ワークマンが取り組む「しない経営」の目指す先 「草の根DX」で第2のブルーオーシャン市場を開拓する

ワークマンが取り組む「しない経営」の目指す先 「草の根DX」で第2のブルーオーシャン市場を開拓する

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※本コンテンツは、2020年9月30日に開催されたJBpress主催「リテール・イノベーション 2020〜ポストコロナ時代に求められる小売業の『攻め』と『守り』のデジタルシフト〜」での特別講演の内容を採録したものです。

株式会社ワークマン
専務取締役
土屋 哲雄 氏

スローガン「データ経営で新業態へ」を具体化

 デジタルトランスフォーメーション(DX)というと、最先端のAIやBIシステムとデータサイエンティストのような専門家集団を連想する人も多いだろう。そんなステレオタイプの幻想を見事に打ち壊してくれるのが、作業服販売で日本一の規模を誇る株式会社ワークマンだ。

 今回のセミナーの特別講演に登壇した同社専務取締役の土屋哲雄氏は、同社の取り組みを自ら「草の根DX」と呼ぶ。「データ経営による新業態の創出」を戦略に掲げ、現場を熟知した社員自らの手によるデータ活用を進める同社の、ユニークかつ実践的な市場開拓について語っていただいた。

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 私たちのビジネスの強みは、まず作業服小売業界でナンバーワンの地位です。現在、全国で880店舗を展開していますが、業界第2位、第3位が50〜41店舗なので、ブルーオーシャン市場の中でも圧倒的優位を確保しています。この競争力の源泉となっているのが、店舗や品揃えを徹底的に標準化していることと定価販売です。

 その一方で、課題も現れてきています。一つは作業服市場の取り尽くしです。業界規模が「1000店・1000億円」が限界といわれ、それ以上の成長が見込めないこと。もう一つはネット企業の台頭です。具体的にはAmazonをはじめとするネット専業勢力が次々に現れてきている点です。

 こうした課題にどう対応し、引き続き、業界における優位性と成長を維持してゆくのか。そのための施策が、「2014年中期業態変革ビジョン」です。このスローガンが、「データ経営で新業態へ」であり、その具体的な施策として、作業服以外の新しい業態を開発すること。なおかつ、従来の商品を生かして、新しい客層を開拓し市場を広げること。そして、その新業態を「データ経営」によって運営していくことがうたわれています。

 さらにもう一つの目標が、「Amazonに将来も負けない」です。(1)定価でAmazonに負けない (2)配送費でAmazonに負けない (3)販促費をかけない の3つを実現するために、プライベートブランド品は、定価でありながらAmazonと競争力を持つ価格に設定し、作業服は10年間の供給保証をしました。また宅配費用を省くために、店舗の在庫を活用した店舗受け取り通販=クリック&コレクト化を進める。そして販促費をかけないために、アンバサダーの評判をフル活用するという戦略を立てました。

 これらの戦略に基づく新業態として考えたのが、アウトドアウエアでした。もともと当社は法人営業を行わず個人だけを対象にする営業方針であり、しかも作業服というのは、機能性などを見るとアウトドアウエアに応用できる部分が非常に多い。さっそく2016年に業界調査とヒアリングを実施したのですが、周囲からはネガティブなことばかり言われました。

 商品の機能性は似ているけれど業界自体は水と油とか、アウトドアやスポーツウエアの業界はブランドメーカーの寡占状態だから、ブランド力のないワークマンでは無理とか。それでも挑戦する以上、3年間は赤字覚悟でやってみようということになりました。そこで立ち上げた新業態店舗が、「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」です。

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