「さよならau」「期待外れ」…新料金プラン大炎上のau それでも「ahamo一人勝ち」にならないワケ

NTTドコモが月額2980円の「ahamo」発表 au新サービスには「さよならau」とバッシング

記事まとめ

  • au新サービスはNTTドコモの「ahamo」に対抗できず大バッシングを浴びた
  • ドコモの一人勝ちと思われるが、KDDIやソフトバンクも対抗策を発表すると見られる
  • 来年の3月は、「どの料金プランを選べばいいか」の検討をすべきタイミングだとも

「さよならau」「期待外れ」…新料金プラン大炎上のau それでも「ahamo一人勝ち」にならないワケ

「さよならau」「期待外れ」…新料金プラン大炎上のau それでも「ahamo一人勝ち」にならないワケ

マルチブランド戦略をとるKDDI(筆者撮影)

 12月9日、auが大炎上した。

 その日の午前中、KDDIでは「au新サービス発表会」をネット中継していたのだが、内容を見たネット民から「さよならau」「期待外れ」と大バッシングを浴びたのだ。

■止められなかった発表会

 理由は2つある。

 ひとつは、発表されたのは新料金プランであったが、前の週にNTTドコモが発表した月額2980円の「ahamo(アハモ)」に全く対抗できていない代物だったからだ。多くのauユーザーとすればauでも月額2980円のプランを出してくれると期待していた。しかし、発表されたのは、データ使い放題のプランに月額500円の「Amazonプライム」がついてくるというものでしかなかった。

 auではすでにNetflixやYouTubeプレミアムなどの有料コンテンツの利用料をセットにしたプランが好評で、今回もその延長線上になるプランであったが、発表したタイミングが悪かった。

 NTTドコモがahamoを発表し、世間の注目をかなり浴びていたので、KDDIとしても発表会自体を延期あるいは中身を変えるということも検討したようだが、Amazonというパートナーがいる手前、KDDIの独自判断ではどうにもならない。しかも、サービス提供開始が2日後の11日に決まっていることもあり、発表会自体を止めることができなかったようだ。

■変わらなかった「たちの悪い」料金表示

 もうひとつ、炎上した理由として挙げられるのが「わかりにくい金額表示」だ。

 発表会のプレゼン資料では「月額3760円から」とアピールされていたが、実際は9350円のプランだ。「家族4人での複数回線割引」「固定回線とのセット割」「5Gへの切り替えに伴うキャンペーン」などを適用して、なんとか3760円になるというものだ。本来であれば、9350円をしっかりと表記する必要があると思うのだが、割引後の安い金額しか見せないというのが、たちが悪い。

 このあたりのわかりにくい金額表示は、再三、問題視されており、一部メディアも「改めるべき」と指摘しているのだが、ちっとも自浄作用が働かない。 

 12月9日には、武田良太総務大臣と井上信治内閣府特命担当大臣のほか、公正取引委員会や消費者庁が参加する会議が開かれ、携帯電話における広告表示を見直していくという方向性が示されていた。携帯電話会社として早急に金額表示のあり方を改めないことには、関係省庁から指導が入る可能性がありそうだ。

■大きな山場は「2021年の3月」

 結局、KDDIによるahamo対抗プランは肩透かしに終わってしまった。このまま、来年3月にahamoが始まることで、auやソフトバンクからユーザーが殺到し、NTTドコモの一人勝ちになるのだろうか。 

 KDDIの東海林崇副社長は「今後、他社の動向をみて、auやUQモバイル、今度、展開するデジタルブランドなどマルチブランド戦略で必ずユーザーが満足できる料金プランを出していきたい」と語る。

 NTTドコモでは12月中に既存の料金プランである「ギガホ」「ギガライト」も設計を改定する予定だ。ahamoは若者を狙う一方で、既存のプランは家族向けを強化していくとしている。

 KDDIやソフトバンクは、NTTドコモが12月中に発表する料金プランの内容を見て、対抗策を練ってくるはずだ。ahamoが始まるのが来年3月。KDDIやソフトバンクは年明けから1月末あたりまでに、対抗策を発表してくるだろう。3月までに新料金プランを使えるようにするのではないか。新料金プランを始めるには、請求システムの改修なども必要になってくるため、提供開始が遅れる可能性もあるが、「発表」だけでも3月までに必ずやってくるはずだ。

 そうなれば、来年の3月には、NTTドコモだけでなく、auやソフトバンク、楽天モバイルや格安スマホなど、すべてのスマホユーザーが「どの料金プランを選べばいいか」の検討をすべきタイミングを迎えることになる。

 ただ、NTTドコモがahamoで2980円を提供してきたと言うことは、KDDIとソフトバンクにとってみれば、ユーザーが流出する可能性があるので、当然のことながら、同じ2980円のプランを提供して、ユーザーを囲い込もうとするだろう。結局、auユーザーはKDDI、ソフトバンクユーザーはソフトバンクに居残ればいいことになりそうだ。

■ahamoが生み出す“リストラ”はドコモショップにも降りかかる

 ただし、気をつけなくてはいけないのが、ahamoは基本的には「オンラインのみ」しか受け付けないことだ。携帯電話の料金には、基地局などの設備投資や人件費、研究開発費、営業費など、様々なものが含まれているが、今回のahamoは、オンラインのみにすることで、街中のドコモショップの店舗運営費や人件費、サポートのための費用がかかっておらず、低コスト構造だからこそ月額2980円を実現できたという背景がある。

 街中にあるドコモショップは、実際のところ、NTTドコモの直営ではなく、販売代理店が運営しているのがほとんどだ。最近はユーザーの新規契約も頭打ちとなっており、また総務省による規制によってスマホの販売台数も落ち込んでいる。一方で、平日の昼間などはシニアのユーザーが集まり、サポートに手を焼いている状態だ。

 NTTドコモでは12月から、店頭でメルカリやモバイルSuica、フェイスブック、インスタグラム、LINE、ツイッター、ポケモンGOなどのアプリの初期設定を店員が行う際には1650円の手数料を徴収するようになった。

 今後、サポートに関しては有料というのが当たり前になってくるだろうし、オンライン契約が中心となるahamoユーザーが増えれば、街中からドコモショップが消滅していくということも有り得そうだ。まさにahamoはNTTドコモにとってみれば、ドコモショップを運営する販売代理店をリストラしていく格好の材料となるわけだ。

■3月までに何をすべきか

 販売代理店が重荷になっているのはKDDIもソフトバンクも変わらない。つまり、この2社もahamoに対抗するためには、「オンライン契約のみ」という料金プランを設定してくる可能性が極めて高い。

 KDDIではすでにシンガポールに本社のある、オンライン型携帯電話事業で実績のあるサークルズアジア社とパートナーとなっている。サークルズアジア社は、オンライン上で契約を行い、自分の必要なデータ量を選び、eSIMを発行することで、スマホが使えるようになるというサービスを提供している。

 通常、スマホにはSIMカードという、契約情報が記録されたプラスティックのICカードを挿入して利用するが、eSIMはそうした契約情報を直接、スマホ本体にオンラインで書き込めるようになっている。つまり、深夜にパソコンで「別の携帯電話会社に乗り換えよう」という時にも、その場で手続きを完了させて、スマホに契約情報を書き込むことが可能となる。

 KDDIでは「KDDI Digital Life」という会社をつくり、新サービスの開発に乗り出しており、来年春にも提供する計画だ。

 ソフトバンクは、実は女優の本田翼さんが出演するCMでもおなじみの「LINEモバイル」を展開している。ソフトバンクとワイモバイルはショップを運営しているが、LINEモバイルはネットを中心にユーザーを増やしている。ソフトバンクとしても、ショップを運営しているブランドでahamoに対抗するよりも、ネットがメインのLINEモバイルのほうがやりやすいのは間違いない。

 つまり、スマホの料金を劇的に安くしたいのであれば、各社が一斉にサービスを開始するであろう来年3月までに「自分は毎月、データ容量をどれだけ使っているか」を確認することが大切だ。その容量に見合ったプランを、いま契約しているキャリアのブランドや新しい料金プランから探し出し、オンラインで変更手続きを行う覚悟をしておこう。

(石川 温)

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