「新入社員に慕われない上司」に欠けている視点

「新入社員に慕われない上司」に欠けている視点

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 毎年この時期になると、規模や業種に関係なくさまざまな会社から同じように聞こえてくるのが、「今年の新入社員は」とか「今どきの若い社員は」といった言葉。新入社員が入社したのはいいが、さてどう扱っていいのかわからないという上司の声だ。

 すでにこうぼやいてしまった段階で、“新入社員”は自分とは別の生き物、理解しにくく扱いづらいと思っている方も多いだろう。だが上司のモノの見方や言動が、新入社員を扱い難くしているのかもしれない。

■嫌われてなくても「慕われてない」「人望がない」上司

 嫌われる上司といえば、すぐ感情的になる、攻撃的で威圧的、いつも自分が正しいと思っている、人によって態度が変わる、仕事を押し付ける、仕事ができない、言うことがコロコロ変わる、責任逃れするなどの特徴がよく挙げられる。そこまでひどくないが部下に慕われない、人望がないという上司もいる。彼らに共通するのは、相手の立場に立って物事を考えない、捉えない傾向があることだ。だが、「最近の新人は……」とぼやいているだけに、“自分では”部下のことを心配し考えているつもりの人が多い。

 経営心理コンサルタントとして数多く見聞きしてきた事例から、「反面教師」をもとに解説していきたい。

 コロナ禍の今年は、新入社員の入社までのプロセスがこれまでと違う場合も多い。企業ではリモートワークが進み、面接もオンライン。入社するまで会社に行ったこともなく、社内の人間に直接会ったことがないという新入社員すらいる。オンライン面接だと上司や面接官は良いところしか見せないし、社内の雰囲気や空気感を肌で感じることもできない。自分なりに「こんな会社かな、社会人になって頑張ろう」と希望と期待を膨らませてみるが、入ってみると想像と違う、上司がこんな人だったとは……という事態が起こりかねない。理想と現実のギャップを感じやすい状況にあり、これまでの新入社員より上司や周囲の言動に敏感に反応するかもしれない。例えばこんなケースがある。

■丁寧な説明をせずに“やらされ感”を与えてしまう

1.「ここではこうしているから」

 こう言って上司が説明をしない。例えば電話応対。入社してすぐは電話に出るのが新入社員の仕事という職場も多いだろう。コールは3回鳴るまでに取れ、先輩より先に出ろ、“もしもし”は使うなと言われるが、詳しい理由の説明はなく「そういうものだから」「それが新人の仕事」で終わり。丁寧なビジネス研修がある会社なら別だが、特段そういった機会がない企業も少なくない。スマホ世代の若者は固定電話での応対が苦手な場合もあるため、“やらされ感”が強くなる。自分の価値観や経験をそのまま新入社員に当てはめてしまっても、通用しないこともある。最初だからこそ細かなことも省略せず、丁寧に親切に説明することも必要だ。

■新入社員は言われたことをこなすだけで精一杯

2.「自分の頭で考えろ」

 言われたことはやるけれど、それ以上のことはやらないと新入社員への不満を述べる上司は、新人はまだそれを期待できる段階にないことを忘れている。そもそも“それ以上のこと”をやっていいのか、どう動けばいいのかが新人にはわからない。下手に動いて迷惑をかけたくないという心理も働く。言われたことをこなすのが精一杯だ。

 専門職ならいざ知らず、新入社員は仕事への知識と経験が浅いことがほとんど。知らない物事を聞いても何をどう質問すればいいのかわからないのと同じだ。考えるに必要な知識量と経験値が少ないのだから、自分が考え行動することが正解なのか判断がつかない。またこんなふうに言う上司ほど、言わなくてもわかるだろうと部下の推察力に頼りやすく、きちんとした指示を出さない傾向がある。

■質問しづらい雰囲気を作ってしまう上司

3.「なぜもっと早く報告しないんだ」

 いつでも何でも聞いてくれと言いつつ、質問に行っても顔を上げない。そして相手を見ない、表情を曇らす。「聞く前に自分で調べたのか」と問う上司もいる。その時の新入社員の表情や声音の変化を見れば、彼らがどういう状態なのかチェックできるが、目の前の仕事に追われそこが抜けてしまう。これが繰り返されると新入社員は質問するのが面倒になり、大きなミスにつながる可能性もある。

 作業の経過、仕事の状況を報告すると遅いと叱るが、その原因が自分にあることに気がつかない上司も多い。新入社員が報告にいっても「ちょっと待って」「後で聞く」と後回しにすると、自分のタイミングでしか部下の報告を聞かない上司だと刷り込むことになる。新入社員が報告するのは、その時に上司の判断を仰ぎたいからだ。必要なタイミングで必要なサポートが得られないのは、新入社員に戸惑いや不安を感じさせ、上司への信頼を損ねるきっかけになる。

■認めずアドバイスもせず「ダメ出し」だけしてやる気を削ぐ

4.「間違っていないが、私だったらこうしたね」

 報告してもやったことを認めず、ダメ出しばかりされると新人は自信をなくしてしまい、報告するのが嫌になる。細かなことで誉める必要はないが、何をどうやったのか、どこまでやったのか些細なことでも、新人だからこそ認めてもらいたいと思う気持ちがあるものだ。認められるというのは成長のステップにつながる。わずかな達成感でも味わわせてやることができない上司は慕われない。何をどうすればよいのかアドバイスもせず、「自分だったらこうした」と言われれば、「先にそう言えよ」と心の中で言いたくなる。こういう上司は新入社員のやる気を削ぎ、指示待ちの部下を作ってしまう。

■事細かに話させて反省させようとする

5.「きちんと筋道立てて説明して下さい」

 丁寧に話を聞くことが上司の仕事だと思うあまり、無理に話を聞き出そうとするケース。失敗したことを事細かに話させて反省させることが新入社員の成長にプラスに働くとは限らない。聞き出そうとすることでかえって落ち込ませたり、マイナスの感情を強くさせる可能性があるからだ。慕われない上司は反省させればことは済んだと考えやすい。必要なのはその後なのだ。気持ちを前向きにさせ次の仕事にどうつなげるか考えさせ、必要なら具体的にアドバイスすることが重要になる。

 そのアドバイスも自分の得意なゴルフや野球、将棋にたとえてしまうと、やらない新入社員にはさっぱりイメージが掴めない。自分にとってわかりやすいではなく、相手にとってイメージしやすいことが上手なアドバイスのポイントだ。

 慕われない上司は新入社員がどう考え、どう感じているかを自分が判断している。胸襟を開いていつでも部下を受け入れ、なんとか一人前にしたいと思っているが相手の視点に立っていない。会社という組織の枠組みやルール、仕事のルーチン、ビジネスマナーという枠の中で適応していればいるほど、自分の視点に新入社員が合わせるのが当然になっている。

 新入社員に慕われていないかもしれないと感じているなら、こんな言動をする上司になっていないか自らを省みる必要があるだろう。

(岡村 美奈)

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