アニメ制作会社の3割が赤字、過去10年で最高水準 労働環境の改善も急務

アニメ制作会社3割が赤字 京都アニメーション放火事件は「アニメ文化に大きな痛手」

記事まとめ

  • アニメ制作会社の18年の売上高は2131億7300万円、8年連続で前年を上回り過去最高に
  • 収入高が「減収」となった企業は23.2%、最終損益で「赤字」となった制作企業は30.4%
  • 京都アニメーション放火事件については「日本アニメ文化にとって大きな痛手」と記した

アニメ制作会社の3割が赤字、過去10年で最高水準 労働環境の改善も急務

アニメ制作会社の3割が赤字、過去10年で最高水準 労働環境の改善も急務

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帝国データバンクは9月25日、アニメ制作業界動向調査の結果を発表した。調査は信用調査報告ファイルや外部情報をもとにアニメ制作企業を抽出し、2019年9月時点の企業データベース「COSMOS2」に収録されている256社の集計・分析を行った。

2018年における売上高合計は2131億7300万円。2011年以降8年連続で前年を上回り、過去最高を更新した。2018年の1社当たり平均収入高は8億4300万円で、前年から8.1%増加。ピークとなった2007年(9 億9200 万円)の8割超の水準まで上昇した。

同社は、「業界全体でアニメーターなどの人材不足や外注費の高騰が続いたものの、制作量を相応に確保できたことから大手制作企業を中心に業績回復が続き、全体の底上げにつながった」と分析している。

番組販売や配信に注力している企業、ネットでの映像配信事業が好調な企業は増収傾向

制作態様別に平均売上高をみると、直接制作を受託・完成させる「元請・グロス請」は16億6300万円、下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」は2億7700万円となった。

アニメ制作企業全体の収入高動向では「増収」が34.1%。元請・グロス請企業で増収となった企業に関しては、アニメ制作本数増加や、劇場版アニメなどでヒット作品が生まれたことなどが影響した。また、国内外での番組販売や配信に注力している企業、インターネットでの映像配信事業が好調な企業でも増収となった。

一方、2018年の収入高が「減収」となった企業は23.2%。元請・グロス請の減収は3年連続縮小したが、専門スタジオは54.7%と半数超が減収した。

その結果、最終損益で「赤字」となった制作企業は30.4%を占め3年ぶりに増加へ転じた。赤字企業は2015 年をピークに減少傾向が続いていたが、過去10年間で最も高い水準となった。

京アニ放火事件「人材喪失、制作資料などの損失は、日本アニメ文化にとって大きな痛手」

2018年は倒産が6社、休廃業・解散が5社。『タッチ』などを制作していたグループ・タック(東京都渋谷区)、『いなり、こんこん、恋いろは。』などを制作していたプロダクションアイムズ(東京都練馬区)などが経営破綻した。

近年のアニメ制作企業の経営破綻の特徴は、「請負単価の低下などで収入高が減少したほか、人材不足による人件費、下請業者などへの支払い費用が増大し、資金繰りが行き詰まったケースが多い」としている。

今後のアニメ業界は日本アニメの人気を背景に、国内アニメ制作業界は堅調に推移するとみられるが、「仕事量の増加などによる制作スケジュールの過密化対策など、是正が求められている労働環境の改善なども急務となる」としている。

今年7月に発生した京都アニメーション放火事件については、

「アニメーターをはじめとする人材喪失、制作資料などの物的損失は同社のみならず、日本アニメ文化にとって大きな痛手であり、同社を含めたアニメ制作業界全体の動向を引き続き見守る必要がある」

と記している。

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