日本企業復活のカギ“農業・健康・長寿”注目企業を徹底研究

日本企業復活のカギ“農業・健康・長寿”注目企業を徹底研究

日本の技術が活かせる分野だ(C)日刊ゲンダイ

新元号がスタートしたというのに、平成に続いた長い長い閉塞感のせいか、日本企業には“元気がない”イメージが付きまとう。かつて世界にとどろいた“メード・イン・ジャパン”の勢いはどこへやらだが、よくよく調べると希望がないわけではない。世界に通用する技術はまだまだあって――。

 小説「下町ロケット」ではないが、技術力というと精密機械やIT分野に目が行きがち。だが、日本企業が持つ世界に誇れる“技術”はそれだけではない。

 長年、企業調査を続けてきたIMSアセットマネジメント代表の清水秀和氏が言う。

「いま、私が将来性を買っているのは農業分野です。訪日外国人の数は年間3000万人を超えますが、観光は1回限りだけど食べ物はリピートの可能性が高い。実際、ECサイトでは日本のブランド米が売れ、欧米ではダイエットブームやベジタリアンの増加でホクトなど日本のキノコ会社が注目されています。日本で味を覚えた外国人が調味料にも興味を示している。その意味でキッコーマンやキユーピーも伸びしろがある。潮流は農業にきていると思います」

 植物工場や、菌類では味噌や乳酸菌も注目ジャンルだとか。そして、こうした農業分野では世界に誇れる技術を持つ企業が数社あるという。

「1社目は、アグロカネショウ鰍ナす。土壌消毒剤やダニ剤、害虫防除剤などを作る農薬メーカーで、特に果物の農薬に強い。シェアはトップクラスで3〜4割。農薬の開発は“10年、100億円かかる”世界ですが、その開発と使い方のノウハウを持っています。販路はアジア諸国はもとより、北米やヨーロッパなど34カ国に広がっています」(清水秀和氏)

 もう1社挙げるなら、OATアグリオだという。

「ここも農薬メーカーですが、昨年秋に注目を浴びました。売上高の半分を超える七十数億円を投じてオランダの花の鮮度保持剤のトップ企業を買収したからです。切り花を長持ちさせる技術です。もともと植物工場で使う培養液に強いメーカーとして技術力は評価されてきましたが、この先1、2年で売り上げは1.5倍に伸びると見込んでいます」(清水秀和氏)

 農業機械大手のクボタも忘れちゃいけない。この秋に人工衛星みちびきを使ったGPSシステムが本格稼働する予定。同社はこれを田植え機に利用し、数センチ単位で稼働させることができるように。「結果、タイなど東南アジア各国のコメの生産性は2〜3倍に増える可能性がある」(清水秀和氏)とか。無人トラクターに続く新技術の登場だ。

  一方、わが日本がこれまで培ってきた技術だってまだ捨てたもんじゃない。

 あらゆるジャンルで世界で全敗したわけではないし、その延長で世界と戦える材料が残っているからだ。

 経済ジャーナリストの真保紀一郎氏が言う。

「いくつかに絞られると思いますが、日本が世界で負けない分野はまだあると思います。それは、素材、健康、長寿関連あたり。例えば、素材では東レです。同社は、国立がん研究センターと協力して、1回の採血で乳がんや大腸がんなど13種類のがんを早期に発見できる診断システムの開発に参加しています。その実用化は近いといわれ、日本メーカーの開発力はこうした分野で着実に役立っているのです」

 がん関連では、NEC、島津製作所、日立製作所なども注目したい。

「長寿関連では、紙おむつなど衛生用品でしょう。長寿高齢化で、紙おむつはいまや赤ちゃんより高齢者の市場が大きい。その波は中国や韓国でも起き始めていて、死ぬまで使い続けるわけですから需要はあります。技術力でリードするユニ・チャームなど日本企業が優位を保っていますが、おむつの性能を左右するのは高分子吸収体などの素材。素材技術を持つメーカーもいま以上に成長の余地があるはずです」(真保紀一郎氏)

 オシッコを漏れなく吸収し、かつそれを逃がさない素材を作る技術だ。日本触媒や第一衛材などは期待大だろう。

 メード・イン・ジャパンは、まだ捨てたもんじゃない。

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