男性の「女の子らしくなりたい」に応える"乙女塾"開講 参加者「性適合手術をする前に、生きる自信をつけていきたい」

男性の「女の子らしくなりたい」に応える"乙女塾"開講 参加者「性適合手術をする前に、生きる自信をつけていきたい」

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「女の子らしくなりたいけど、どうすればいいのか分からない」。そう思うのは女性だけではない。男性が"女性化"するためのレッスンを提供する乙女塾は11月5日、新宿2丁目の女の子クラブで「乙女塾入塾説明会」を開催した。

取材した回の参加者は12人で、参加者は女装・女性化に興味を持っている人や、実際に女装をする「女装子」、LGBT当事者などだ。しかし「女の子らしくなりたい」と思う人であればセクシュアリティを問わずに入会することができる。

司会と説明を行ったのは、同塾代表の西原さつきさん(31)。4年前に性適合手術を受けており、トランスジェンダーの世界大会「Miss International Queen2015」で特別賞を受賞した経験も持つ。

声帯の使い方を変えて女性らしい声を習得するには約半年が必要

説明会で西原さんは「2016年に女装子さん向けにメイクアップスクールとして立ち上げて約1年半経ちますが、参加者に『本当に女の子になりたい人』が多いことに気付きました」と話す。

「性別を変えるにあたって就職や進路先をどうするか、親や家族への対応をどうすればいいか、みなさん今後の人生について悩んでいます。そんな人たちの深い悩みまでケアしていきたいと考えるようになりました」

現在、同塾では5つのコースが受講できる。一番人気は、発声練習を通して女性らしい声を習得する「ボイス講座」だ。

「女性らしい声を出すには、まず声帯や筋肉の使い方を変える必要があります。レッスンでは汗をかくほど発声をしてもらいます。やっぱり女性のような高い声は出していかないと出てくれませんから。でもトレーニングを行うと、楽に発声することができるようになります」

日常生活で使う「これ試着してもいいですか」「注文お願いします」などの短い会話文が女性らしく言えるようになるまで、約半年はかかる。中には2か月程度で「声質が変わった」という人もいるが、個人差があるようだ。

「男性のメイクは『工作テクニック』が必要になってくる」

メイクアップアーティストのNAOさん(38)が講師を務める「メイク講座」も人気だ。基本的に「メイク方法」と言えば、女性の顔に施すことが前提で、中々「男性がどうすれば女性らしくみえるか」に特化したメイク方法は公開されていない。NAOさん自身もLGBT当事者だ。

「女性のメイクは『平面的な顔を立体的にするもの』ですが、男性が"女性化"するためのメイクは『立体的な顔を平たくするもの』なんです」

立体的な男性の顔に"女性と同じメイク"をすると、いわゆる「おかまメイク」になってしまう。MtF(身体的には男性だが性自認は女性)には「鼻が大きい・高いとか眉骨が張っているなどのコンプレックスを無くして、一般女性として溶け込みたい」という人が多いようで、同講座では自分の顔に合ったメイク方法だけでなく、似合う洋服の色などもレクチャーするという。

他にも、乙女塾には女性らしい所作や歩き方を理論立てて教える「女性化講座」、女装初心者向けの「女装体験コース」や「女装撮影コース」もある。

一通り説明が終わった後は、個人面談。参加者は「化粧して外出して違和感がないようにするにはどうすればいいのか」といった悩みなどを講師の2人に相談していた。

「どんなに見た目が女の子でも、声が男だとバレてしまう」

ある20代の参加者は、キャリコネニュースの取材に「乙女塾はSNSで存在を知りました」と話した。以前はネットで調べても情報が少なく、女装子などにはアングラな雰囲気が漂っていた。そのようなコミュニティに入る勇気はなかったという。

しかし近年、SNSで多くの情報が得られるようになり、以前と比べたらイベントにもカジュアルに参加できるようになった。「実は今までにボイス講座を2回受けているんですが、声のトーンが少し高くなったんですよ」と嬉しそうだ。

「今後は性適合手術をして女性として生きていきたいと思っています。ゴールというか、そこがスタートですね。1〜2年後には手術を受けようと思っていて、それまでに女性として生きていく自信を付けられたら、と考えています」

他にも「最近、女性化を始めて、分からないことが多いから来た」という30代の参加者、「どんなに見た目が女の子になったとしても、声が男だとすぐバレてしまうので女性らしい声を習得したい」という40代の参加者など、年代も参加目的もバラバラ。しかし「女性らしくなりたい」という気持ちは同じだ。

終了後、西原さんは「以前は30代の方が多かったんですが、最近は学生や40代以上の方が増えました」と語った。その理由としては、「30代はバイタリティが強いから自分で調べて行動を起こしていくからではないでしょうか」と分析する。

「乙女塾には『どうすればいいか分からない』という人が多く参加されています。だから今後の進路について悩む学生や、『自分の人生、このままでいいのか?』と不安に感じている40代以上の方の参加が増えたのかもしれませんね」

また乙女塾に参加した人の8割は、半年後もレッスンを続けているという。

「自宅でしか女装ができなかった人は外出ができるまで自信がついたり、外出ができる人は電車に乗れるようになったり……。いまの自分より1ランクアップするまでに半年かかるようです。しかしこの半年でより女性らしくなり、追及心が強くなる人がほとんどです」

しかしあるがままの自分でいたいだけなのに、すべての世間の目が温かい訳ではない。西原さんは「参加者の7割は『女性として生きていきたいけど、それを認めてくれる会社は少ない』と就職に不安を感じています」と話す。

「女装子さんはもちろん、女性として生きていきたいという人が、人生をこちらに丸投げしてくれたら受け止めて解決できる存在でありたいな、と思っています。大変なことだとは分かっていますけどね」

次回の乙女塾説明会は12月10日に行われる予定だ。

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