「6人部屋のドミトリーが1泊102ドル!?」「前は39ドルだったのに…」アメリカ取材旅行で痛感した“宿泊費の高騰ぶり”

「6人部屋のドミトリーが1泊102ドル!?」「前は39ドルだったのに…」アメリカ取材旅行で痛感した“宿泊費の高騰ぶり”

今年8月、メジャーリーグ取材のため渡米したMOBYさん。彼が驚いた「アメリカの宿泊費事情」とは?(写真:筆者撮影)

〈写真多数〉ビール1杯2000円、卵サンド1500円…アメリカ旅行中のミュージシャンが直面した「物価狂乱」のリアル から続く

 今年8月、メジャーリーグ取材のためにアメリカを訪れたミュージシャンでMLB実況・解説者のオカモト“MOBY”タクヤさん。3年ぶりのアメリカで見たものは、1杯15ドルのビールや11ドルの卵サンドなど、恐るべき物価狂乱だった。

 後編では「高騰するホテル代」や「今回の取材で唯一安いと感じたもの」について紹介してもらった。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

■物価高騰でも「値段が変わらないもの」

 取材日4日目に向かったのは、ボクの愛するチーム、カブスがある街・シカゴ。空港から市内に向かうための駅で購入したVentraカード(シカゴ市内用の交通系ICカード)や、電車やバスの運賃は3年前とほぼ変わらず。

 価格高騰が叫ばれるこの状況において、コロナ以前と値段があまり変わらないもののひとつが「公共交通機関の運賃」でした。代わりにUber(ウーバー)やLyft(リフト)など配車サービスが値上がりした印象です。

 今回はリグレー・フィールドで開催されたカブスVSナショナルズの3連戦をプレスとして観戦させていただき、鈴木誠也選手をはじめ、チーム再建期のなか奮闘する若い選手たちのがんばりをしっかりと見届けました。

 シカゴでは、在住の日本人の友人たちと評判のラーメン屋に足を運ぶことに。アメリカでは2010年代半ばから、いわゆる「日式ラーメン」が大ブームとなり、今やすっかり根付いています。

 シカゴにもたくさんのお店があるなか、日本人コミュニティの間でも評判がいいというのが「Ramen House Shinchan」でした。ラーメンはどれもだいたい15ドル(2000円)+チップという価格設定で、日本の感覚からすると高すぎ!と思うのは否めませんが、実はブームになった当初からほとんど値上げしていません(悪いのはすべて円安)。むしろ「ラーメン=ちょっとしたご馳走」としてアメリカの都市部で受け入れられたのでしょう。

 6日目の8月10日、リグレー・フィールドでデイゲームを見たあとに向かったのは、シカゴ・オヘア空港近所にあるレンタカー会社最大手の「Hertz(ハーツ)」です。

 その目的は、レンタカーでアイオワ州ダビュークまで移動するため。ところが事前にコンパクトカーを予約していたはずなのに、思わぬハプニングが。

「コンパクトカーがすべて出払っているから、2ランク上の車にアップグレードしておいたよ。その列に並んでいる14~15台から好きなのを選んででかけてくれよな」と店員さんから言われ、いきなり野に放たれたような心持ちになりました。

■借りた車は…

 海外では初の運転(日本では二十数年来のペーパードライブを2年前にやっと卒業)、しかも右側通行で目的地は片道200マイル(320キロ)、同行する友人は免許なしの孤立無援。

 親しみのある日本車にすべきか、めったに乗る機会のない韓国車にすべきか。迷いに迷った末、ここはやっぱりアメ車だろ、「骨のずいまでシボレーで♪」(※)だろ。ということでシボレー・マリブをレンタルし、一路アイオワへ。

 ただ、よく考えてみたらレンタカー代自体がかなり高額でした。アメリカのレンタカー料金は24時間刻み。48時間借りたボクの料金は保険諸々付帯・満タン返し不要、かつJALマイレージ特典で10%オフを踏まえた金額が320ドル(4万4500円)。

 日本の某大手レンタカー会社のコンパクトカーを48時間レンタルという条件で調べたところ、2万円あればお釣りが来る程度の価格設定(ガソリン代別途)。かなりの差ですよね。

 ちなみにガソリンはシカゴ市内だと1ガロン(3.785リットル)が5ドル、アイオワ州では3.6ドルでした。前者が1リットル=182円、後者が131円なので、ガソリン代は地域によってかなり差がある様子です。

 取材日もついに7日目。アイオワに訪れた目的はもちろん、あの試合。1989年公開の映画をベースに、現実にMLB公式戦をやってしまおうという「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」です。

 映画のセットとして使われた主人公一家が暮らす家、主人公がとうもろこし畑を潰して作ってしまった野球場など、『フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム』の世界がそこにはありました。しかも試合をするのは、大好きなシカゴ・カブス。

 今回の取材旅行のメインイベントでもあったこの試合は、ボクにとって一生ものの思い出となる内容でした。

※小林旭『自動車ショー歌』(作詞:星野哲郎、作曲:叶弦大)

■楽しい取材旅行の時間も残りわずか…

 夢のような時間が終わるとすぐにアイオワを発ち、車を返すためシカゴのレンタカー屋へ。近くのホテルで一泊した翌朝には、またすぐに次の目的地へ向かいます。

 まずはオヘア空港の搭乗前にいつも訪れるチャイナ・ファーストフード店で「麻婆豆腐+おかず1品+白飯」のセットを注文。2019年に食べた際は確か9ドルでしたが、今回は10.6ドルでした。

 値上がりしましたが、LAで食べた11ドルの卵サンドに比べたら、もう格段に満足のいく内容です。チャイナやメキシカンはコロナ以前と比べても、ほかの食べ物より値上がり率は低い印象でした。

 さて、次に向かったのは今回の取材旅行の最終目的地であるボストンです。映画『フィールド・オブ・ドリームス』の主人公と同じルートのアイオワからボストンをボクも辿ってみることに(車ではなく飛行機ですが)。

 しかもこの日の試合はMLBにおける黄金カード、ヤンキースVSレッドソックス。9年ぶりに訪れたフェンウェイ・パークはライバル対決だったこともあり、開場1時間前から大盛りあがり。

 試合は、今季のホームラン王争いで独走中のヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が46号ホームランを放ちリードします。しかし、最終回にレッドソックスが同点に追いつき延長戦に突入。最後は、レッドソックスのサヨナラ勝ちという劇的な幕切れでした。

 ボクの取材旅行もついに終了です。ようやく仕事終わりのビールと洒落込むため、良さげなパブを見つけてイン。

 お、ちょうど今がシーズン、村上春樹が愛してやまないボストンのビール、サミュエル・アダムスのサマーエールがあるじゃないか! まぁ7~8ドルくらいかな……と注文したところ、カウンターのお兄さんは「5ドル」との返事。

 今回のアメリカ旅行で唯一「安いっ!」と思った瞬間でした。それでも日本円だと690円。まぁ普通の値段なんですけど。

■ドミトリーで1泊100ドルを超える時代が来るなんて!

 最後に宿泊費についても触れておきましょう。アメリカのホテルには、日本のビジネスホテルのようなコンパクトなシングルルームはあまりありません。部屋はダブルが基本なので、1人でも2人でも同価格ですが、それでも2010年代後半の相場と比べると価格高騰の感は否めません。

 2010年代後半から価格差はあり、日本の相場がシングル1泊6000円だとしたら、アメリカではダブルで1泊100ドルちょっと。ところが今回は同じようなクラスの部屋でも平均140ドル(1万9000円)ほどかかりました。円安・物価高の影響をモロに受け、こちらもしびれる出費となりました。

 特に宿泊費が高いと感じたのは最終日に泊まったボストンのホテル。1泊200ドル以下の部屋を探しても一向に出てこず、結局ゲストハウスの相部屋を予約することに。6人部屋のドミトリーがなんと1泊102ドル! まじかよ!! 2016年にシカゴで泊まった4人部屋は39ドルだったのに……。まさかドミトリーで1泊100ドルを超える世の中が来るとは思いも寄りませんでした。

■旅はまだまだ続く

 2020年1月に訪れた香港以来の海外旅行、そして2019年8月以来のアメリカ旅行でした。航空券やホテル探しなど旅行の計画を立てることが久しぶりですごく楽しかった一方で、チケット、食事、ホテルなどの価格高騰には悩まされるばかり。その思いは、現地ではさらに増していくばかりでした。

 コロナ以前は、アメリカをはじめ海外の物価が高くなっていく一方で、「日本が安すぎるんだ、もっと頑張らねば!」みたいな心持ちでした。しかし今回の旅行を通じて思ったのは「正直、ちょっとキツ過ぎ」。パンデミックが今よりも収束して状況が変わったとき、世界はどうなるのか? それを知るのはやはり海外に足を運ぶことが一番はやく、確実なのかと思います。

 海外のあらゆる物事に触れ、自分が住む国との差を感じることも旅の醍醐味。きっとそれを求めて、ボクもまた次の旅に出かけるのでしょう。パンデミックの収束、そして為替相場の好転も期待しつつ、次の旅に出かけるためにも、これからしっかりと働かないといけませんな!

■MOBYさんがドラムを務めるSCOOBIE DOニューアルバム発売!

SCOOBIE DO
15th Album『Tough Layer』
2022年8月24日(水)発売
VICL-65726 ¥3,300(税込)

 

(オカモト"MOBY"タクヤ)

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?