経産省「立ちすくむ国家」ワークショップ開催 「地方視点の欠如」を指摘され「都会視点だったことに初めて気付いた」とメンバー語る

経産省「立ちすくむ国家」ワークショップ開催 「地方視点の欠如」を指摘され「都会視点だったことに初めて気付いた」とメンバー語る

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経産省若手職員有志が作成した資料「不安な個人、立ちすくむ国家」は、お役所のイメージを覆すその内容から、大きな反響を呼んだ。メンバーの一人は以前、キャリコネニュースの取材に対し、これをきっかけとした議論の広がりを望んでいたが、その思いは1か月経って現実のものとなった。

6月13日、資料を起点にしたワークショップが都内で開催された。若手プロジェクトメンバーや会社員、公務員、学生など120人以上が詰めかけ、3時間にわたり熱い議論が交わされた。

地方には、新卒一括採用や65歳定年制が関係ない企業も多い

会場は、経産省からもほど近いコワーキングスペースSENQ霞ヶ関。司会を務めるコード・フォー・ジャパン代表の関治之さんが、

「本日のゴールは、今の日本の課題について理解を深め、参加者それぞれが自分のアクションプランを導き出すところ。詳しくなって良かったな、勉強になって良かったなではなく、『明日から何しよう?』をみんなが作るところです」

とワークショップの目的を説明した。

続いて、若手プロジェクトから山本聡一さん、高木聡さんの2人、元経産省職員で現在はスマートニュースに勤務する望月優大さんらによる対談が行われた。望月さんは先月下旬、資料に疑問を呈する記事を自身のブログに投稿して話題になった。

今回、望月さんから提示された疑問は以下の3つになる。

・資料を作る際に「財政制約」について省内でどこまで吟味されたのか
・自由・権利の話と制約・財政をごちゃ混ぜにしていないか
・「官」「民」の重なり合い、役割分担を正しくイメージできているか

1つ目と2つ目は、高齢者の働き方や医療等の問題解決案に言及するにあたり、課題を解決することと、財政の立て直しのどちらが最終目的なのかという問い。3つ目は、教育や福祉など公的なお金で回るセクターを例に「官と民は背反するものではない」とする望月さんの考えと、メンバーの認識がどのように異なるかの確認だ。

プロジェクトメンバーの山本さんは、「財政制約に関する具体的な数字の議論は、あえてしなかった」と明かす。毎年の支出や借金の増加額を踏まえてしまうと生産的な議論がし辛いと考え、個人の不安やニーズに国レベルの大きな政策がどこまで寄り添えるかを主眼に据えたそうだ。財政の健全化は「結果的にそうなればいいな程度」だったという。1つ1つの疑問に真剣に答える姿が印象的だった。

100万件以上ダウンロードされるなど破格の盛り上がりを見せた資料だが、反響を受け、メンバーには新しい発見もあった。「資料には地方の視点がない」という批判から、自分たちの視点が都市に偏っていたと気づいたそうだ。

地方には、新卒一括採用も65歳定年も関係ない中小企業も数多ある。そうした場所に身を置く人たちから「何を言ってるか分からない」と言われ、はっとしたという。

こうした背景から、反響が大きくなった理由は「みんな何かひとこと言いたくなるような、乗っかりやすい粒度の資料だったからではないか」と受け止めていた。

参加者からは「みんなで市議会議員になろう」というアイデアも

対談が終わると、いよいよ参加者総出のグループディスカッションだ。資料で提示された

・人生100年、スキルを磨き続けて社会参画(人生100年)
・子供や教育に最優先で成長投資(子供への投資)
・意欲と能力ある人が公を担う(公を担う人材)

のトピックに応じて3班に分かれる。各自が感じる課題を付箋紙に書き出し班内で共有した後、それをさらに3〜4つのテーマに分類。10人程度の小チームに分かれ、チームごとにアクションプランを練っていく。

「子どもへの投資」班の「学校の変革」チームでは、

「生徒は誰からでも学べる。保護者や会社員からボランティアを募り、先生役になってもらう」
「学年に応じて伝え方を変えないと理解されない。内容もスクリーニングする必要がある。教える側の質はどう担保する?」
「Eラーニングなら事前の編集が可能だから、一定程度の質は確保できるのでは」

と話が進む。学外の人を巻き込み、学校組織の変革と子どもへ教育を両立させようという視点のようだ。「学び合う社会を作る」という方向でまとまりつつある。

「公を担う人材」班の「官と民の壁」チームからは「公と民の壁っていつできるんだろう。就職の時?」「公と公でないものの定義って?」など白熱した議論が聞こえる。静かなテーブルは1つもない。

問いや意見は活発に交わされるものの、考慮すべき項目が多岐に渡ることもあり、具体的なアクションプランの作成にはどこも苦戦していた。

1時間に及ぶ議論ののち、各チームの結果を全員の前で発表した。前述の「官と民の壁」チームの結論「政治家も副業の時代。政治家を育てよう。みんなで市議会議員になろう」には、会場からどよめきが上がった。

壁は「所属する組織の制度」と同義だと捉え、「その壁を壊すのは、組織の中にいるキーマンの人たち」と仮定。キーマンが議員になれば「議員名簿が、壁を壊す人たちの名簿」になるため、官と民の垣根を超えた取り組みがしやすくなるのではと目論む。個人のアクションプランでは、身近にいるキーマンに出馬を検討するよう促す、との意見が出ていた。

7月上旬に2回目の開催も決定 テーマを絞り、一層踏み込んだ議論になる予定

ワークショップを振り返り、経産省のプロジェクトメンバーは改めて参加者の熱量への驚きを口にした。対談で登壇した山本さんは

「役所ではデスクワークが多く、一般の方々とコミュニケーション取ることが少ない。そういう意味では今日生の声を聞き、初めて官僚になれたかなと思う。会える官僚ということでよろしくお願いいたします」

と笑顔で語った。望月さんと経産省で同期だったプロジェクトメンバーのひとりも

「SNS上で文字を交わすのもいいけれど、リアルな場で膝を詰めて顔を合わせると本音が出る。持ち帰って政策に活かしたい」

と締めくくった。7月10日週の平日夕方には2回目の開催も決定した。次は1つのテーマを深く掘り下げる形で実施する予定だと言う。

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