10万円給付を"ベーシックインカム導入"の契機にできるか 今こそ社会制度変革の声を挙げよう

10万円給付を"ベーシックインカム導入"の契機にできるか 今こそ社会制度変革の声を挙げよう

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一部の自治体では、政府の定額給付金10万円の支給が始まっている。郵送による申請のほか、マイナンバーカードを活用したオンライン申請も受け付けており、マイナンバーが再び注目を集めている。

他方、政界では緊急事態宣言の延長を受けて「1回限りの支給では不十分」という意見が挙がっている。ある意味では、なし崩し的にベーシックインカム導入の端緒になる可能性もあり、社会制度全般の見直しを合わせた議論が進めるべきなのではないだろうか。(文:ふじいりょう)

給付金が証明した"ベーシックインカム導入"の素地

政府は依然、個人への追加給付には慎重だが、野党からは追加の補正予算編成を求める声が強まっている。国民民主党の玉木雄一郎代表は「2、3回目とやっていかないといけない」と述べ、日本共産党の小池晃書記局長も「1回こっきりという対応は許されない」という見解を出したところだ。

また、ヤフーニュース上で5月15日まで回答募集していた「10万円の現金給付、追加の給付策は必要?」という質問では、大多数が「必要」(91%)と回答。「必要ではない」(6.2%)を大きく上回っている。

100兆円規模の補正予算というのは過去に例がなく、今回の給付金についても新型コロナ対策という面があるのは否定できない。だが、すでに観光業などを中心に倒産する企業が増えており、派遣労働者やアルバイト、パートの失業も顕在化している。

まさに、異例というべき早さで支給が決まった現金給付。だが、逆に考えれば、日本でもベーシックインカム的政策をやろうと思えば可能だと示された、とも見ることができる。

マイナンバーカードを保持していれば、ネット上でも申請ができるということで、今後はますます導入が進むことも考えられる。セーフティーネットとしてのベーシックインカムを導入できるシステム的懸念が、一連の給付金対応で取り除かれたと言えるのではないだろうか。

年金が頼れない以上、必要になるのは"別のセーフティーネット"

とはいえ、ベーシックインカム、つまり継続的な現金給付を実施するにあたり、問題はやはり財源ということになる。2ちゃんねる創設者の西村博之氏は、著書『このままだと、日本に未来はないよね』(洋泉社)で、毎月7万円の支給を仮定した場合に財源93兆円が必要と試算。他方、ベーシックインカムを導入する代わりに、医療費の全員3割負担、生活保護の廃止、相続税を1.5倍にする、長期的に厚生年金・国民年金の支給額をベーシックインカムと同じにすることを提唱している。

いきなり生活保護や年金廃止を進めるというのは、極端かもしれない。だが、ベーシックインカムを基本として、不足分を現行の生活保護、各種年金によって補填するといった制度設計を目指す議論はなされても良いのではないだろうか。

特に、公的年金については、受給開始時期を75歳まで繰り下げられるようにする法案が国会で審議入りしている。現在の就職氷河期世代が受給に達するまでは、31〜40年間はかかる。老後に年金を頼ることがこの先、難しくなると言われている昨今、年金に替わる社会保障制度の確立は急務だろう。

このためには、現役世代のうち、特に人口ボリュームの大きい就職氷河期世代から、ベーシックインカムを求める声を大きく発することが必要だろう。今回の新型コロナがもたらした災禍を一過性のもので終わらせず、将来の社会制度の変革につなげることを行政に求めることが不可欠ではないだろうか。

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