東海大野球部を揺るがした大麻問題で問われる連帯責任の意義。本当に必要な対応とは?

東海大野球部を揺るがした大麻問題で問われる連帯責任の意義。本当に必要な対応とは?

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東海大学の硬式野球部の寮内で部員5、6名が大麻を使用していたことが神奈川県警の家宅捜索によって明らかとなりました。この事件を受けて東海大学は硬式野球部の無期限の活動停止を決定しましたが、無関係な部員を巻き込んだ連帯責任の取らせ方に対して批判的な声も上がっています。

神奈川県警が10月16日に神奈川平塚市内にある東海大学の硬式野球部の寮の家宅捜索を行ったところ、室内で大麻を使用したと見られる痕跡が見つかりました。この家宅捜索をきっかけに東海大学硬式野球部の5〜6人の部員が薬物の使用を認めたため、神奈川県警は大麻取締法違反容疑で部員から事情を聴くとともに、家宅捜査で採取した物質の成分の分析を行っています。

この硬式野球部の部員による大麻使用が発覚したことによって、翌日の10月17日に東海大学の山田清志学長と伊藤栄治野球部長らが記者会見を行い、謝罪をしています。また、その会見では謝罪とともに硬式野球部には無期限の活動停止処分が科されることも発表されています。

広島カープの田中広輔選手や巨人の菅野智之投手、大城卓三捕手などをはじめとして数多くのプロ野球選手を輩出してきた名門校の活動停止処分に対して、潔白な他の部員への悪影響を心配する声も上がっています。

活動停止処分によって最も割を食うことになるのが大麻使用にかかわっていない潔白な他の部員たちです。大学2年生・3年生は公式戦などで活躍することによってプロ野球のスカウトの目に留まる機会をこれから得ていくはずでした。しかしながら、自分に非がないにもかかわらずそうした機会が奪われることに対して、安易な連帯責任であるという批判の声も上がっています。

また、こうした道徳的な側面からの批判だけでなく、組織の運営という観点からの批判も安易な連帯責任に対して生じています。健全な組織を維持するためには、組織内の不正がすぐに暴かれることが必要となります。そして、その組織内の不正を暴く役割を担ってくれるのが不正を働かない良識ある人たちです。しかしながら、連帯責任を取らせる場合、不正に携わっていない人まで不正による罰を受けることになります。そのため、本来であれば不正を告発することによって組織を健全に保とうとする良識ある人たちでさえ、自らの不利益を避けるために内部告発をしないという選択をとる可能性が高まることも指摘されています。

連帯責任は不正が生じるまでは互いに監視の目を光らせ、不正を抑止する効果をもつ可能性があります。しかしながら、一度不正が始まると、連帯責任による罰を恐れて内部告発が生じにくくなるというデメリットも指摘されています。精神的にも未熟な学生スポーツにおいて連帯責任が本当に他の学生のためになるのか。今、改めて連帯責任のあり方が問われています。