「ぴあ」が実店舗の販売を終了へ…ピーク時は611カ所に

「ぴあ」が実店舗の販売を終了へ…ピーク時は611カ所に

公演の中止は相次いだ(東京・歌舞伎座)/(C)日刊ゲンダイ

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

「むしろ遅過ぎたくらいだ」。市場関係者の間からはこんな声も聞かれる。

 チケット販売大手のぴあが系列実店舗での販売から撤退する。展開する「ぴあステーション」など全国77カ所の店舗を6月末までにすべて閉鎖。インターネットとコンビニでの販売にチャネルを集約する。

 ぴあは1984年に日本で初めてコンピューターオンラインネットワークシステムによるチケット販売を開始。フランチャイズ方式などで出店を加速させ、ピーク時には611カ所にまで店舗網を広げた。

 しかしネットとスマホの普及とともに数を減らし、足元では年間7500万枚とされるチケット販売に占める実店舗比率は1%未満にまで縮小。コスト負担が重荷になっていた。

「撤退」の決断の背景には無論、新型コロナウイルスの影響がある。対面での販売が難しくなっているうえ、イベントやコンサートなどが軒並み中止や縮小に追い込まれてチケット販売数が激減。ぴあの経営自体も急速に厳しくなっているからだ。

■横浜の「ぴあアリーナMM」もピンチ?

 今年3月期の売上高は720億円にとどまった見込みで前期比55.9%の大幅減収。営業損益は前期の11億円強の黒字から60億円の赤字に転落し、65億円の最終赤字(前期は1.2億円の黒字)に陥ったもようだ。

 多額の赤字は資本基盤を蝕む。自己資本比率は昨年12月末時点で6.6%と1ケタ台にまで低下。ぴあでは今年3月末に商工中金から30億円の資本性資金(劣後ローン)を取り込むなど資本増強に躍起だが、「なお心もとない水準」(金融筋)だ。

 固定資産の減損リスクも懸念されている。ヤリ玉に挙がっているのは「ぴあアリーナMM」。ぴあが三菱地所から土地を借り受け、約100億円を投じて昨年7月、横浜みなとみらいにオープンさせた1万人超収容の音楽専用アリーナで、バランスシートに計上されている簿価は約120億円。監査法人から「当初計画通りの収益を生み出せていない」との指摘を受け、仮にその一括減損を余儀なくされるような事態になれば自己資本(昨年12月末で35億円弱)が吹き飛びかねない。

 さらなる決断を迫られる時が来るかも知れない。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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