岸田首相「10年政権」を目論む“白熱の舞台裏”緊急リポート!

岸田文雄首相が麻生派などと合流し、宏池会政権を10年続けることを画策か

記事まとめ

  • 岸田文雄首相は安倍晋三元首相の反対を押し切り林芳正氏を外務大臣に充てたという
  • この人事は、岸田文雄首相が宏池会政権を10年は続けていくことを狙ったものらしい
  • 岸田文雄首相は麻生派や谷垣グループと合流し、『大宏池会』を作るつもりだという

岸田首相「10年政権」を目論む“白熱の舞台裏”緊急リポート!

岸田首相「10年政権」を目論む“白熱の舞台裏”緊急リポート!

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自由民主党本部 (C)週刊実話Web

「林芳正さんにお願いしようと思っています」



岸田文雄首相は11月1日、安倍晋三元首相に電話で告げた。


「えっ、林さん? 日中友好議員連盟の会長をやっているよね。中国に間違ったメッセージを送ることにならない?」


安倍氏は食い下がったが、首相は「もう決めましたので」と言って押し切った。永田町の政治的パワーバランスが動いた瞬間だ。


衆院選小選挙区で敗れた甘利明氏が自民党幹事長を辞任し、後任に高市早苗政調会長の横滑りを狙った安倍氏の意向は顧みず、茂木敏充外相を充てる人事を断行した。その後任の外相に、これも安倍氏の意に反する林元農相を充てると通告したのだ。


安倍氏は側近の西村康稔前経済再生担当相を推そうとしたが、岸田首相の強い口調を前に「林外相」を渋々認めるしかなかった。


ここまで安倍氏に強く出ることができたのは、10月31日投開票の衆院選で261議席(追加公認2人を含む)も獲得したからだ。


新型コロナウイルス対策で後手に回り、国民の批判を浴びた菅義偉前首相の後を継いだ岸田首相だったが、選挙戦は徐々に厳しさを増していた。終盤になると自民党は公示前の276議席から大きく減らし、233議席の単独過半数を割り込むとの見方が強まった。


だが、ふたを開けると自民党は15議席減で踏みとどまり、単独で国会運営上の「絶対安定多数」を確保。逆に立憲民主党は109議席から96議席へと減らす「まさか」の結果となった。多くのテレビや新聞、通信社は誤報と言っていいほど、大きく予想を外したのだ。


岸田首相の事実上の勝利だった。さらに、細野豪志元環境相が入党し、初当選した元鹿児島県知事の三反園訓氏ら3人ほどが、いずれ入党するとみられている。来年1月の通常国会までに、自民党の議席は265まで増える見通しだ。


首相の笑いが止まらない理由は、これだけではない。コロナがほぼ姿を消したことに加え、「甘利さんを早々に切ることができた」(自民党関係者)からだ。


9月の総裁選で真っ先に岸田首相を支持した甘利氏は、総裁選後、幹事長職を首相に強く求めた。甘利氏には業者への口利き疑惑がくすぶっていたが、首相は「世話になったので仕方がない」と、甘利氏を幹事長に据えた。


しかし案の定、衆院選で疑惑を集中的に突かれ、甘利氏は小選挙区で敗北。幹事長辞任に追い込まれたことで、政権として傷口を広げずに済んだというわけだ。


岸田文雄首相が見据える『大宏池会構想』

後任の茂木氏も当初から幹事長狙いで、親しい間柄の岸田首相には、総裁選前から「あんたが総理になったら幹事長にしてほしい」と懇願していたという。


「実は茂木さんも、有権者への線香配布などいくつかの政治とカネの問題を抱えており、外相のままなら国会で追及されかねなかった。閣外に去れば不安材料はなくなる」(同)


茂木氏の交代も、首相にとっては好都合だったのだ。また、立憲の枝野幸男代表が衆院選敗北の責任を取って辞任し、党体制の再構築を迫られていることも、首相には思わぬプラス材料となった。


11月30日投開票の代表選は、共産党との共闘の是非が争点になる。立憲内には、来夏の参院選の勝敗を決めるのは32ある1人区であり、「候補者を一本化しなければ戦えない」(立民参院中堅)として、共闘継続を求める声が少なくない。


だが、「共闘は国民に評価されていない」と見直しを求める意見も多く、党内対立が深まれば深刻な亀裂が生じかねない。立憲は共闘継続なら党内分裂、解消なら参院選で多党分立と、路線をめぐって想定外のジレンマに陥っている。


思わぬ追い風をいくつも受け、岸田首相は何を狙っているのか。宏池会(岸田派)の首相に近いベテラン議員は話す。


「宏池会政権を10年は続けていく。首相がライバルだった林芳正を内閣のナンバー2に据えた真意がそれだ。ただ90人を超える安倍派の半分しか人数がいない。だから同じ宏池会系の麻生派や谷垣グループと、『大宏池会構想』を進めている」


1957(昭和32)年に池田勇人元首相が結成した宏池会は、自民党の派閥で最古の歴史を誇る。麻生太郎党副総裁の祖父で、戦後日本の復興を担った吉田茂元首相の流れをくみ、「保守本流」の名門派閥との自負が強い。


今や最大派閥となった清和政策研究会(安倍派)を、内心では「傍流と見なしてきた」のが宏池会だ。小泉純一郎元首相、安倍氏と続いた清和会政権は、「経済政策や安全保障政策など、すべてにおいて雑だった」との認識も強い。だからこそ「宏池会3派が団結し、緻密で丁寧な政権運営をしていかなければならない」というのだ。


麻生氏を副総裁、麻生派重鎮の鈴木俊一氏を財務相に据え、谷垣グループ幹部の遠藤利明元五輪相と中谷元・元防衛相をそれぞれ党選対委員長と首相補佐官に起用したのも、まさに大宏池会構想を進めるためだと言っていい。


前出のベテラン議員によると、麻生氏は参院選の後、派閥を鈴木氏に譲るつもりなのだという。鈴木氏は、宏池会で首相になった鈴木善幸氏を父に持つ。池田氏、宮澤喜一元首相と広島出身の系譜を継ぐ宏池会と合流するなら、このタイミングだ。


安倍晋三元首相“協力”の本音とは…

ただ、麻生氏が首相に条件を出しているという。宏池会中興の祖、大平正芳元首相の命日である6月12日に、派閥の重要行事となっている墓参りを首相が直々に仕切るよう求めているというのだ。


大平氏の墓は東京・府中の多磨霊園にあり、これまで墓参は麻生氏の仇敵である古賀誠元自民党幹事長が主催している。今年は宏池会から9人が参列したが、首相は欠席した。


この墓参を岸田首相が取り仕切ることになれば、古賀氏の影響力はほぼ排除される。麻生氏にすれば、首相が「宏池会の本尊である大平氏の魂を名実ともに継ぐことが、合流に不可欠な段取り」なのだという。


100人規模で大宏池会が結成されれば、首相の政権基盤が強化され、林氏に加えて麻生派の河野太郎党広報本部長も、「ポスト岸田」の有力候補として名を連ねることになる。


「岸田、林、河野の3氏で10年は政権を担う。故・加藤紘一元官房長官の娘で、衆院当選3回の加藤鮎子氏も育つだろう。平成研究会には茂木氏や小渕優子元経済産業相がいる。リベラル勢力で20年は政権を続けたい」(前出・ベテラン議員)


岸田首相は、大平氏の位牌を守る女婿の森田一元運輸相と定期的に連絡を取っており、「次は必ずお参りいたします」と伝えているという。


宏池会による長期政権を見据える岸田首相に対して、安倍氏はどう出るつもりなのか。河野氏は、大宏池会の総裁候補に収まるつもりがあるのか。


安倍氏は11月11日、安倍派会長に就いた派閥総会の後、記者団に「われわれは最大の政策グループだから、岸田政権をしっかり支えていく背骨でありたい」と述べた。


安倍派の中堅議員は「背骨である自分たちを軽く見るなという脅しだ」と解説する。だが、同派幹部は「けん制の意味合いもあるが、安倍さんは当面、本気で首相を支えていくつもりだ」と話す。宿願である憲法改正を実現するためだ。


安倍氏は記者団に「首相も改憲に意欲を持っているから、改憲論議を進める原動力となって協力していく」とも述べている。これこそ安倍氏の「本音」なのだという。


安倍氏の言う協力とは、具体的には参院選に勝利することだ。衆院選では改憲勢力の日本維新の会が躍進し、国民民主党も議席を増やしたことで、自民党を加えた3党で改憲発議に必要な3分の2の議席を超えた。公明党を加えれば4分の3となる。


来年の選挙から定数が248となる参院での議席は、この4党ですでに3分の2を超える。衆院選の勢いそのままに議席を上積みできれば、参院も改憲勢力が圧倒的になる。


緊急事態に備える河野太郎氏

安倍氏は、憲法審査会の毎週開催で一致した維新、国民との連携も強める。そうすれば公明党は追随せざるを得ない。


先の安倍派議員は話す。


「参院選で勝てば改憲論議は加速する。安倍さんは2023年の通常国会会期末での改憲発議と、その年中の国民投票を本気で想定している」


岸田首相は、密かに改憲を政権の「レガシー」にしたいと考えており、衆院憲法審査会長に、安倍政権でも会長を務めた森英介元法相を充てることで、安倍氏に配慮してみせた。


ただ「本丸」の9条改正に踏み切るかどうかは、まだ判断していないようだ。9条改憲を求める安倍氏との力関係次第となる。


一方の河野氏は、大宏池会に与するつもりはないようだ。総裁選を共に戦った小泉進次郎前環境相とのタッグと、後押しした菅氏を中心とする無派閥グループの枠組みを大事にしていくという。


衆院選で引っ張りだことなった河野氏は、期間中に全国50人以上の候補者の応援に駆け付けたが、多くは総裁選で自身を支持した候補者のところだった。


関係者によると、河野氏は各候補者に「口座番号を教えて」と尋ねては、選挙資金を振り込んでいた。応援を受けて当選した無派閥の若手議員は、「河野さんが『自分の政治活動の一環だから』と言って100万円をくれた。すべて自腹なのではないか」と話す。


自身の政治資金から100万円を50人に配ったなら、計5000万円だ。若手議員は「次の総裁選のためだろう」と推し量った。


順風満帆に見える岸田政権だが、コロナの第6波を防げず、経済政策や外交も不発に終われば、国民の期待は失望に変わり、参院選を前に「岸田首相では戦えない」との声が高まる可能性はある。河野氏はこうした事態にも備えて、支持基盤を広げているのだ。


河野氏の後見人を自認する菅氏は、近く自身を中心とする無派閥グループの勉強会を発足させる。事実上、菅派の立ち上げとも受け止められている。


二階俊博元幹事長は非主流派に転じ、二階派は衆院選で10人も減らしたが、選挙後に6人もの新規入会者を得た。岸田派に入ったのは、現時点で1人だけだ。


安倍氏や河野氏、そして菅氏や二階氏も、主導権確保や復権を狙い、虎視眈々と岸田首相の動向を見つめているのは間違いない。



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