ご都合主義の異世界転生ラノベ「なろう系」が人気 小説を「早解き動画」感覚で楽しむ人が増えている!?

異世界転生ラノベ「なろう系」が人気 『このすば』『リゼロ』など相次ぎアニメ化

記事まとめ

  • 「異世界」という言葉がタイトルに含まれたライトノベルが増えているという
  • 『この素晴らしい世界に祝福を!』『Re:ゼロから始める異世界生活』などアニメ化も
  • 『異世界はスマートフォンとともに。』という作品が視聴者の間で物議を呼んでいる

ご都合主義の異世界転生ラノベ「なろう系」が人気 小説を「早解き動画」感覚で楽しむ人が増えている!?

ご都合主義の異世界転生ラノベ「なろう系」が人気 小説を「早解き動画」感覚で楽しむ人が増えている!?

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近年、「異世界」という言葉がタイトルに含まれたライトノベルが増えている。こうした作品の大半は、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿され、書籍化されたものであることから「なろう系」と呼ばれている。主人公が異世界に転生し、活躍するという物語であることが多い。この「なろう系」の流行は、小説が「読むもの」から「観るもの」になったことを示している。(取材・文:河嶌太郎)

「なろう系」の象徴作「異世界はスマートフォンとともに。」

「なろう系」作品からは、「この素晴らしい世界に祝福を!」(暁なつめ=作、角川書店)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(長月達平=作、メディアファクトリー)など相次いでアニメ化され、人気作になっている。こうしたヒットを受け、現在は3つの「なろう系」作品がアニメ放送されており、中でも「異世界はスマートフォンとともに。」(「いせスマ」)という作品が視聴者の間で物議を呼んでいる。

同作は、神様の手違いから男子高校生の主人公が死んでしまい、異世界に送り込まれるところから始まる。手違いのお詫びとして、主人公の能力が大幅に底上げされ、そして生前使っていたスマートフォンが異世界でも使えるという"おまけ"までついている。

異世界に転生した主人公は、いきなり魔法が全属性使えたり、お金や仲間(どういうわけか全員美少女である)に恵まれたりと、苦難というものに全く出会うことなく物語が進む。「とにかく主人公にご都合主義」「ヤマもないしオチもない」と困惑する声がネット上を中心に相次いでいる。

しかしこうした「ご都合主義」こそ、「なろう系」の特徴だ。漫画「がっこうぐらし!」(芳文社)の原作者で知られる海法紀光さんは、2016年1月にTwitterでこう指摘している。

なろう系のチートというのは、多くの場合「世界をハックする物語」なのだ。うまいハックが重要なのであって、「努力」や「向上心」は付随条件でしかなく、時に邪魔でさえある。

主人公が異世界に転生し、チートもなんでもありの、ご都合主義の予定調和とも言える要領の良さでのし上がっていく――これが「なろう系」作品の特徴だとされている。特にこの「いせスマ」は、この特徴を徹底的に出した作品と言える。

ゲームは「プレイする」だけでなく「観る」楽しみも では小説は?

現役の「なろう系」作家の声はどうか。「小説家になろう」に2年前から投稿し、「剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!?」(SBクリエイティブ)、「勇者と賢者の酒蔵」(ホビージャパン)などの著書を持つ年中麦茶太郎さんは「『小説家になろう』ではこうした作品が日々、多くの人によって書かれ、読まれ、楽しまれ、そして出版不況のこの時代に続々と書籍化されている」と語る。

なぜ、このような作品が広まり、支持を集めているのか。年中麦茶太郎さんは、

「『なろう』で高い評価を得る作品の傾向として、ゲームの早解き動画的な面白さを求めている読者が多いように思えます」

と指摘する。

ニコニコ動画では、「いせスマ」に「異世界RTA」というコメントがちらほらついている。RTAというのは「リアルタイムアタック」のことで、ゲームスタートからクリアまでの実時間を競うもの。このコメントは同作品を揶揄されるためにも使われているが、これは「ゲームの早解き動画的な面白さ」の裏返しとも言える。

確かに近年、ニコニコ動画をはじめインターネットの動画サイトではRTAや、ツールを使いゲームクリアまでの理論上の早さを現した「TAS」動画が人気で、しばしばランキングの上位にも現れる。

ゲーム実況動画も根強い人気があり、ゲームをサクサク進めていく早い展開を実況主に求めるコメントも多い。今や、ゲームは自分で能動的に解いていく楽しさだけでなく、第三者によるサクサクプレイを観る楽しみ方も確立しているのだ。

これと同じ現象が、小説をはじめとした物語の世界にも起こっているのではないか。あまり難しく考える必要がなく、ページをめくっているうちに気付けば主人公が一つの世界の中でサクサクのし上がっていく。この展開に新たな快感を覚える読者も少なくないのだろう。小説を「読む」のではなく「観る」――ここに「なろう系」の醍醐味があるようだ。

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