東芝「2兆円買収」に漂う出来レース 英投資ファンドCVCの真の狙いは?

東芝「2兆円買収」に漂う出来レース 英投資ファンドCVCの真の狙いは?

経済再建を推し進めるなか、なぜいま買収提案なのか(東芝の車谷暢昭社長兼CEO)/(C)日刊ゲンダイ

外資の下で「完全復活」を遂げるのか――。東芝が7日、英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」などから買収提案を受けたことを発表した。2017年に債務超過に陥り、今年1月に東証1部へ復帰したばかりだ。経営再建を推し進める中での買収浮上に、経済界には戸惑いが広がっている。

 東芝は買収案について「今後、詳細情報を求め、慎重に検討する」とのコメントを発表。車谷暢昭社長兼CEOは記者団に、「提案は受けている」とした上で、「取締役会で議論する」と答えた。CVCはTOB(株式公開買い付け)に乗り出す方針だ。

 突然降って湧いた買収提案に、市場は敏感に反応。東芝株の買い注文が殺到した。制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比700円(18・3%)高の4530円で取引を終えた。

 7日の終値で東芝の時価総額は2兆624億円。TOBは足元の株価にプレミアムを上乗せするのが通例のため、買収価格は2兆円を超えるとみられている。

 気になるのは、なぜ買収話が持ち上がったのか、だ。背景には、東芝経営陣と「モノ言う株主」との対立がささやかれている。

■インフラ事業で稼ぐ

 東芝は2015年の不正会計問題や17年の米原発子会社の破綻で債務超過に転落。上場廃止を逃れるため、海外投資ファンド(モノ言う株主)から6000億円の増資を実施した。昨年7月、取締役選任に関する「モノ言う株主」提案が否決されたことをキッカケに、経営陣との対立が深刻化していた。金融ジャーナリストの小林佳樹氏がこう解説する。

「東芝社長の車谷さんはCVCの日本法人会長を務めたこともあり、CVC顧問と昵懇だといいます。買収浮上は“出来レース”の感が拭えません。『モノ言う株主』と対立した現状では、6月の株主総会で車谷さんは首を切られる可能性があった。延命のために、買収によって『モノ言う株主』の影響力を排除する狙いなのではないか」

 買収話の裏に車谷社長の「保身」があるとしても、CVC側に“ウマミ”がなければ2兆円もつぎ込むとは考えにくい。東芝買収のメリットは何なのか。「経済界」編集局長の関慎夫氏が言う。

「東芝の強みは、インフラ事業です。国内外で脱炭素社会の実現がうたわれる中、技術力を持つ東芝はまだ伸びしろがあると判断されたのでしょう。東芝が外資の下で再建を果たしたら、台湾の鴻海に買収されたシャープに続き2例目です。日本的な経営が世界から後れを取っていると、改めてクローズアップされるでしょう」

 原子力事業を抱える東芝の買収には、政府の事前審査も必要である。政界も経済界も、まだまだ頭を抱えそうだ。

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