ANAやJALなどが相次ぎVRを本格導入 事故や緊急事態を再現し人材育成や業務訓練に活用

 人材育成や業務訓練のためにVR(バーチャルリアリティ、仮想現実)を用いたシミュレーションシステムを本格導入する企業が増えている。

 航空業界では、機内設備の安全確認をはじめとする保安業務の訓練や、航空機の牽引車両の運転訓練でVRを活用する動きが広がっている。エレベーターなどの設置や保守を担う技術者の育成にVRを取り入れる企業も相次いでいる。鉄道業界では、各種工事の流れや作業を学ぶためにVRを駆使した訓練環境を整備する動きがある。

 頭に装着して使うヘッドマウントディスプレイが高価だったことなどから、これまでVRはあまり普及してこなかった。ところが、3年ほど前から安価な製品が市場に広く出まわるようになり、VRは一気に身近なデジタルテクノロジーになった。

 VRを利用すれば、実在しないものを目の前に存在するかのように作りだせる。実際の作業現場の環境を模したCGをヘッドマウントディスプレイに表示すれば、あたかも現場にいるかのような感覚で業務を学べる。そのため、業務の手順や留意点を記載したマニュアルを使う研修に比べ、実践感覚を養いやすい。遭遇する可能性のある危険な状況をVRで疑似体験しておけば、事故の発生を防ぐ効果や、迅速な事故対応能力を身につける効果が期待できる。

航空機内業務や空港業務をVRで習得

 航空業界では全日本空輸(ANA)が2019年3月、NECが開発したVRシステムを本格導入し、2018年度に採用した約800人の客室乗務員の育成用途で使い始めた。火災や急減圧など現実には再現が難しい機内の状況をVRで再現して訓練する。万が一の緊急事態の発生時に、これまで以上に迅速かつ適切に対処できる客室乗務員の養成が可能になると同社は期待している。

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