「就職活動」はどうやって終わるのか〜憧れで始まり、希望で終わる〜

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「キャリタス就活 2020 学生モニター調査結果」によると、6月1日時点の内定率は前年同時期の65.7%を上回り、71.1%にのぼっていることがわかりました。

就職活動終了者も全体の43.9%と、すでに半数近くの人が就職活動を終えているそうです。改めて新卒採用活動の早期化が浮き彫りになりました。

ただし、考え方によっては就職活動学生の3割近く(つまり20万人程度)が「内定をもらいながら就職活動を続けている」ということになります。採用する側にとっては、まだまだ優秀な人が残っているので、希望が持てる数字でもあります。

また、まだ内定をもらっていない学生は、まだまだいい会社はたくさんあるので、ぜひ頑張って欲しいところです。(文:人材研究所代表・曽和利光)

内定率7割でも憧れの第一志望に入れず

ところで、これほど多くの学生が内定をもらっていながら、なぜ就職活動を続けているのでしょうか。いつになれば就職活動を終えるのでしょうか。

「え、第一志望の会社に受かったからに決まっているでしょ!?」と思われるかもしれませんが、もしも大手や人気企業を第一志望としている人が多いのであれば、そこに入れる人は推定で10万人程度(就職活動学生の2割以下)に過ぎないということになります。

したがって、ほとんどの人は「第一志望会社以外」の会社に入ることになります。ですから、「第一志望に受かったら止める」という人はあまりおらず、「第一志望に落ちてしまった人」が何らかのタイミングで就活を終えるというのが現実です。

もちろん、最終的には「その時点での相対的な第一志望」に受かったら就職を終えるということなのでしょう。しかし、その企業はどうやって決めるのでしょうか。

大手の採用活動が終わった後、就活を始めるまで知らなかった知名度の低い中小会社やベンチャー会社などが、最終的に就職活動学生にとっての「相対的な第一志望」になるのはどうしてなのでしょうか。

未練を断ち切らなければ「運命の相手」には出会わない

「相対的な第一志望」に気持ちが落ち着くまでには、実は精神的に難易度の高い壁を登らないといけません。というのも、就職活動の後半戦になるにつれて、出会う会社は「初めて知った得体の知れない会社」が増えていくからです。

大手や人気企業であれば長年親しみや憧れもあるでしょうが、「初めて知った」会社に対していきなりそんな思いを持っているはずはありません。ましてや当初の第一志望にフラれた後では、イマイチ魅力を感じないというのが本音でしょう。

憧れの会社への未練が断ち切れずに悶々と就職活動を続けていると、会っても会っても「この会社ではない」「どこか違う」「ピンと来ない」という日々が続くことになります。

本当はいい会社も多いのに、虚ろな目で見ていては、それに気づくことはありません。こういう状態では、就職活動はありもしない理想の相手を探して延々と続くことになります。

この状態は、就活生本人の主観的には「この会社はこういう条件を満たしていないので、私には合わないのだ」と認識されています。つまり、後ろ髪を引かれているからモノが見えないのではなく、正当な理屈があるから「この会社ではない」のだと。

必要なのは「知ることで好きになること」

しかし、本当の原因は「未練ゆえの盲目」なわけです。結構良い会社に会っているのに、取ってつけたように難癖を言っているだけ。このことに気づくことが重要です。

本当の原因を認識できなければ、解決策は間違ったものになります。未練ゆえの盲目から「最後の会社」を選べないのであれば、やるべきことは「数打ちゃ当たる」ではなく、逆に一つ一つの会社を吟味して「知ることによって好きになっていく」ことです。

では、どうすればよいのか。

ふつうであれば、内定を出してくれた会社からいろいろ情報をもらったり、人に会わせてもらったりするのがよいのでしょう。しかし就職活動においては、採る方と採られる側は立場が違うので、いきなり共感することは難しいものです。

そこで一番のお勧めは、その会社の同じ内定者に会ってみることです。彼らは基本的に自分と同じ立場の人たち。憧れの会社に入れなかったり、内定をもらった会社をまだ完全に好きにはなれていなかったりすることもあるでしょう。

彼らであれば、不安も心配も素直に本音で相談しやすい。学校の他の同級生に言われれば腹が立つような、内定した会社の欠点やダメなところなども言いやすい。そうしているうちに内定者同士分かり合い、信頼し合えたらしめたものです。

仲間と分かち合う希望が就活を終わらせる

憧れの会社に行けなかった事実は、多くの人にとってとても辛いことです。場合によっては心の傷になるかもしれません。

しかも就職活動は受験と違い、よく「人間性重視」などと言われて面接で選考をされることが多いので、不合格になるということは、人間性を全否定されたような気持ちになることもあります(もちろん、本当はそんなことはなく、単なる向き不向きや相性の問題であり、良し悪しではないことも多いのですが)。

それを癒してくれるのは、同じ痛みを経験した仲間だったりします。それが最初の会社での「同期」ということです。

彼らに自分と同じ匂いを感じ、共感を持つことができた後に、彼らとともにこの会社に入って、良い会社にしていこう――。そう思えた時には、自ずから「この会社を就職活動の最後の会社にしよう」と思えているのではないでしょうか。

【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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