まるで不動産取引の駆け引き、トランプの安保廃棄論 覇権国の矜持なき指導者に世界はこれからも振り回されるのか

(舛添 要一:国際政治学者)

 トランプ大統領の「日米安保廃棄論」が大きな反響を呼んでいる。

 6月24日、アメリカのブルームバーグは、トランプ大統領が側近との会話で、「日本が攻撃された場合はアメリカが支援するが、アメリカが攻撃されたときには日本の援助が義務づけられていないので、あまりにも一方的で不公平だ」と述べたと報じた。日本政府は、慌ててこの報道を否定したが、当のトランプ大統領は、26日にメディアの電話インタビューに答え、同じ主張を繰り返した。

世界は今も「パックス・アメリカーナ」

 第二次世界大戦後の世界は「パックス・アメリカーナ」と称される。アメリカが覇権国となり、世界を支配する国際社会である。その覇権は、@軍事、A経済、B金融、C文化の4つの側面で他国に優越的な地位を持つことを意味する。

 核戦力を含めて、アメリカが世界一の軍事大国であることは誰も否定しない。米ソ冷戦が西側の勝利で終わり、ソ連・ロシアの力が低下する中で、突出した軍事力をアメリカは誇ってきた。最近は、中国が軍拡を進めているが、アメリカの敵ではない。この軍事力を背景に、北朝鮮やイランに非核化を求めているのである。その傾向はトランプ政権になって一層強まっている。

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