年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由”

年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由”

年間300本以上の取材に対応!? 各局のニュース番組が「スーパーアキダイ」を取材し続ける“納得の理由”の画像

「『儲かっているでしょ?』なんて言われますが…」TV番組でおなじみ“スーパーアキダイ”社長の“意外な実生活” から続く

 天候不順による野菜の高騰、レジ袋の有料化、消費税の増額といった、生活に直結するニュースが出るたびに、「スーパーアキダイ」社長の秋葉弘道氏は、市井の景況感についてコメントを求められる。なんと、その取材量は年間300本以上。なぜ、数ある八百屋・スーパーのなかで「スーパーアキダイ」は取材先として選ばれ続けるのか。

 ここでは、秋葉氏の著書『 いつか小さくても自分の店を持つことが夢だった スーパーアキダイ式経営術 』(扶桑社)の一部を抜粋。TV局からの取材が殺到する理由について紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

■年間300本! テレビに出る本当の理由

 近年、アキダイには年間300本以上のテレビ局の取材が来ています。

 いつ頃から取材依頼が舞い込むようになったかははっきりと覚えていませんが、記憶に残っているのは、農林水産省が作成した「野菜高騰」と書かれた資料を手にしたテレビや新聞の記者さんたちが、取材でウチを訪れたのが始まりです。

 その資料に目を通して、すぐに気づいたのは書いてある情報が古いことでした。役所のデータは僕らのような小売業の情報を収集・集計して、分析を加えてから公表されるので、どうしてもリアルタイムの情報とはタイムラグが生じてしまう。そうした点を指摘して丁寧に説明すると、記者の方にとても喜んでもらえました。

 そのことで信頼を得られたのか、徐々に取材が増え始めて、東日本大震災が起きた2011年を境に、現在のように店の前にテレビ局のクルーが取材の順番待ちの列を作るようになったんです。震災によって日本の物流網が寸断され、野菜や果物の価格が高騰していたのと、原発事故によって福島県産の青果物の風評被害が懸念されていたので、当時、テレビ局のみなさんはこの点について話を聞きたがっていました。

 現在では、民放をはじめ、NHKのEテレまで、テレビは地上波の全局がよく取材に来ています。なぜ、アキダイばかりに取材が集中するのか? よく聞かれる質問ですが、決して僕が目立ちたがりというわけではないのです。

■番組ディレクターが「今日、これから行ってもいいですか?」

 取材を受ける理由は大きく二つあります。

 一つめの理由としては、メディアの方々が野菜の価格について誰かに話を聞くにしても、たとえば大手スーパーなどの大企業に取材を申請する際には、通常は企画書を送って、それを精査され、何日か後に取材ができるかどうかの返事が来るようです。でも、アキダイの場合、朝に僕の携帯電話が鳴って「今日、これから行ってもいいですか?」と番組ディレクターの方が直接交渉してくる。よほどの用事が入っていない限り、僕は二つ返事で取材を受けるので、今日アポを取って、今日取材というパターンばかり。

 取材に来るテレビはニュースか情報番組が大多数で、彼らは鮮度の高い情報を求めているので、リアルタイムで取材を取り付けることができるアキダイは使い勝手がいいのかもしれません。だから僕のスマホには、テレビ各局の情報番組のディレクターの電話番号がたくさん入っています。当日お昼に「夕方のニュースに間に合わせたい」と電話が入っても、すぐに対応できるのはそのためです。

 二つめの理由は、6店舗の八百屋を経営しているとはいえ、ウチが個人店だからでしょう。

 通常、テレビ番組がどこかの企業や店に取材する場合、事前にADさんがリサーチを重ねて、ここなら大丈夫だろうと判断して取材先が決まるようです。アキダイは1日の仕入れ量が金額にして800万〜1000万円ほどと個人店にしては多く、長年の付き合いで関係を構築した青果市場がいくつかあり、仕入れ値も比較的安定しています。

 一般的に、個人店の八百屋さんは、仕入れる量が多くないので価格にばらつきが出てしまう。テレビ局の取材テーマはたいてい野菜の値段についてなので、価格が店の個別事情でばらついていては情報として扱いにくいが、ウチはそうしたことがないので取材しやすいというわけです。

 また、ウチが東京の八百屋というのも、テレビ局が取材したがる理由の一つでしょう。日本の首都で人口がもっとも多い東京は物流が多いので、地方のように隣町と野菜の値段が大きく変わるようなことはない。平均的な価格相場の中心になっているから、ウチに取材に来る民放キー局の立ち場で考えると全国放送に適しているのかもしれません。

■毎日市場に行き、店頭に立つから言えること

 さらに言うなら、取材に答える僕は経営者ではあるけれど、今も毎朝市場に仕入れに行き、店頭にも立つし、商品を実際に見て、触れて、食べていることも大きい。売上げも数字というデータではなく、現実にお客さんが買っていく姿をこの目で見ているので、お客さんの気持ちがわかるし、取材で仕入れ値を聞かれてもすぐに答えられる。自分で言うのも何ですが、この他にも経営状況や従業員のことも把握しているし、経営者の立場で受け答えもできれば、経営者目線も消費者目線も持ち併せている……等々、引き出しが多いところがお声がけいただいている理由なのかもしれません。

 関西や九州から東京に転勤してきたディレクターさんの中には、「『スーパー関係の取材で困ったら、秋葉社長は信用できるんで電話してみな』とプロデューサーに言われて、連絡しました」という人も何人かいました。とはいえ、信頼されているということは、当然、責任も生じます。

 取材に答えるときに自分の責任と思っているのは、いい加減なことは言わないということ。

 アキダイはいくつかの市場とお付き合いさせてもらっていて、それぞれの市場は個々の産地からの情報を持っています。そうやって貴重な情報を入手するラインがいくつもあるおかげで、産地の生産者も僕のことを知ってくれている。

 だから、生産者は市場の売り子さんを介して、たとえば「洪水の影響でどの程度の被害が出たか」「大雪で今後どれくらい出荷が落ち込む見通しか」といったリアルタイムの情報を提供してくれるし、何かあれば写真をスマホに送ってきてくれることもあります。

 2016年8月、北海道に1週間で三つの台風が上陸し、道東が豪雨に襲われたときも、多くの畑が冠水し、プカプカ浮いた玉ねぎが流されていく様子を撮った動画を送ってくれました。それを知ったテレビ局のディレクターにこの動画データを貸してくれと頼まれて、その日のうちにニュースで映像が放送されたのです。報道は早い者勝ちで、マスコミ各社が競争しているので、北海道に画を撮りに行っていたのでは遅すぎますからね。

 こうしたことは自分の役割だと思っているんです。生産者も産地の惨状を伝えたいけれど、どう発信していいかわからない……。だから、僕はその橋渡し役を務めたい。

 たとえば、豊作で生産過剰になっていたら、商品を無駄にしないために少しでも消費したいで、ウチで「今、安いからお買い得ですよ!」と一所懸命売るわけです。大したきっかけで取材を受け始めたわけじゃないのですが、多くの取材を通して産地の事情や生産者の気持ちがわかるようになったのは、僕にとっても大きな財産になっています。

■テレビ出演はすべてノーギャラ

 店頭での取材の収録が終わり、オンエアの映像でテレビ画面の中の自分を見ると、すごく新鮮でワクワクするというのも本音です。取材にきちんと答えられていれば、それは僕の商品知識がしっかりしている証でもありますから。

 取材を通して、いわば自分で自分をテストしているようなものです。普段はこうした商品知識を、お客さんに品質のいい野菜や果物を美味しく食べてもらい、喜んでもらうために役立てていますが、取材では僕の知識が正しくてタイムリーな報道に繋がる。アキダイのお客さんの役に立つことが嬉しいのと同じくらい、メディアのみなさんのお役に立てることも嬉しいんです。

 ちなみに取材はすべてノーギャラで、一銭ももらったことはありません。アキダイという店の名前はずいぶん知名度が上がりましたが、僕がテレビに出たくらいで店の売上げが増えるなどということはない。八百屋という商売はお客さんの日々の買い物によって成り立っているので、少しくらい名前が売れたから業績が上がるほど甘くはない。

 それでも取材を受けるのは、困っている人がいたら放っておけない性分だから。テレビ局のディレクターさんが僕を頼りにして取材を申し入れてきたのに、断ったら困るでしょう。だから、ノーギャラでも何の不満もありません。誰だって街で人に道を聞かれたら教えてあげますよね。そのときにお金なんて要求しませんよね。僕からすれば、テレビの取材も一緒。

 前にも述べたように、これは人のためというより自分のため。仮に、僕が困っている人を放っておいたら、その後、「あの人どうなったかな?」って気になってしょうがない。そんなふうに気を揉むのが嫌なんです。

 それと、これは僕が“ブーメランの法則”と呼んでいるんですけれど、人にいいことをすると、いつか巡りめぐって自分に返ってくるような気がする。それを見込んで困っている人を助けているわけではないし、たとえ見返りがなくても、僕は放っておけないんでしょうね。

【前編を読む】「『儲かっているでしょ?』なんて言われますが…」TV番組でおなじみ“スーパーアキダイ”社長の“意外な実生活”

(秋葉 弘道)

関連記事(外部サイト)