日産「7代目フェアレディZ」で復権! 3期ぶり最終黒字へ〜企業経済深層レポート

不振にあえいでいた日産自動車に復活の兆し 7代目『フェアレディZ』が今冬販売へ

記事まとめ

  • 日産自動車は今期営業利益が1500億円に達すると発表、3年ぶりに黒字転換する見通し
  • 18年に前会長のゴーン被告が、東京地検特捜部に金融商品取引法違反等の罪で逮捕
  • 7代目『フェアレディZ』が13年ぶりに改良され、国内では今冬から発売されるという

日産「7代目フェアレディZ」で復権! 3期ぶり最終黒字へ〜企業経済深層レポート

日産「7代目フェアレディZ」で復権! 3期ぶり最終黒字へ〜企業経済深層レポート

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企業経済深層レポート (C)週刊実話Web

不振にあえいでいた日産自動車に復活の兆しが見えてきた。同社は7月28日、今期(2022年3月期)の営業利益が1500億円に達すると発表し、3年ぶりに黒字に転換する見通しとなった。



この数字を自動車アナリストが解説する。


「日産は20年3月期に、純損益6712億円と巨額の赤字決算に転落している。そこから一転、黒字となっただけに、まさに奇跡の大復活といわれています」


日産は18年に前会長のカルロス・ゴーン被告が、東京地検特捜部に金融商品取引法違反等の罪で逮捕され、19年には当時の西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)が不正報酬問題で辞任。その混乱から業績不振に歯止めがかからなくなっていた。


しかも、泣きっ面に蜂といった状況下で任期がスタートした内田誠社長兼CEOに、突如として新型コロナウイルスという逆風が吹いた。そんな八方ふさがりの中、内田CEOは「日産ネクスト」という大胆な事業構造改革に乗り出した。


「反転攻勢の第一歩は、不採算部門への大ナタでした。稼働率の落ちていたスペインのバルセロナ工場やインドネシア工場を閉鎖し、生産能力の最適化を図りました」(同)


それから約1年、日産は新型車の導入、3000億円以上のコスト削減に成功し、結果として3年ぶりに業績が黒字に転換した。


内田体制の成果は、海外での新車販売が大幅に回復したことでもよく分かる。今年4〜6月の新車販売は、世界で前年同期比63%増の104万8000台を記録している。自動車メーカー関係者が詳述する。


あえて6速マニュアルを残す7代目『Z』

「最大の米国市場は、20年10月に投入した新型SUV(多目的スポーツ車)『ローグ(日本名エクストレイル)』が好調で、販売台数は前年より68%増加。カナダとメキシコを含む北米全体では、同70%増の37万台を販売した。中国市場ではセダン『シルフィ』が好調で、同71%増の35万台を販売しています」


経営体質も改善した。ゴーン時代は特に北米での販売台数を伸ばすため、メーカー側が大幅な販売奨励金(インセンティブ)を負担しており、それが日産の経営悪化につながっていると指摘されていた。


「トヨタなどの販売奨励金が20万円とすれば、日産は倍以上の50万円を払ってでも販売台数を伸ばそうとしていた。これが内田体制になって圧縮され、日産は車の性能や品質などの商品価値、中身で売る本来の姿に戻ったのです」(同)


日産のディーラー関係者が明かす。


「一時は地に落ちた日産ブランドを再び輝かせるには、これからが本番。というのも、全世界が注目する7代目『フェアレディZ』と新型EV(電気自動車)『アリア』、新型の軽EV『IMk(アイエムケイ)』(仮称)が控えているからです」


『Z』は1969年の発売以来、半世紀以上にわたって愛されてきた日本を代表するスポーツカー。それが13年ぶりに改良され、国内では今冬から発売されるという。自動車評論家が解説する。


「新型『Z』は336馬力の現行型に対し、405馬力と大幅にパワーアップされる。随所に最新テクノロジーが駆使されている一方、あえて6速マニュアルを残すなど、かつての車を愛する日産を彷彿とさせます」


価格200万円以下の軽EV

新型『アリア』は世界に先駆け、6月から日本での先行予約が開始されたが、10日間で約4000台の受注を集めて話題をさらった。年末から順次、納車される予定だ。


「日産は10年に世界初となる量産EV『リーフ』を発売したが、それ以来の本格的EVで、高級志向のSUV型スタイル。今やEVは後発のテスラ社に圧倒されているが、その巻き返しを期待されている。660万円台からと安価ではないが、人気は上々です」(同)


軽のEV『IMk』は日産と三菱自動車の共同開発で、22年の発売が見込まれている。一充電での走行可能距離こそ200キロ前後だが、その分、価格も200万円以下に抑え込み、日本のユーザーにEVを一気に浸透させようとする狙いだ。


明るい話題ばかりで、これではすぐ「日産の時代」がやってきそうだが、当然ながら懸念も渦巻く。経営コンサルタントが指摘する。


「車の電子制御に不可欠な半導体が、コロナ禍で調達しづらくなり、その不足が新車計画を大きく狂わせる可能性があります。また、EVに欠かせない電池製造原材料も高騰している。この1年でリチウムの価格は2倍以上に跳ね上がり、巻き返しを図りたい日産は内心ハラハラでしょう」


そして、気になるのがEVにおける最大のライバル、テスラ社の動きだ。同社は『アリア』を意識したSUV型EVの投入に躍起で、大幅に価格を下げる方針だという。ドイツのフォルクスワーゲンなど欧米勢もEV志向を鮮明にしており、異業種からはアップルのEV参入も確定的だ。


世界的サバイバルに日産は勝てるのか。今後の熾烈な戦いを思えば、黒字化程度で喜んではいられない。



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