絶滅危惧種のウナギ、「食べなければいい」でいいのか ウナギ専門店が保護活動に取り組む理由

絶滅危惧種のウナギ、「食べなければいい」でいいのか ウナギ専門店が保護活動に取り組む理由

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今年も土用の丑の日がやってくる。スーパーやコンビニ、最近では牛丼チェーンなども、この日に合わせてウナギを前面にアピールして販売。毎年7月は少しだけ贅沢して、ウナギを食べるという人も多いのではないだろうか。

茨城県のウナギ専門店「小松園」は、こうした食文化を後世に残そうと、絶滅危惧種のウナギを保護するプロジェクトに取り組んでいる。リリースでは

「『うなぎを飲食店から保護』していくって一見矛盾していますよね」

と消費者に問いかける。確かに、ウナギを守るなら「売らない」「食べない」という選択が真っ先に思い浮かぶ。だが、ウナギ料理を提供する同店は、キャリコネニュースの取材に「それでは大切な文化を失ってしまう」と答えた。

「ウナギが獲れないことに不平不満を言っても仕方ない」

代表の小倉清暢さんが、ウナギの保護プロジェクトを始めたのは3年ほど前。ウナギの漁獲量減少、それに伴う価格高騰が毎年話題になる中、「販売する側がウナギがないことに不平不満を言っても仕方ない」と思っていたという。

そんな折、埼玉県内のウナギ専門店が主催する講演会に出席。ウナギの研究をしている大学教授の

「乱獲、加工などウナギを無理やり売ろうとするやり方は負の循環になる」
「国内に住みつくウナギの親が少なくなっており、これらを守ることがウナギの保護につながる」

といった話を聞いた。そこで、専門家の力を借りながらであれば「飲食店にもできることがある」と思い立ったという。

「食文化は一度なくなったら取返しがつかない」

昨年11月にはクラウドファンディングを実施。1か月強で目標額60万円のおよそ1.5倍にのぼる92万2000円を集めた。寄付金は、北里大学でウナギの生態を研究する千葉洋明教授らと協力し、地元・茨城にウナギの親を守る人工施設をつくることなどに充てるという。小倉さんは

「実は、県内に自然に近い環境でウナギを守る人工池があったんですが、昨年10月の台風で全て流されてしまいました。またゼロからのスタートです」

と明かす。今度は自然災害にも対応できるよう、場所の選定から選び直すとしており、既に地元市長からは「土地を有効活用してもらえるなら」と前向きな返答をもらっているという。

ウナギ絶滅の話が出ると、必ず「食べなければいい」という人がいる。では、飲食店がウナギの保護活動に取り組む意義はどこにあるのだろうか。小倉さんは、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産の登録された背景とともに、こう説明する。

「『和食』の登録に動いた理由の一つには、日本の食文化を継承する人がほとんどいないことがあります」

和食の文化や風習、素材に対する思いなどが無くなりそうにも関わらず、その現状があまり知られていないことに危機感を感じているという。さらに「こうした食文化は一度なくなったら、取返しがつきません。次の世代に渡すことが大事だと考えています」と話した。

店がある茨城県古河市には渡良瀬川や利根川が走っている。小倉さんによると、古くはウナギやコイが多く獲れ、河川の流通網を生かして他の地域に出荷するほどだったという。ところが、現在は商品的価値のあるものは全然獲れなくなっている。

店では現在、卸業者から国産ウナギのうちその時期に獲れる良いものを仕入れて提供している。「大きな目標かもしれませんが、地のものを地元で食べられるようになれば……」。そのためにも「やはり飲食店としてはウナギ、和食の危機的状況を広く知ってもらうために活動を続けていきたいです」と語った。

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