「残業の上限規制は生産性を下げる」企業の5割、働き方改革関連法「経営に支障出る」

「残業の上限規制は生産性を下げる」企業の5割、働き方改革関連法「経営に支障出る」

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エン転職は9月21日、「企業に聞く『働き方改革法案』実態調査」の結果を発表した。調査は今年7月から8月にかけて、同社が運営するサイト「人事のミカタ」を利用する経営者・人事担当者を対象に実施。648人から回答を得た。

働き方改革は、長時間残業を減らし労働生産性を高めることを目標に進められている。今年6月に国会で成立した関連法案は、2019年4月から施行される。就業機会の拡大など労働者のメリットもあると期待されるが、経営者・人事担当者にとっては、必ずしも喜ばしい法案とは言えないようだ。

調査では、47%の企業が「働き方改革関連法案の施行で経営に支障が出る」と答えた。企業規模別に見ると、雇用者49人未満の企業で33%、50人〜99人の企業で42%、100人〜299人企業で53%、300人以上で58%と、大きくなるほど不安を訴える割合が増えていた。

残業の上限規制は「結果的にサービス残業の増加で補うことになる」

「大きな支障が出る」「やや支障が出る」と回答した人に、経営に支障が出そうなだと考える法案を聞いたところ、トップ3は「時間外労働の上限規制」(66%)、「年次有給休暇取得の義務化」(54%)、「同一労働同一賃金の義務化」(43%)だった。

時間外労働の上限規制は、一部の職種を除き月45時間、年間で360時間とされた。特別な事情があるときでも年720時間、単月では、休日労働を含み100時間未満と決められている。これまで青天井だった残業に一定の規制を設けることで、長時間労働の抑制が期待されるが、企業側からは「結果的にサービス残業の増加で補う状態になってしまうと思う」(金融・コンサル関連/100人〜299人)と、効果を疑問視する声が寄せられた。

有休取得の義務化は、10日以上の有給休暇が付与されている労働者が対象。経営者は労働者に、年間で5日間、時季を指定して与えなければならないとされている。これについては、「人員不足の状況で休みの人がいる分、1人の働く時間が長くなると、支払う賃金が上がる。結果、利益を圧迫してしまう」(サービス関連/100人〜299人)と、経営への悪影響を懸念する声が挙がった。3位の「同一労働同一賃金の義務化」にも、同様の声が寄せられた。

業種別に見ると、時間外労働の上限規制は商社(74%)と広告・出版・マスコミ関連(80%)で懸念する声が高く、有休取得の義務化は広告・出版・マスコミ関連(70%)とサービス関連業(64%)、同一労働同一賃金はメーカー(62%)で高かった。

「同一労働・同一賃金は優秀な社員から不満が出る」

「就業規則の見直しの良い機会になると思う」(サービス関連/50人以下)「働き方が多様化することで、多くの問題が解決されると思う」(IT・情報処理・インターネット関連/50人以下)など、関連法に肯定的な声もあったが、

「特に能力差があると思われる職場で同一労働・同一賃金は判断が難しい。本当に守れば優秀な社員の不平不満が出るのが目に見えている」(流通・小売関連/50人以下)
「残業の上限や有休を義務化したら生産性が下がる。生産性が下がる分、人を増やしたら人件費が上がる。生産性が下がり、人が増えると、賞与を下げざるを得ない。モチベーションに影響があると思う」(不動産・建設関連/100人〜299人)

など、施策の方向性そのものに反対する声も出ていた。来年4月の施行がどのような影響をもたらすのか、労働者だけでなく経営者の注目も高いようだ。

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