Jパワーが石炭火力発電所建設を断念…脱炭素の波にのみ込まれた(重道武司)

Jパワーが石炭火力発電所建設を断念…脱炭素の波にのみ込まれた(重道武司)

石炭火力への風当たりは強まるばかり(C)日刊ゲンダイ

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 今月22、23日にオンラインで開催される「気候変動サミット」。主要排出国を集めて温暖化ガスの削減に向けて話し合う。今や脱炭素・カーボンニュートラルは世界的潮流だ。その勢いにまさに「のみ込まれた」(電力業界関係者)とも言えようか。

 J-POWER(Jパワー、電源開発)が山口県宇部市で計画していた石炭火力発電所の建設断念に追い込まれた。

 強まる石炭火力への風当たりを前に「最新の環境対策を施したとしても、もはや採算性は見込めない」(幹部)と判断したもようだ。

 建設を取りやめるのはJパワーが90%、宇部興産が10%を出資して設立した山口宇部パワーが2026年運転開始を目指してきた「西沖の山発電所」(仮称)。15年に計画が公表され、当初はこれに大阪ガスも加えた3社で60万キロワットの石炭火力2基を建設。西日本エリアに電気を供給する予定だった。

■着工のメドさえ立たず

 しかし、19年4月に「投資回収が困難」として大阪ガスが撤退。このためJパワーと宇部は建設数を1基に圧縮する一方、温暖化ガスの排出量が少ない石炭ガス化複合発電の導入なども検討してプロジェクト続行を探ってきたが、着工のメドさえ立てられず、「事実上のたなざらし状態」(関係者)となっていた。

 菅義偉首相の下で50年の温暖化ガス排出実質ゼロに向けて大きくかじを切った政府は非効率な石炭火力を30年までに休廃止する方針を打ち出している。経産省は発電事業者に発電効率を43%にするよう求める新基準を設ける予定。石炭火力の新設やリプレースは一段と厳しくなる。

 国内では現在、Jパワーのほか、関西電力グループが丸紅と組んで、秋田市での石炭火力建設計画を公表している。ただ「環境対策費が膨らむ」などとして、こちらも工事に取り掛かれないありさま。今回、Jパワーが計画断念を決めたことで未着工の石炭火力の新規開発案件はほぼなくなることになる。

 もっとも、日本では19年度時点で総発電量の約32%を石炭火力に依存している。大半の原発で再稼働が見通せず、再生可能エネルギーも安定供給に難を抱える中、石炭火力を一気に休廃止して電力需給のバランスが果たして保てるのか。解はまだ示されていない。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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