の画像

松橋事件では無罪となった元被告の男性が、熊本県と国に損害賠償を求める訴訟を起こしました。争点は取り調べの方法と証拠物の扱いです。冤罪事件を撲滅するには、科学捜査の発展と証拠物の扱いを改善することが不可欠です。

1985年に発生した「松橋事件」は昭和に引き起こされた冤罪事件です。殺人の罪に問われた宮田浩喜さんは、裁判の途中で自白は無効だとして主張し、その後の弁護団の懸命の努力により無罪を勝ち取ることになりました。

宮田浩喜さんは服役後の再審で無罪となりましたが争点になったのが自白の正当性です。昭和に発生した冤罪事件の多くに共通するように、警察による「自白の強要」が問題だったといえるでしょう。事実、宮田浩喜さんに対する取り調べは、長時間であったことが立証されています。また証拠についても疑わしい点があり、多くの課題を残した事件です。

宮田浩喜さんは熊本県と国に対して、約8500万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を起こしています。違法な捜査方法や身柄を長時間拘束されたことが訴訟の理由です。無実は認められたものの、いわゆる「違法捜査」については言及されていません。同じような冤罪事件を発生させないためにも、熊本県や国を相手取った訴訟の行方が注目されます。

「松橋事件」では警察の取り調べと証拠の扱いが問題になりました。多くの冤罪事件に通じる問題だといえるでしょう。宮田浩喜さんは無罪確定後、警察の捜査方法をめぐって訴訟を起こします。

誰もが長時間にわたる精神的な圧力をかけられれば「逃げたい」と思うものです。事実ではなくとも認めてしまうことは致し方ないといえるでしょう。「松橋事件」では、任意の取り調べでありながら、短期間に70時間以上の尋問が続いています。まさに「逃げたい」といった心理状況にあり、自白が誘導されたことが容易に想像できるでしょう。

「証拠物」も松橋事件の大きなポイントです。再審請求にあたって、弁護団は起訴後に発見された証拠物の提出を求めています。しかし、検察側は一向に応じようとしませんでした。新たな証拠物には宮田浩喜さんを犯人とするには矛盾するものも多くあり、隠蔽と疑われても仕方ありません。また、証拠の提出を先延ばしは裁判の長期化を意味し、裁判のあり方に大きな課題を残しました。

昭和には数多くの冤罪事件が発覚しています。その多くは警察の誤った操作方法が原因です。警察はそのたびに謝罪を繰り返してきましたが、失われた人生は戻ってきません。非常に罪深い失態であるといえるでしょう。

昭和から令和の時代に移り変わる中で、科学捜査の進化は目覚ましいものがあります。さらに、取り調べの可視化が行われており、違法捜査は限りなくゼロに近付いたといえるでしょう。ただし任意の取り調べでは録画・録音は行われていません。化学捜査にも発展の余地があり、冤罪を完全に撲滅するにはさらなる努力が求められています。

科学捜査の発展や取り調べの可視化が進む中で、一向に再審されない事件もあります。その代表格が1979年に発生した「大崎事件」です。殺人罪に問われた女性は、自白は強要であったことなどを主張していますが、裁判は行われていません。冤罪事件の多くは、誤って逮捕された人が高齢化しています。事実を立証するためにも、迅速な対応が迫られています。

罪なき人の逮捕を防ぐためには、警察の操作方法の高度化や可視化は不可欠です。長時間の拘束による取り調べは、自白を誘導するだけだといえるでしょう。さらに裁判のあり方にも改善が必要だと考えられます。とりわけ証拠物については、可能な限り全てを開示するのが公正だといえるでしょう。また裁判期間については、事実を風化させないためにも短縮化が求められています。

関連記事(外部サイト)