日本製鉄「呉製鉄所」閉鎖で職を失う従業員は約1500人 呉市の税収にも大きな影響が

日本製鉄「呉製鉄所」閉鎖で職を失う従業員は約1500人 呉市の税収にも大きな影響が

日本製鉄の橋本英二社長(C)日刊ゲンダイ

 9月29日、日本製鉄の瀬戸内製鉄所呉地区(広島県)の高炉2基が閉鎖した。鉄鋼事業の採算悪化から2020年3月期決算で4315億円と過去最大の赤字を計上した日本製鉄は、いま日本各地の製鉄所の閉鎖や工場のラインの休止といった大規模なリストラが進められている。

 呉の製鉄所の閉鎖はすでに昨年2月に発表されていたが、今年9月末には和歌山製鉄所の1基(和歌山県)、さらに24年度末で鹿島製鉄所(茨城県)の高炉1基の休止が発表され、全国に14基あった製鉄所が10基に減少されることになる。

 日本製鉄は19年に新日鉄住金(12年に新日本製鉄と住友金属工業が合併)から日本製鉄へ社名を変更。同年11月の大規模な製鉄所組織の統合再編で東日本製鉄所、関西製鉄所、瀬戸内製鉄所、九州製鉄所、室蘭製鉄所と名古屋製鉄所の6製鉄所体制となった。

 製鉄所の閉鎖は工場のラインの休止が伴い、製鉄所の関係会社、協力会社、2次、3次といった下請け会社の仕事もなくなるため雇用問題が大きな課題になる。

 旧呉製鉄所の閉鎖では、協力会社も含めると約3000人の従業員のうち半数の約1500人が仕事を失うことになるという。もちろん他の製鉄所への配置転換や再就職を目指すことになるが、協力会社の従業員を含め受け入れ先を探すのは容易ではない。23年には関連設備も含め呉地区全体が閉鎖される予定なのだ。

 呉市にとっても最大の税収源である呉製鉄所の閉鎖は市の存続に大きく影響するのは間違いない。

 昨年6月に2基のうち1基がバンキング(一時休止)していた旧君津製鉄所(千葉県)は、昨年11月に鉄鋼需要の回復で再稼働したが、数カ所の工場のラインの休止が決まっている。日本製鉄君津労働組合特別執行委員で木更津市議の座親政彦氏が説明する。

「中長期計画で30%の人員削減が進められています。私の所属する連続鋳造部の工場のラインも来年3月で廃止が決まっています。ひとつの工場が止まれば社員や協力会社の従業員も含め数百人の雇用が奪われます。君津地区は所内の配置転換や出向で対応が可能だとしていますが、呉の製鉄所は製鉄所や関連設備が閉鎖されるわけですから従業員の受け皿の確保は非常に不安ですね」

 昨年リストラ策が発表されて以降、君津製鉄所の従業員の退職が急増してきているという。同社の中堅社員が言う。

「20代、30代の若手や、研究所の大学院卒の優秀な人材までが次々辞めています。労使の契約があるので会社は次の異動先を紹介しますが、条件が合わず退社する社員も少なくありません。協力会社でも組合のない会社の従業員はいま懸命に仕事を探していますよ」

 日本製鉄の21年度の決算は純益で3700億円と過去最高益が予想されているという。V字回復の背景には、製鉄所の閉鎖、工場の休止といった人員対策、合理化の効果が大きいことはいうまでもない。

(ジャーナリスト・木野活明)

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