鈍い経済成長にハラスメント…それでもフィンランドが午後4時で帰れて幸福度世界一なワケ

鈍い経済成長にハラスメント…それでもフィンランドが午後4時で帰れて幸福度世界一なワケ

『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(堀内都喜子 著)ポプラ新書

 国連が発表する幸福度ランキングで、2018年から3年連続で世界一になったフィンランド。同国への留学、フィンランド系企業への勤務を経て、現在は日本のフィンランド大使館で働く著者が、その背景にある文化を、豊富な事例で解説した新書が人気だ。「『働き方改革』が叫ばれながらもなかなか実現しない中、著者は大使館勤務だからということもありますが、定時に仕事を終え、ワークライフバランスを重視する働き方を実践しています。北欧のライフスタイルや福祉に関する本に対しては、国の規模や制度の違いを挙げて『日本では難しい』という反応もあるのですが、日本に住んでいても取り入れられる工夫がたくさんあるんです」(担当編集者の近藤純さん)

 とはいえ、フィンランドにもやっかいな問題はある。経済成長は鈍く、効率よく自由な働き方をするためには、厳しい自己規律が必要な面も。男女の格差は小さいが、ハラスメントも皆無ではない。そうした困難を「シス(SISU)」と呼ばれる内に秘めた不屈の精神で乗り越えている。理想論を語るだけではない、バランスのよい現実的な語りが本書の魅力になっている。

 読者は10代から90代まで幅広い。主な読者層は、男性は50代、女性は40代。男性には管理職目線で、女性にはライフスタイル本として読まれているようだ。

2020年1月発売。初版9000部。現在12刷5万1000部

(前田 久/週刊文春 2020年10月22日号)

関連記事(外部サイト)