「目線が低い」auショップを“転売ヤーの喰い物”に追い込んだKDDIの過酷ノルマ

「目線が低い」auショップを“転売ヤーの喰い物”に追い込んだKDDIの過酷ノルマ

KDDIが転売ヤーの購入黙認か

「目線が低い」auショップを“転売ヤーの喰い物”に追い込んだKDDIの過酷ノルマ

「目線が低い」auショップを“転売ヤーの喰い物”に追い込んだKDDIの過酷ノルマの画像

 国内携帯キャリア2位のauの販売代理店「auショップ」が、運営会社のKDDIが求めるノルマ達成のため、転売ヤーの購入を黙認するなど“不適切販売”を多数行っていることが「 週刊文春 」の取材で分かった。

 スマホの転売は社会問題になっている。小誌はこれまで、 業界1位のNTTドコモがMNP(携帯電話番号ポータビリティ)による“乗り入れ”の高い獲得目標をドコモショップに課していること 、 ノルマに苦しむ店舗が自ら転売ヤーを動員していること などを報じてきた。

 だが、これはドコモだけの問題ではない。同様の構造は携帯業界全体にある。

 auを巡っては、昨年12月にKDDIが総務省の行政指導を受けた。

「電気通信事業法では、端末購入と回線契約をセットで販売する時の割引は税込2万2000円までに制限されている。しかし、auは基準を超える割引やキャッシュバックを多数行っており、『不適切販売』と指摘された」(総務省担当記者)

 auショップの関係者が打ち明ける。

「例えば、出張販売では客に実質4万円のキャッシュバックを提示。バレないようにそれを2回に分けてバックする。こうした行為が横行していたのです」

 こうした“不適切販売”の背景にあるのが、ノルマへのプレッシャーだ。

■「ノルマ達成のために転売ヤーを頼ってしまう」

「異常に高い目標値が設定されています。ウチも“転売ヤー”を使って実績を作らざるを得ない状況です」(同前)

 特に高く設定されているのが、ドコモと同じくMNPによる“乗り入れ”の獲得目標だ。前出のauショップ関係者が続ける。

「毎月、販売代理店は店舗ごとに策定した目標値をKDDIに提出するのですが、『目線が低い』と修正を迫られます。しかし、本部が求める数字は普通にやっていても達成できない。契約に来るのが転売ヤーと分かっていても、ノルマを達成するために彼らを頼ってしまうのです」

 こうした構造に転売ヤーが群がってくるのである。

 KDDIに転売ヤーを跋扈させている件について見解を問うと、広報がこう回答した。

「転売等不健全な取引につながるものは問題だと考えており、『お1人さま1台限り』の販売等の運用を販売代理店さまと協力して実施しております。短期解約や、不自然な契約状況について把握し、問題があるケースにおいては店舗への指導を行うと共に、施策内容にも反映しております」

 KDDIを巡る問題はこれだけではない。実はauには、転売ヤーにとって“美味しい”抜け穴があるのだ。別のauショップ関係者が語る。

「auならではのルールを“悪用”した方法があるのです」

 現在配信中の「 週刊文春 電子版 」では、転売ヤーを跋扈させる原因となっているauの制度、この方法で悪名高い転売ヤーの酷い手口、そして転売ヤーがSNSに投稿した“スマホ足蹴動画”と言い分など、“不健全”な状態を放置し続けているKDDIの罪を詳しく報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年1月26日号)

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  • 2

    これも働き方改革の一つです。

  • 1

    他所はどうだか知らないが、この会社のショップ店員の接客で気持ちよく店を出た経験がない。ただ、たった一人の女性は例外で、その時は「こんな良識ある店員さんも中には居るんだ」と驚いた。そんなだから普段はコールセンターを利用するよう心掛けている。コールセンターは良心的な対応をしてくれる。

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