山健組若頭「刺傷事件」初公判――決行までの周到な準備が明らかに

山健組若頭「刺傷事件」初公判――決行までの周到な準備が明らかに

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山健組若頭「刺傷事件」初公判――決行までの周到な準備が明らかに (C)週刊実話Web

両山口組への特定抗争指定の端緒になったといわれる事件の裁判が、3月17日、19日に神戸地裁で開かれた。



一昨年4月、神戸山口組・五代目山健組(当時)の與則和若頭が刺された事件に対する報復として、中田組長が逮捕、起訴された弘道会系組員への銃撃が同8月に起きたとみられ、同10月に山健組系組員射殺、翌月には古川恵一幹部が射殺される事件が発生。そのため、與若頭刺傷事件の公判は重要視されていた。


殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた中村光弘組員と堀田幸弘組員は、弘道会・野内正博若頭の野内組傘下二代目北村組に所属。同組を率いる西川純史組長は、平成30年に任侠山口組(現・絆會=織田絆誠会長)から野内組に参画し、犯行について「移籍の手土産ではないか」とも囁かれた。


しかし、初公判当日、実行犯である中村組員は、罪状認否において殺意と堀田組員との共謀を否認。弁護側も「友人と神戸山口組関係者のトラブルがあり、浅からぬ因縁があった與若頭を痛めつけようと刺したもので、傷害罪に当たる。動機は個人的なものだった」と主張した。運転手役だった堀田組員も無罪を主張。弁護側は「(犯行を遂げた)中村組員が車に乗り込んたとき、初めて包丁を持っていることを知った。共謀は成立しない」とした。対する検察側は、事件現場周辺の防犯カメラ映像などを証拠として提出し、犯行に及ぶまでの2人の周到な準備を明らかにしたのである。


決行1週間前となる4月11日、2人は兵庫県神戸市中央区内のホテルに宿泊。翌12日、犯行現場となる春日野道商店街を下見し、16日まで個室ビデオ店で寝泊まりした。13日にはレンタカーで現場周辺を走り回るなどし、両組員が商店街周辺で與若頭の動向を探っていると思われる様子を、防犯カメラが捉えていた。検察側証人として出廷した與若頭と顔見知りの一般男性は、商店街にある居酒屋で両組員と4月12、13日に居合わせ、「與若頭が歩いているのを2人が店内から見ていた」と証言。


16日には、商店街近くのスーパーマーケットで、凶器となった刃渡り21.4センチの包丁を中村組員が購入(その後にもう1本購入)。当時、堀田組員も約7メートル離れた場所におり、検察側は「包丁を買ったのを視認できた」と主張した。また、防犯カメラ映像には、中村組員が1人で歩き回る様子や車両の走行状況の他、中村組員がある人物を追尾する様子も映っていた。


共謀の立証に自信を持っている検察

「その人物は與若頭行きつけの飲食店の常連で、與若頭とは出身地も同じで顔見知りだったそうです。背格好や髪形もよく似ており、中村組員から『組長さんですか?』と声を掛けられたと、供述していました」(全国紙社会部記者)


17日、午後9時半前から與若頭が出入りするスナックが見える駐車場に車を止めて見張り、周辺を徘徊。決行直前、中村組員はコップ酒を買い、「自分を鼓舞するため」(検察側)に、路上で腕立て伏せをする防犯カメラ映像も残されていた。


18日午前0時3分、スナックから女性従業員と共に出る與若頭の姿を確認した中村組員は、包丁が入った手提げ鞄を手にあとを追った。商店街に入ったところで歩調を速めて與若頭に接近。その直後、背後から臀部、左腰部、右背部を続けざまに刺し、さらに腰を押さえながら振り返った與若頭の左肩に切りつけた。中村組員は包丁を鞄にしまいながら引き返し、商店街の入り口に着いた堀田組員が運転する車両に乗り込んで逃走したのだ。


救急搬送された與若頭は一命を取り留めたが、担当医師によると傷は約15センチと深く、肝臓に達するものもあり、「出血量は3000ccに及び、出血性ショック状態だった」という。そのため、検察側は殺意があったと指摘した。


逃走後、両組員は「春日野道の商店街で人が刺された。早う行ったれ」などと、それぞれ110番通報を入れていた。2人は居酒屋に立ち寄り、午前1時6分に店を出て、タクシーで兵庫県警灘署に出頭。タクシーのドライブレコーダーには、堀田組員が「お前、えらいことしてくれたな」と話す音声や、降車直前に中村組員へ握手を求める様子が記録されていたという。


「こうした防犯カメラ映像から、検察側は共謀の立証に自信を持っているようです。両山口組の抗争だとして、警察関係者も証人出廷しました。何より、これまでの対立事件では弘道会から複数の実行犯が出ています。いずれも綿密な犯行準備を行っており、今回の件も検察側は抗争事件と位置づけています」(前出の全国紙記者)


次回公判では被告人質問が行われる予定で、2人の主張内容が注目される。



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