旧村上ファンドが虎視眈々 日立製作所が日立化成を売却へ

旧村上ファンドが虎視眈々 日立製作所が日立化成を売却へ

時代の寵児だった村上世彰氏(C)日刊ゲンダイ

日立製作所が発行株の51%超を握る上場子会社で化学大手の日立化成を売却する方針を固めた。すでに水面下で手続きを進めており、今月中にも新たな出資先を募る入札を開始する。あらゆるものをインターネットにつなぐIoT基盤事業などに経営資源を集中させ、収益力強化を図るグループ構造改革の一環だ。

 日立化成は日立グループの中で、日立金属や旧日立電線(現日立金属)とともに「ご三家」と呼ばれてきた。昨年、品質データの不正問題が発覚するなど不祥事に揺れるが、リチウムイオン電池向けの負極材でトップシェアを誇るなど電子材料分野では世界大手だ。このため三井化学などの素材大手や外資系投資ファンドが買収に強い意欲を示しているとされ、売却額は「数千億円を下らない」(市場関係者)とも取り沙汰されている。

「選択と集中」を掲げた日立の構造改革はリーマン・ショック後の巨額赤字転落を受けて始まった。今年3月にはカーナビ大手のクラリオンも売却しており、今回のディールが実現すれば、危機前には22社にも上っていたその上場子会社は日立ハイテクノロジーズや日立建機など3社にまで縮小することになる。

 一方、こうした日立の構造改革に伴うグループ再編の動きを格好の商機とみて「虎視眈々と爪を研いできた」(関係筋)とされるのが旧村上ファンドだ。再編対象企業から「日立」という絶対的な安定株主がいなくなれば、そこに何らかのつけ入るスキが生じるとみたのだろう。

 その“餌食”となった旧子会社の代表格ともいえるのが電池や美容家電などを手掛けるマクセルホールディングス(旧日立マクセル)だ。日立の保有株放出と平仄を合わせるかのようにじわじわと株を買い占められ、今年4月22日までに村上世彰氏の長女・野村絢氏と系列投資会社2社に計13・98%を握られたのだ。

 慌てたマクセル側は同26日になって2020年3月期配当水準の前期比約8倍増への引き上げと自社株買いを発表。株主還元総額は予想期間利益の7倍近い200億円規模に及び、手持ち現預金がほぼ枯渇する形となる。とんだ厄災――か。

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