クレディセゾンはDX推進で「第2の創業」目指す…林野会長とサイバー藤田社長は“麻雀仲間”(真保紀一郎)

クレディセゾンはDX推進で「第2の創業」目指す…林野会長とサイバー藤田社長は“麻雀仲間”(真保紀一郎)

堤清二氏のDNAを受け継ぐ林野会長(C)日刊ゲンダイ

【企業深層研究】クレディセゾン(下)

 新型コロナウイルスの流行は、日本人の生活様式を大きく変えることになった。テレワークの普及などはその代表だが、買い物の仕方も大きく変わった。

 日本は海外に比べ現金決済の比率が高い。しかし現金の授受はコロナの感染リスクが高いことから、キャッシュレス化が一気に進んだ。

 流通系クレジットカード首位のクレディセゾンにとって、本来であれば追い風になってもおかしくない。しかし、一時、百貨店が休業に追い込まれるなどの影響もあり、クレディセゾンの前3月期決算は減収となり、新規カード発行枚数も前年を下回った。

 しかも、これまでキャッシュレスの主役はクレジットカードだったが、ペイペイやLINEペイといったスマホ決済や、スイカなどの交通系カードなど、キャッシュレス決済の多様化が進み、競争環境は激化している。

 しかもクレディセゾンの発行するセゾンカードは、「永久不滅ポイント」で人気となったが、今では楽天カードのように、楽天のサービスを利用するごとにポイントが加算されるカードも登場しており、単純なポイント勝負では太刀打ちできないのが現実だ。

 つまり、収益の柱であるカード決済事業だけでは、今後、それほど大きな成長が期待できない。そこでクレディセゾンでは、現在を「第2の創業」と位置づけ、新たな成長戦略の構築を目指している。そこでカギを握るのが、前回取り上げたDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。業務をデジタル化し、生産性を上げるとともに、新たなビジネスにつなげようというのだ。具体的には、カード決済を通じて蓄積された膨大な顧客データを活用する。

 クレディセゾンは今年6月、サイバーエージェントと合弁で、「CASM」という新会社を設立した。クレディセゾンの持つ決済データと、サイバーエージェントのAIを結び、新たなマーケティングを行っていく。例えば顧客向けに今まで以上に精度の高い広告やおすすめ商品の情報を提供していく。

 クレディセゾンの林野宏会長とサイバーエージェントの藤田晋社長は麻雀仲間。それをきっかけに企業同士の付き合いに発展し、今回の合弁会社設立に結びついた。

 また、2人のトップのつながりがきっかけになって、クレディセゾンはITベンチャーへの出資を繰り返している。同社のDXの強化には、このベンチャーとの関係性も大きな役割を果たしている。

 今後もクレディセゾンは、外部企業との提携を拡大していく方針で、その事業領域は、小売りや金融に限らない。目指す姿はリアルとデジタルを融合することでカスタマーサクセスを実現する「総合生活サービス企業グループ」だという。

 この「総合生活サービス企業グループ」宣言は、かつてのセゾングループが目指した「生活総合産業」を思い出させる。林野会長はセゾングループの創始者、堤清二氏のDNAを誰よりも強く受け継いでいるといわれるだけに、堤氏の夢をデジタルを活用することで再現しようとしているかのようだ。

(真保紀一郎/経済ジャーナリスト)

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