新生銀行はSBI HDとの対立長期化 公的資金返済には「1.6兆円規模」が必要(重道武司)

新生銀行はSBI HDとの対立長期化 公的資金返済には「1.6兆円規模」が必要(重道武司)

TOBの行方は(C)日刊ゲンダイ

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

 新生銀行への「無通告TOB(株式公開買い付け)」を仕掛けたネット金融大手のSBIホールディングス(HD)。これに対し新生銀側はSBIHD以外の株主に新株を無償配布する買収防衛策の導入を決議して対抗。当初、今月25日とされていたTOB期限は12月8日まで延長され、対立は長期化する様相だ。

 防衛策の発動は11月下旬にも開催予定の臨時株主総会で過半数の賛同を得ることが条件だ。ただ仮に発動が決まると、SBIHDからすればTOBでせっかく、新生銀株を買い付けても持ち株比率が大幅に下がってしまうことになりかねない。TOBを確実に成立させるためには株主総会の帰趨を見極める必要があり、SBIHDはTOB期限を先延ばしせざるを得ない。その間にホワイトナイト(白馬の騎士)探しに最善を期す――新生銀側のこうした「時間を稼ぐ作戦」(事情通)がひとまずは功を奏した格好だ。

 だがSBIHDを撃退してくれる「白馬の騎士」など果たして見つかるのか。最大のネックとなるのが「公的資金の返済問題」(金融筋)だ。

 新生銀には今も3490億円の公的資金が注入されたままになっている。誰が白馬の騎士になるにしてもその返済にある程度の道筋を示す必要があるが、「国民負担なしに完済するには株価を7450円にまで引き上げなければならない」(前出の金融筋)とされている。現行株価の4倍近い水準でハードルは極めて高い。

■ホワイトナイトも尻込み?

 問題をさらに困難にしているのは3490億円が普通株で注入されている点。「株主平等の原則」があるため国の分だけ特別に高い株価で買い取るわけにもいかず、一般株主にも7450円で株を手放すチャンスを与えなければならないからだ。仮に全株近い買い取りなど迫られれば、それに必要となる資金は「1.6兆円規模」(新生銀関係者)。これではいかなる白馬の騎士とて尻込みせざるを得ないだろう。

 SBIHDでは今のところ「シナジー効果で収益力を大きく拡大し企業価値を高めていくことが返済への基本的アプローチ」と強調。公的資金返済はTOB成立後の新経営陣が改めて当局と議論すべきとしているが、新生銀の非上場化を含めた“裏技”も探っているもようだ。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

関連記事(外部サイト)