グローバル化で法人税の「引き下げ競争」が激化する ビジネスも税制も「キャッシュフロー」で考えよう

グローバル化で法人税の「引き下げ競争」が激化する ビジネスも税制も「キャッシュフロー」で考えよう

シンガポールの高層ビル群。グローバル時代に、帳簿上の利益や所得に課税する直接税は適していない

 普通のビジネスマンにとってキャッシュフローという言葉は、あまりなじみがないだろう。経理担当者以外にはピンと来ないと思うが、これを混同すると黒字のプロジェクトが赤字になったり、その逆になったりする。その一例が、東京都の豊洲市場移転をめぐる混乱だ。

 6月5日に東京都の小池知事に出された、市場問題プロジェクトチーム(PT)の「第一次報告書(案)」は、豊洲市場への移転が「減価償却費を含めて毎年140〜150億円の赤字」になるという試算を発表したが、これは誤りである。意思決定で考えるのはキャッシュフローだけで、減価償却は除外するのだ。

豊洲移転で減価償却を考えてはいけない

 まず利益とキャッシュフローの違いを説明しておこう。利益というのは売り上げから経費を引いたものだが、キャッシュフローとは一致しない。それにはいろいろな原因があるが、最大の要因は減価償却費だ。これは固定資産の取得コストを分割して、各年の必要経費として配分したもので、実際に出ていく現金ではない。

 豊洲市場にはすでに東京都が5884億円の事業費を支出しており、固定資産のうち建物は、回収できないサンクコスト(埋没費用)である。豊洲市場を開場すると、維持管理の人件費などは実際にかかる費用だが、減価償却費はすでにかかったコストを帳簿に計上するだけなので、キャッシュは出ていかない。

 減価償却を除外した正しい計算では、豊洲市場の毎年のキャッシュフローは21億円の赤字で、50年分としても赤字の合計は1050億円。市場を移転して築地の跡地を売却すれば4386億円の売却益が見込まれるので、豊洲移転プロジェクトは大幅な黒字である。

 このように減価償却費は実際に支出された建設費のダブルカウントになるので、都の市場会計でも計上していない。市場問題PTのいう「大赤字」は、キャッシュフローでみると明白な誤解(あるいは曲解)である。豊洲にただちに移転して築地の跡地を売却することが、経営的にも正しい。

続きはJBpressで

関連記事(外部サイト)