大船渡・佐々木が故障予防ITデバイスを使っていたら IoT時代、が変わる

(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役)

 指導者はアスリートファーストで才能豊かな選手の「将来」を守るべきか? それとも選手の故障リスクを覚悟で「チームの勝利」を最優先すべきなのか?

 2019年7月25日、「第101回 全国高等学校野球選手権大会」の岩手県大会決勝でこの問いを突きつける「事件」が起きた。

 最速163km/hを記録し「高校野球史上最速」の呼び声高い大船渡高校の絶対エース・佐々木朗希投手は、勝てば甲子園出場が決まる大事な試合で、投手としてマウンドに向かうことも、また4番打者としてバッターボックスに立つこともなく、ベンチの中で敗戦の瞬間を迎えることになった。

 佐々木投手は岩手県大会で準決勝までに計435球を投げており、複数のスポーツ紙の報道によれば、試合前、県高野連の医療スタッフに肘の違和感を訴えていた、とも伝えられる。

「故障を防ぐために起用しませんでした。今までの3年間の中で、一番壊れる可能性が高いのかなと思って。私には(登板を)決断できませんでした」 出場回避の責任は、佐々木投手の指導者である大船渡高校の国保陽平監督(注)が1人で背負った。

(注)報道によると、国保監督は筑波大学卒業後に米独立リーグに挑戦し、球数制限など選手のコンディショニングの重要性を学んだという。今年(2019年)の春に佐々木投手に骨密度検査を受けさせ、160キロ以上の球速に耐えられる大人の身体ではないことを確認すると、春季大会では敗戦覚悟で連投を回避したり、投球の強度を下げさせたり、アスリートファーストで選手の「将来」を守る方針を堅持してきたという。

 その後、この事件をめぐる議論は、思わぬ形で延長戦に突入した。3日後の7月28日に放送されたTBS系列『サンデーモーニング』のスポーツコーナーで「名物ご意見番」の元プロ野球選手・張本勲氏が、「(国保監督は佐々木投手に)投げさせなきゃだめでしょう」と発言し、番組独特の演出で派手に「喝」を入れた。これに対して、サッカーの長友佑都選手(トルコ1部、ガラタサライ所属)やダルビッシュ有投手(MLB、シカゴ・カブス所属)が即日、ツイッターで反応。張本勲氏の番組での言動に強く拒否感を示したことをきっかけに、ネット上で論争が拡大し、なかなか収束する気配を見せていない。

 感情論や精神論を超えて、この論争に終止符を打つことはできないのか?

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