話題の炎上本『年収200万円で豊かに暮らす』 読んでわかった衝撃の事実とは?

話題の炎上本『年収200万円で豊かに暮らす』 読んでわかった衝撃の事実とは?

炎上したムック本に衝撃事実

書影

どんな内容なのか……

「色々と地獄を感じた、これを見た時」というツイートをきっかけに、ネットで炎上気味になったムック本『年収200万円で豊かに暮らす』(宝島社・税込759円、80頁)。ネットの騒動を見て気になったのが、誰ひとり手にとって読んでいなさそう!なこと。筆者はあえて購入して読んでみることにしたのだが……。この本はいろいろと「すごい」本だった。(文:昼間たかし)

■ どう考えても年収200万円ではない人が続々登場

このムックの触れ込みは、年収200万円生活を実践している人の収入や支出の内訳を公開し、賢いライフスタイルを紹介する、というもの。2009年にベストセラーになった『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者である「家系再生コンサルタント」の横山光昭氏監修の下、20名あまりの節約生活をウリにしている漫画家、ブロガー、インスタグラマーなどのテクニックを紹介しているという。期待感を持って読んでみたのだが……。

登場する人たちは「節約生活をウリにしている」という共通点はあるものの、必ずしも年収200万円というわけではないようだ。

例えば、インタビューが掲載されている漫画家のおづまりこ氏。かつて派遣OLで年収200万円だった時代があり、その経験をもとに代表作『おひとりさまのゆたかな年収200万円生活』(KADOKAWA)を執筆されたようだが、なんとこの本シリーズ累計28万部らしい。1200円の本を28万部売っているわけだから、印税10%だとしても3000万円以上。年収200万はとっくに“卒業”しているもようだ。現在の収入には言及がなく、紹介文には、

おづさんはまず年間の予算を200万円に収めるよう、ジャンルを細かく設定して月の予算を出し、お金の使い道を考えるそうです。

とあった。倹約生活には違いないが、これは「年収200万円生活」ではなく「予算200万円」生活である。

もうひとりインタビューに登場している、インスタグラマーの、ののこ氏。プロフィールには、こんなことが書かれていた。

0円からはじめた貯金は3年間で500万円を達成!

年収200万円の人が、3年間で500万円を貯めるのは不可能だ。家族は夫と娘、息子の4人暮らしだそうだが、年間33万では家賃も払えない。これは人選ミスではないか。

また、40代独身女性で一人暮らしというトモ氏は、お金を使わなくても楽しめる方法として「今は、YoutubeやInstagramなど、無料で没頭できる娯楽がたくさんあります」というアドバイスをしている。いいね。

トモ氏の「2022年4月家計簿公開」によれば、4月の支出は12万4991円、うち食費1万8415円・衣服美容代が2万1730円……なのだが、この家計簿の最大の特徴は「家賃・ローン返済がない」こと。気になってブログを読んでみると、トモさんはローン完済のマンション(固定資産税・年13万)や、軽乗用車を所有しているという。

3年前のブログ記事では、今後のライフプランについて「46歳で400万円の車を購入」「年に30万円くらいは旅行+大型家電や家具の購入」「60歳まで平均的に昇級して勤め上げる」「退職金ももらう」「厚生年金ももらうし、いま積立してる個人年金保険のバックもある」などとしたうえで、「死ぬまで財産が増え続けてます まじかー。超安泰なわたしの暮らし」と綴っている。

いやいやいや……。まちがいなく「豊か」ではあるし、賢く倹約されている方だとは思うのだが、年収200万はどこへ行った? 月の食費が2万円を切っているのも、ブログを読むと「実家が米農家のため、米は無料」ということで、なんだか肩透かしだ。どういう経緯でインタビューを受けたのか聞いてみたくなった。

さて、登場人物の中にはリアルに年収200万円っぽい人もいる。たとえばYouTuberのこはくらいふ。氏だ。プロフィールによれば「手取り14万円の薬局事務員」とある。

彼女が「豊かに暮らす方法」として紹介するテクニックが、自らの家計簿・生活費を赤裸々にYouTubeで公開し、ファンに「応援」してもらうことだそう。

いやいや、そこまでぶっちゃけるのもハードルが高いし、それで応援してもらうというのも、ちょっと特殊すぎるアドバイスでは?

ちなみにYoutubeチャンネルでの自己紹介には、こう記されている。

30歳までずっと実家暮らし。家事もほとんどやってこなかった私がこの度一人暮らしをはじめました。

手取り14万の契約社員、周囲よりワンテンポおそい、非効率な私の生活。

「生活費公開」動画を見ると、固定費として家賃のほか奨学金返済がある。となると、大卒後30歳まで実家暮らしを経て、現在は手取り14万円で一人暮らし。支出内訳の中で、貯蓄は、つみたてNISAの1万円だという。将来、親の介護や、病気・ケガなどで一時的な収入減があった場合への対応をどう考えているのか、ちょっと想像がつかない内容だ。

他の登場人物のアドバイスもちょっとだけ紹介すると……

・蔦屋書店で試し読みして気に入った本だけ購入
・欲しい本はメルカリで。古本屋よりも安くてきれい
・格安スマホに乗り換え
・部屋を暗くしてIKEAのライトだけつけてアマプラで映画をみれば自宅が映画館に
・飲み会にはあまり参加しないキャラ作り
・スタバにはタンブラーを持参

と、確かに節約のコツではあるものの、なんだか「ちょっとしたアイデア・小ネタの寄せ集め」という感じ。全体を通じて「豊かな生活とはなにか」が、まるで語られていないのだ。

ネット上では、ムック本について「現実を見ていない」という批判も起きていた。しかし、実際に読んでみると、本の中身はむしろ「200万円で豊かに暮らすためには資産や才能、太い実家など、何らかの特殊要因が必要」という冷たい現実を読者に突きつけてくる内容に思えた。やはり、特に資産や才能のあるわけでもない一般人はコツコツ働いてお金を稼いでいくしかない、ということになりそうだ。

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