コロナの後からやってくる「人員整理」の悪夢 新型コロナウイルス関連の補償を期待すべきでない理由

コロナの後からやってくる「人員整理」の悪夢 新型コロナウイルス関連の補償を期待すべきでない理由

*写真はイメージです

(尾藤 克之:コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)

 新型コロナウイルスの影響でさまざまな活動の自粛要請が続くなか、安倍首相は「休職に伴う所得の減少にも、新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てしてまいります」と発言しました。その後、助成金の対象と範囲が公開されました。この助成金制度、いったいどれくらい期待できるものなのでしょうか。

ノーワーク・ノーペイの原則

 助成金制度を活用して自分はいくらもらえるのか? 働く人にとって切実な問題だと思います。

 加藤厚労相の発言を分析してみましょう。

「保護者が休む場合については、非正規で働く方も含めて、賃金を支払った企業に対する助成金を創設することにしております」

 一斉休校のため有給休暇をとる従業員がいた場合、その賃金を国が助成するというものです。注意しなければならないのは、助成金は個人に支払われる性質のものではないということです。労働者の賃金は補償はされるのでしょうか? これを決めるのは国ではありません。振込先は企業になりますから企業ごとの判断になります。ほかにも、緊急経済対策について、国民1人当たり一律10万円の現金給付や消費税5%など、様々な意見がありますが、いずれも決定事項ではありません。

 労働契約には「ノーワーク・ノーペイの原則」が存在します。労働者による労務の提供と、使用者による賃金の支払による双務契約により成立するという考え方です。貢献と報酬のバーターになりますから、労務の提供がなされず、労働者の責任に帰する場合は賃金の支払義務が発生しません。仕事をしていない場合には請求権は生じません。

 新型コロナウイルスの影響で経営に影響が生じた場合の賃金支払いの有無は、それぞれの企業が考えることです。賃金(最大8330円/日)が助成金として戻ってきますが、これを受け取るには、審査に受からなければいけません。しかも、「ノーワーク・ノーペイの原則」に則れば賃金支払いの義務はありません。そのため、賃金を支払わない企業も多いと予想しています。

 今回の、助成金申請には申込みが殺到するはずです。審査が通るのに数カ月、場合によっては通らない可能性も否定できません。それ以前に、経営がひっ迫し耐えられなければ企業は倒産します。そのため、労働者は助成金に期待しないほうがいいと筆者は考えています。

 正社員は毎月雇用保険料を支払っています。企業は倍の保険料を払い労災保険にも加入します。そして一人当たり上限8330円の助成金の財源は、雇用保険です。この原則を踏まえれば、もっとも、助成金になじまないのは個人事業主とフリーランスです。個人事業主とフリーランスには、本来支払われる性質のものではありません。

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